choker武侦宰×干部中
避雷:醋宰，女装中，厚乳，内🐍，窒息
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“国木田君，这次的委托得麻烦你了呢～”太宰治将手里的资料塞到国木田怀里，说话语气似乎和平时不一样，像是咬着牙。
国木田可听不出他这语气是什么意思，只是想着太宰治又要逃掉工作，吼了他一句:“喂，太宰，别想着偷懒啊！”
被训斥的对象已经溜进一边的巷子里了，等国木田去找的时候，早已不见踪影。
“呃——谁——”
中原中也刚从酒会脱身，准备走小道回去和首领汇报，结果在转角被人按在墙上。
异能，使不出来……
“混蛋太宰，你TM放开我！”
异能失效，能做到这一点的，只有那个人，中原中也不过脑子就叫出了身后人的名字。
“呐～中也怎么穿成这样，又是森先生的命令吗？”太宰治开玩笑似的在中原中也耳边说，语气中却没有半丝笑意。

橘子酿酒非典型灰蓝，abo，无异能
红酒alpha宰×橘子omega中
注:发情期，脐橙，车震，内射

回去的路上总会遇到那么几个杂碎，中原中也摸了一下后颈，皮肤下的腺体开始发烫，若有若无的橘子味飘了出来，无视身后的几人，中原中也继续不慌不忙地往前走。

这两天的工作压得他有些喘不过气，偏偏自家BOSS兼男朋友还是个每天混吃等死的混蛋，不仅不好好工作，每天还要在他身边转悠，像个花孔雀，一直不停地开屏。

他居然忘了，这两天是他的发情期。

手下的牙印已经消散地差不多了，只有外套上残留的些许红酒味alpha信息素能暂时安抚一下即将到来的凶猛的发情期，这点味道还是早上某只狗抱着他蹭了半天染上的。

眼看着就要走出巷子了，后面的几个人加快步伐，无形之中围住了中原中也，下流的视线在中原中也身上来回扫动，黏腻又恶心。

天蝎座职场精英宰×调酒师中

涉及与调酒相关知识均取自度娘

天蝎座:沉醉于你的眼眸

“从看见你的第一眼开始，就被那双眼眸所吸引，像那杯天蝎座，让人如同中了蝎子毒一般，沉醉其中，无法自拔。”

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“Mafia”，一家开在巷子深处的酒吧，位于黑白两道的交界处，听说这里进行着某些不可告人的交易，虽然偏僻难找，名字也给人一种不寒而栗的感觉，但这里的生意倒是异常的火爆，不少上流社会的人或多或少会来到这里聚餐，亦或者交易。

太宰治听说这个地方，是在一次偶然的机会。他应酬的时候听到了其他老板谈论这个地方，位置偏远，却很豪华，神秘中透露着危险的气息。问了身边人给出的答案都是云里雾里的，越发让太宰治想要来到这个神奇的地方。联系了朋友，终于得到了这个酒吧的具体位置。

爱意有声伪骨科，大宰小中，年龄差十岁

宰因特殊原因后天失聪，平时要戴助听器

“我本要堕入无尽的深渊，回首看见了那只紧紧抓住我的小手，无边的黑暗变成了一望无际的草原，阳光耀眼而温暖，从此心底住下一颗蓝宝石。”

太宰治还记得第一次见到中原中也的时候，那天是个下雨天，父亲给母亲撑着伞，母亲怀里抱着一个小孩子，看上去好像不到两岁，太宰治只记住了那一抹橘色。

小橘子是父母在孤儿院门口捡到的，淋了不少雨，还好发现得早，及时送到医院救回来了。也许遇见是缘分，父母干脆就收养了这个孩子，太宰治也就多了一个弟弟。

那个时候，母亲抱着小橘子笑着问太宰治给弟弟取什么名字。中也，太宰治想都没想就脱口而出。然后父母给小橘子办理了领养手续，以中原中也这个名字加进了太宰家。

暗流灰蓝abo
红酒味alpha×橘子味omega


“中也先生，首领他出事了！”

“什么？！带我去！”

跟在太宰治身边的下属领着中原中也到太宰治谈判的商务会所，早上还好好的、打趣他今天帽子不好看的太宰治现在神志不清躺在浴缸里，黑色的衬衫被水渗得湿透了贴在皮肤上，他给他打的领带被扯开挂在脖子上，双目紧闭，眉头紧皱，很是痛苦。

“中也先生。”

“直接说情况。”中原中也抬手，视线并没有离开浴室里的人身上。

“首领造人暗算，被关在一个有其他处于发情期的omega的房间里，谈判过程中我们都守在外面，只有一个下属在首领身边，现在已经死了。房间里不仅仅是发情期的omega，还放了强效的alpha发情剂，首领已经用了随身携带的特制alpha抑制剂……”

淋漓黑时，飞机play

刚在外地结束任务，天台上森鸥外命人派来的直升机已经悬在众人头顶上空，直升机产生的巨大声波吵得太宰治脑袋疼，周围因直升机降落而扬起的尘土迷了太宰治的眼。

不久前的任务中太宰治伤到了脑袋，被血染红的绷带还没换下来，露出的眼底情绪晦暗不明，盯着斜前方插兜站着的中原中也。

“中也，我们去坐客机嘛。”太宰治上前拉了一下中原中也的衣服，眨了眨眼。

“有病？”中原中也挑眉看着太宰治，心想着首领派来的现成的直升机不坐，跑去坐什么客机，做完任务不累吗，他还准备快点回去睡觉。

“太宰先生，中也先生，已经准备好了，可以上机回去了。”下属小步跑过来，恭敬地说。

“我们还有事，你们先回去和森先生汇报。”太宰治抢在中原中也先一步吩咐了，勾着中原中也的脖子把人夹在腋下转身就走了。

掌控BDSM
玩具，鞭打乳头，口交，颜射

太宰治一身黑军装坐在椅子上，一手拿着皮鞭，一手撑在椅子扶手上抵着侧脸，双腿交叠。大手一挥，皮鞭落在地毯上发出沉闷的声音，地毯上的绒毛也被分到两边。

听到鞭落的声音，中原中也顺势跪在太宰治脚边，双腿分开适当的角度，身板笔直，双手被在身后，黑色衬衣贴着腰线一直延伸到西装裤里，勾勒出纤细的身材。橘色的头发随意地搭在左肩，衬衫的扣子并未完全扣好，敞开的部分正好露出胸前的两点樱红。湛蓝色的眸子一眨不眨盯着太宰治，眼底没有任何其他的东西，只有面前这个将要给他发号施令的人。

交叠的双腿分开，太宰治的左脚前掌压在中原中也的裆部，黑色军靴底部的花纹蹂躏着半软的性器，很快就被刺激着勃起了，抵着军靴底。

弃子家族掌权人宰×私生子中
26×18
捡回来的小狗居然是……


中也是太宰治从酒吧里带回来的。

那天太宰治刚好谈了一笔大生意，心情还算不错，约着自己的好友织田作和安吾一起去酒吧喝酒。正尽兴的时候听到隔壁卡座闹哄哄的，随意瞟了一眼，就看到了那个橘发少年。

酒吧里光线比较昏暗，五彩的霓虹灯在酒吧中央的天花板闪烁。那时候正好一束比较亮的光打在他的脸上，少年被人死死地捏着脸灌酒，湛蓝色的眸子里浸满水汽。

真像一只可怜的小狗……

只是这一眼，橘发少年的视线也落到了太宰治身上，他的眼里是在说……求求你，救救我……

真是有趣啊……

可能真的是酒喝得有点多吧，这件事太宰治完全没有过脑子，直接起身大跨步走向少年所在的卡座，一把抓住少年的后领，将人提起来拉进怀里。

血囚血猎宰×血族中

注:囚禁，双疯批，有血腥

阴暗潮湿的地牢寂静极了，只有水滴落下的声音，走廊的尽头的铁门上了数道铁锁，里面关着一个橘色长发青年。

墙壁上画满了奇怪的符咒，红色的物质似乎还未完全凝固，顺着墙壁流下来，显得更加诡异与沉重。橘发青年跪在地上，厚重的铁链吊着他的双腕，脑袋低着，浓密的长发完全遮挡住了青年的容颜，杂乱不堪。

身上的白色爵士服大大小小印着血块，还有明显衣料划开的迹象，隐隐约约能看到里面的皮肤也是皮开肉绽的。衣服早就看不出原来的样子了，露出的白皙的手臂上也有着细密的伤口，手腕处是被铁环搁出的红痕。

“嗒嗒嗒……”

皮鞋落地的声音在空荡的地牢里响起，铁门被打开，只听见来人对看管的人小声说了几句，后者点点头就退下了，然后是铁门关上的声音。

破碎的蓝眸　　你说，人活着有什么意义呢？

　　我坐在天台的栏杆外，两腿晃荡着，敲打墙壁，双手放在两侧，并不想抓着栏杆，因为掉下去也是件好事，这样我也能拥抱我期盼已久的死亡了，想到这内心没由得雀跃起来，真的很期待。

　　但是今天的天好蓝，和某个讨厌鬼的眼睛一样，太干净了，我真的很不喜欢，每次他用那种纯净而懵懂的眼神望着我，那种干净的视线扫荡着我的全身，身上的污浊都要被净化了一般。要是在这样的好天气下坠楼而亡，那真是糟糕透了。不过要是他看到我破碎的身躯，那纯净的眼眸是不是也会碎掉，就像黑夜里突然乍现的闪电一般破碎，好有趣啊，可惜我可能看不到了。

　　正午的阳光也很刺眼，照的我眼睛有些疼，被绷带缠住的右眼又在隐隐作痛了，好奇怪，明明没有被阳光照到，为什么会疼呢？啊，想起来了，前两天，父亲又打我了，他拿着那个烟灰缸直接砸到了我右眼，我记得处理伤口的时候，整个右眼都肿了。讨厌鬼看到我的右眼时吓坏了，问我怎么回事，我说是我自己不小心磕到了，他说他不信，又叫我以后注意点，一圈一圈地帮我包扎伤口。

斑驳灰蓝，游轮甲板露天play

“……下去办吧。”

下属接过太宰治的文件，弯腰行礼后转身离开首领办公室。中原中也进来的时候，只看到下属抱着文件匆匆离开，看到他也是小声问候一声“中也干部”。

中原中也正了正自己的帽子，“BOSS，北方的暴乱已经彻底平定下来了，这是签订的合约。”说着递上一份文件。

“啊～辛苦啦中也。”太宰治笑着接过，在文件上大手一挥签下自己的名字，“啪——”合上文件，放在一边。

注意到中原中也还盯着自己，太宰治继续笑着问:“还有什么事吗中也？”

“你刚刚让人去干什么了？”中原中也指了指身后问。

“啊，没什么，今天晚上的一个客户罢了。”太宰治说。

中原中也似懂非懂点点头，“没什么事我就先下去了。”

“呐呐，中也好不容易回来，都不对老公说点什么吗？”中原中也刚走没两步，就被太宰治拉住手，还两边晃了两下。

被诅咒的礼物“这天，中也收到了一份奇怪的礼物。而后每隔一段时间都会收到一份佚名的礼物，一份奇怪的礼物，直到太宰死后，他才知道这些礼物是……”


1.
昏暗的灯光来源于屋内床头的台灯，暖黄暗淡，照不清屋内的情景。房间里充斥着淫靡的气息，是交缠的喘息和压抑的呻吟，配合着让人想入非非的黏腻水声。

中也浑身赤裸的跪在木质地板上，身后的太宰将他压在落地窗上，向下就能看到市中心最繁华的街道。乳尖在冰冷玻璃的刺激下硬挺起来，随着身后的动作上下摩擦而红肿，乳周还布满了咬痕。

烫的厉害，中也的额头抵着玻璃，双手没有支撑点，只能按在玻璃上，但渗出的汗液让摩擦力变得更小，只能随着顶撞的力度变换位置。

带着黑色皮质手套的手完全暴露出来，每根手指都修剪得很干净，白皙没有一丝瑕疵。平时能抓着把人甩出十米远的手，现在只能无力地按在玻璃上。

正気の沙汰じゃねェ！！！ はぁ、はぁ……と息を切らすは空の上。
既に夜も更けて闇空の中、月明かりだけが穏やかに辺りを照らしていた。
最近は暖かくなってきたと言えど、矢張り夜はまだ少し肌寒い。黒い外套を身に寄せて、漸くひとつ息を吐いた。

｢はぁ、……ここまで来れば、流石にあの糞鯖も来れねェだろ……｣

俺の身体を蝕むのは体力どうこうよりも、精神的な疲弊だった。
如何して俺がこんな目に……
そう項垂れながらも、ふつふつと感じるのは確かな怒り。
俺の災難の原因は九分九厘、彼奴に決まっていた。そして今回も例に漏れず、話は数分前に遡る――

*

数日に掛けて混み合っていた仕事が漸く落ち着き、日付が変わると同時に帰路に着いた。
明日は久々の休日。流石に疲労も溜まっていたが、気持ちは少し軽やかだ。夜食と共に葡萄酒も開けてしまおうか。明日は買い物に行って、掃除もして……と充実した休日を想像し、自然と鼻歌が溢れる。

学だちゅ供養レースカーテンから差し込む陽の光。
静かに空いている隣のシーツは冷たくて、中也はどうやら先に起きているらしい。

そろそろ来るかなぁ、と思いつつも微かに開いた目を閉じて、逃げるように布団に顔を埋める。すると予想通り、直ぐに扉が開いた音がした。

｢太宰、朝｣

ほら、来た。

柔らかい声で｢起きろ｣言いながら、布団越しにポンポンと体を叩かれる。開いた扉の向こうからは、朝食　の良い匂いが漂ってきた。

｢んー……もうちょっと、｣

｢莫迦、遅刻すんだろ。朝飯できてんぞ｣

顔だけ出してそう言うと、中也は溜息を吐きながら空いている隣に腰を下ろした。
さらさらと髪を梳く様に撫でると、太宰は目を瞑ったまま催促するように手に擦り寄ってくる。悪い気はしないので、そのまま撫でながら顔にかかった髪を避けてやる。無駄に綺麗な顔だな、と毎回思うが本人に伝える気は毛頭ない。

4月29日「はぁ〜、やっと仕事終わったよ。今日に限って国木田君が離してくれないなんて……」
　太宰はため息を吐いた。今日は4月29日で、中原中也の誕生日だ。誕生日と云うことで、中也の家で一緒に食事をする約束をしていた。
　バレンタインとホワイトデーを過ぎても、ふたりの関係はまだ続いている。バレンタインデーに散々キスをして、ホワイトデーに身体を繋げたと云っても、中也は太宰に対して恋人として接することに気恥ずかしさがまだあるようだ。その姿は太宰にとって、とても愛おしいモノだった。だから今日は、思いっきり甘やかしてやりたいと思っていたのだ。ドロドロに溶けてしまうくらいに。それなのに、これだ。太宰にはサボり癖があり、提出すべき報告書が山ほどたまっていた。勿論報告書を書く暇がないほど忙しい時もあり、それは仕方がない。国木田も少しなら見逃してくれただろうが、太宰がためた書類は提出期限が大幅に過ぎてしまっていた。太宰が定時で帰ろうとすると、国木田に「書類を書け」と催促されたのだ。いつもなら適当にのらりくらりとやり過ごせたのだが、たまりにたまった書類を前に、国木田も見逃せなくなっていた。こんなことになったのは要するに、日頃の行いのせいだった。

【太中/中原中也生贺】Bye-bye Buddy（昼篇）昼篇
*灵感来源于bgm：Double Face-Bye bye Buddy
*别扭的中原干部，偏向中也的视角
*太宰生日会出太宰的视角
*感觉两个人互表心意的场景会很好笑所以就写了

【祝中也生日快乐！】

自从复活夜之后太宰治和中原中也陆陆续续一起出过几次任务，可能是森鸥外秉持着太宰君不用白不用的黑心老板心理，也有可能是中原中也过于听从他的话，本来处于对立面的人交际忽然变多了起来。中原中也偶尔还会请太宰治在任务结束之后一起吃个饭，虽然多数是太宰治死皮赖脸地凑上来，两个人总算和谐相处了一段时间。

中原中也看着对面吊儿郎当的太宰治正在翻看着菜单，对方嘴上还在询问着服务生有没有新鲜的螃蟹，忽然感觉自己是不是太纵容他了。港黑和侦探社虽然签订了和平协议，但是还没熟到两方的骨干人员可以随随便便坐在一起吃晚餐。

きっと俺は、どうしようもない恋をしている　きっと俺は、どうしようもない恋をしている。

　きっかけは、今隣で眠っている憎き男――太宰治だった。彼奴に突然「大嫌い。だけど好き」だなんて妙な告白をされたものだから、俺は悶々とその言葉の意味を考えさせられる羽目になった。太宰に真意を聞こうとしたものの、俺が引き止める前に遠くに去っていたし、暫くは携帯端末で連絡も取れなかった。1ヶ月程経ってやっと、俺は太宰と会うことができたのだ。その時太宰は、また俺の部屋に忍び込んで秘蔵ワインを物色していた。
「おい」
「おかえり、中也。今日はどれ飲む？」
「何度もこのやり取りをしているが、ここは俺の家だ。手前なんかに決定権はねェぞ」
　そう、この時既に、太宰は毎晩俺の部屋に忍び込み、ワインや食事をたかるようになっていたのだ。俺は奴が手に持っている銘柄をちらりと見た。楽しみに取っておいてある、高級ワインだった。

ホワイトデー　太宰は中也と一緒に、自宅に帰ってきた。慣れた手つきで解錠し、ドアを開け、部屋の中に中也を招いた。
「ここが、今の私の部屋だよ。奥が居室になってる」
「邪魔するぜ」
　ふたりは奥の部屋に向かう。小ぢんまりとした玄関を通り過ぎてすぐ右にはキッチン、左にはトイレと浴室がある。キッチンと和室を区切る、昔ながらのガラス戸を開けると、6畳程のスペースと押入れが現れた。
「社員寮って、和室なんだな」
「そうだね。ポートマフィアと違って、探偵社員寮は和室だからね。荷物は適当に置いていいよ」
　室内には電気カーペットが敷いてあり、その上に円卓と座布団がある。3月と云ってもまだ冬を感じる時期なので、しっかり暖房もついていた。中也は荷物を部屋の隅に置くと、早速座布団に座った。久しぶりの感覚だ。

バレンタイン「ついに、これを使う時が来たか」
　中原中也は、眉間にシワを寄せながらひとり呟いた。今日はバレンタインデーだ。それも、元相棒の太宰治と恋人になってから初めての。何がどうなったのか、あれほど嫌いあっていたはずだったのに、気付けば恋人などという関係になっていた。恋人になってからまだ1ヶ月程しか経っていないので、いつまでこの関係を続けられるのか皆目検討がつかない。中也にも太宰にも、「恋人」という実感がまだ湧いていないのだ。そんな状況の中、バレンタインデーは恋人になってから初めて何か出来るイベントだった。だから、中也は張り切っていた。自分たちが「恋だの愛だの口に出すことは似合わない」と思っているものの、こんな関係になってしまった以上、嫌いな気持ち以上に「好き」と思っているのは間違いなかった。お互いそれが分かったからこそ、この関係を受け容れたのだ。恋人になってふわふわした気持ちの中、目前に迫っていたのはバレンタインデーだった。今思えば、通常であればこんなものは買わなかっただろう。恋人になりたてで、あり得ない程浮かれていたのだ。そしてあれこれ迷って、購入してしまった。ハートの形をした、陶器のマグカップを。

なぐさめて「はぁ……」
　自分にあてがわれた執務室のソファで、太宰はため息を吐いた。先程の任務で、失敗をしてしまったのだ。太宰持ち前の頭脳で編み出す作戦に、間違いはなかった。結果的に云えば、作戦は成功したのだ。ただ、中也が怪我をした。あろうことか太宰を庇って。
「予想外、だったな」
　太宰は、まさか中也が自分を庇うなんて考えもしなかった。太宰と中也は犬猿の仲だから。たとえ歩み寄ろうとしても、その距離は縮まらないだろう。それほど太宰と中也は合わないのだった。
「あの馬鹿犬、なんで私を庇ったのかな」
　中也には、太宰自ら囮になることを伝えてあった。自分が危なくなっても、敵を葬ることを優先しろと云い聞かせたのに。太宰は「あわよくば死ねる」と思っていたので、自分の生死は正直な所どうでも良かった。しかし、それで中也が怪我をしたことに不満があった。

停滞　これが、停滞期というヤツなのだろうか。

　太宰治は、恋人になった中原中也宅のソファに座りながら思考する。2人はつい2ヶ月程前、恋人になったばかりだ。太宰は随分前から中也のことが好きだった。と云っても、中也のことが好きだと気付いたのは割と最近で、「好き」と云う気持ちが一周まわって「嫌い」だとずっと思い込んでいた。太宰の友人である織田作之助の死をきっかけに、2人の行く道は別たれた。2人が再会するまでの4年もの期間は、太宰が「中原中也」という人間について考えなおすには充分すぎる時間だった。太宰は過去のことを綺麗サッパリ忘れてしまおうと思ったこともあったが、結局の所それは無理だった。勿論、今は亡き織田のこともあるが、それ以上に中也のことが忘れられなかった。間違いなく、出逢った当初の印象は「嫌い」だったのに。今でも恋人なんて関係になってしまったのはおかしいと思う時すらある。中也は自己犠牲が過ぎるのだ。自ら所属していた羊に裏切られても、中也は恩を仇で返すまいとポートマフィアと取引をして羊の構成員を守った。太宰は中也の言動を観察していて、自分が用意したこの選択肢を選ぶと思ったからそう仕向けたのだが、何とも気に食わなかった。だから、嫌がらせをしてやろうと思った。自分を大切にして、自分の意志で、自分の力を使え。持っている力の大きさなど関係ない。だから、それが出来ない中也は、私の犬なんだ。太宰は嫌がらせをするために中也の情報をわざわざ仕入れて「今週の負け惜しみ中也」を作ったし、爆弾も仕掛けたし、他にもくだらない悪戯をした。中也は話題になることであわよくば上手く周りに馴染めるだろうし、太宰の気持ちも幾分かマシになる。太宰はポートマフィアに所属している間、中也に嫌がらせをし続けた。2人のコミュニケーションは所謂「普通」と異なっていたのだ。

カフェでお茶する太中　フラペチーノ編　太宰と中也はショッピングモールで買い物をしていた。疲れてきたので休憩しようと思い、カフェに入る。割と常に混んでいる店内で注文の番を待っている時、太宰が中也に話しかけた。
「ねぇ、これ飲みたいのだけれど」
　太宰が店員に渡されたメニュー表を指差す。それは、メロン味のフラペチーノだった。噂では、果肉感が強く、メロンの甘さが引き立っていて美味しいらしい。人気商品であり、売り切れてしまう時もあるようだ。
「手前、これ飲みきれるのか」
　中也が心配するのも無理はない。太宰は冷たいものに滅法弱い。すぐにお腹を壊してしまうのだ。カフェで注文する時は、夏場でさえ注文するのは殆どホットドリンクである。
「だって、みんなこれ美味しいって云ってるじゃない。気になるじゃん」