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    #1

    zeppei27

    DONEハサアオ話の続きだよ!ちょっかいを出してくる(語弊)ハッサクに慣れつつあるアオキが、一緒に鍋を突きながら心をくすぐられる話。まだ続く

    前話 #1
    >https://poipiku.com/271957/8173131.html

    アオキは全具材おかわり派、ハッサク先生は最初はバランス良く……のはずが最後は肉だけ食べてるというのもいいなあと思います。〆を雑炊にするかうどんにすかで毎回バトルする。
    正しさの証明 #2 暇な人だ。アオキの中で、ハッサクの印象は右肩下がりの一方である。会うたびに何がしかの注意を受け、なんやかや時間を潰してゆくうちに説教に入る。最初の数回こそ真面目に傾聴したものの、今では説教されるんだな、と理解すると同時にどこか冷めた気持ちで聞き流していた。ハッサクは本当に細かい。挨拶や返事の仕方、メールの文章、退出方法におさだまりのやる気問題、身だしなみに、一体どこまで自分のことを見ているのだろうかと空恐ろしくなる。アオキ自身でさえも自分のことをそこまで細かく知りもしない。

     一方的に責められる日々の中で、アオキは面倒臭さと同時にハッサクの育ちの良さも感じていた。ピケタウンで営業活動をした帰りで髪の毛が乱れていた時には、どこからか取り出してきた櫛で整えながら身だしなみの大切さを説き、不健康に見えると言って大量に食べたくなるような美味しい店に連れ出したりもする。説教のつまらなさに眠らないよう下唇を噛めば、傷がつくと嗜めた後、後日新しいリップクリームを寄越してきた。もらったものは有り難く受け取る口なので、そのリップクリームはいまだに思い出した時に使用している。
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    紫垣🐠

    DONE笹仁/星空のアクアリウムOP.2 展示作品
    本編前(ねつ造)
    笹塚くんが仁科くんの音に初めて出会った日の話

    『GRADATIONS』(5編連作)
    #1『Colored Notes』に続きます…!
    Colorless Color #0

     無色透明。透明な水のようなヴァイオリンの音色だと思った。色のない、とても澄んだ。滔々と流れていく水のような音色。
     まるで、アクアリウムの水槽を満たす水のようだ。色とりどりのライトで照らせば、無限に思い通りに色彩も雰囲気も変えられる水槽の水。
     透明な音。癖のない音。無限に表情を変えられる音。
     個性がないというのとは全く違う。高い技術の奏者にありがちな、変に主張めいた音色の出し方やこれみよがしな自我や癖がない。どこまでもクリアだった。
     音楽以外で例えるのならば、思い通りの色を思い通りに乗せられる上質なキャンバスだ。乗せたい色を損なわない。
     これが、自分がずっと求めていた音だと思った。

    **

     明け方まで一睡もせず集中して作曲を続けていたから、授業に出席はしたものの、朝からずっとやる気が起きずに、ほぼ眠りの世界にいた。それでもいったん学校へ出てきてしまった以上、睡眠のためだけに家へ戻るのも面倒くさくて、午後は校内の人目につかない場所へ移動しようと思いついた。
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