SuzukichiQ
DONE龍羽ワンライです『ティータイム』 科学王国の人たちは皆一様によく働く。狩りをする人も見張りをする人も、ラボに籠る人も、役割は違えど働き者という意味では同じだった。サボり癖があるとしばしば言われる銀狼も、なんだかんだで引っ張られて役目を果たしている気がする。自分のやっている仕事が終われば、終わっていない人たちに声をかけて手を貸し、また仕事をする。日が沈むまでにその日やるべきことを終わらせて、夜になったら食事をとって、団欒を過ごしてよく眠る。翌日の仕事に備えるためだ。
科学王国の人たちは皆一様によく働く。龍水は、そういう働き者たちに比べるとずいぶん遊んでいる。少なくとも自分ではそう思っていた。するべき仕事はするのだが、とにかく娯楽が好きだ。仕事の合間にもちょっとした娯楽が欲しいし、なんなら仕事と娯楽の境界線があいまいになることすらある。天気がよければ外に遊びにいきたい、雨が降ればボードゲームに興じたい、翌日が休息日ならば寝るのを忘れて楽しみたい。不規則な生活が続けばフランソワの小言が待っているので程々にするが、それでも大目に見てくれる日はある。
2982科学王国の人たちは皆一様によく働く。龍水は、そういう働き者たちに比べるとずいぶん遊んでいる。少なくとも自分ではそう思っていた。するべき仕事はするのだが、とにかく娯楽が好きだ。仕事の合間にもちょっとした娯楽が欲しいし、なんなら仕事と娯楽の境界線があいまいになることすらある。天気がよければ外に遊びにいきたい、雨が降ればボードゲームに興じたい、翌日が休息日ならば寝るのを忘れて楽しみたい。不規則な生活が続けばフランソワの小言が待っているので程々にするが、それでも大目に見てくれる日はある。
tayutau_nami
DONE龍羽でエチなやつ練習。ゆるいけど一応入ってるのでR18
※いれてから動き出すまで
※🏹が閉所フェチだといいなという妄想
※我慢する攻めが好き
個人的な癖を詰めてるので、ムリならば回れ右でお願いします!(超重要) 8
SuzukichiQ
DONE龍羽ワンライです『聞こえた!』 実際のところ、普通の人はどのくらい聴こえるものなんだろうと考えたことがある。
羽京にとっては生まれたときから自分の聴こえ方が自分にとって普通だったから、感覚的な意味で聴力の良さに気付くのは遅かった。
両親はたぶん早く気付いていた。幼少期の自分はどうやら言葉の発達が人一倍早かったらしい。歌を覚えるのも物心がつくより前のことだった。それでも普通に育てられたから、まわりと自分の差異が分かってきたのは小学校に上がってからだったと思う。地獄耳と初めて言われたのもそのくらいの時期だった。
気にしていた時期もあったが、専門機関で検査を受けてからは納得が出来るようになった。どんな小さな音でも聴こえる――ということではなくて、どうやらこの聴力の良さというのは、周囲をよく観察し、洞察する性分と掛け合わさった結果なのだという。その説明は自分のなかにストンと落ちて、以降は地獄耳だと言われても実際そうなんだと思うようになった。疲れていたり周りが見えていないときには他よりちょっと耳がいいくらいの人間だし、高い集中力が必要な環境になれば、拾った音の情報をより多く早く処理できる。それで周りに頼られることも増えた。
2320羽京にとっては生まれたときから自分の聴こえ方が自分にとって普通だったから、感覚的な意味で聴力の良さに気付くのは遅かった。
両親はたぶん早く気付いていた。幼少期の自分はどうやら言葉の発達が人一倍早かったらしい。歌を覚えるのも物心がつくより前のことだった。それでも普通に育てられたから、まわりと自分の差異が分かってきたのは小学校に上がってからだったと思う。地獄耳と初めて言われたのもそのくらいの時期だった。
気にしていた時期もあったが、専門機関で検査を受けてからは納得が出来るようになった。どんな小さな音でも聴こえる――ということではなくて、どうやらこの聴力の良さというのは、周囲をよく観察し、洞察する性分と掛け合わさった結果なのだという。その説明は自分のなかにストンと落ちて、以降は地獄耳だと言われても実際そうなんだと思うようになった。疲れていたり周りが見えていないときには他よりちょっと耳がいいくらいの人間だし、高い集中力が必要な環境になれば、拾った音の情報をより多く早く処理できる。それで周りに頼られることも増えた。
SuzukichiQ
PAST龍羽ワンライ【銃】 石神村から離れた場所の、小さな滝がある岩場の近く。
緑と灰色の景色に混ざり、僕は今、息をひそめている。
二日前に雨が降った影響で、滝の勢いはやや強く、水の落ちゆく音が耳にはよく届いた。かすかな人の声くらいなら簡単にかき消されるだろう。僕自身はというと声を出さず、大きな岩とそこに寄りかかるような木の根元に身をおさめ、周囲の様子をうかがっていた。空気は涼しいはずなのに首筋や背中には汗が流れていて、自分の身体が緊張していることが分かった。
手の中には、鉄の重みがある。その鉄の塊には部品としての尾筒があり、スライドがあり、グリップと撃鉄があり、引き金がある。
この世界で自分がこんなものを握る日がくるなんて思っていなかった。
2305緑と灰色の景色に混ざり、僕は今、息をひそめている。
二日前に雨が降った影響で、滝の勢いはやや強く、水の落ちゆく音が耳にはよく届いた。かすかな人の声くらいなら簡単にかき消されるだろう。僕自身はというと声を出さず、大きな岩とそこに寄りかかるような木の根元に身をおさめ、周囲の様子をうかがっていた。空気は涼しいはずなのに首筋や背中には汗が流れていて、自分の身体が緊張していることが分かった。
手の中には、鉄の重みがある。その鉄の塊には部品としての尾筒があり、スライドがあり、グリップと撃鉄があり、引き金がある。
この世界で自分がこんなものを握る日がくるなんて思っていなかった。
tayutau_nami
DONEお題「銃」「フード」…このお題を聞いたらもうサイバーパンクしか浮かばなくて…😱 ※妄想脚色が強めなのでポイにあげます。#3期_龍羽ワンドロライ @ryuu_1hour 6
雪@yukinoomote
DONE龍羽(未満)/なんとなくシリーズにしたいやつをここにまとめておこうかと。現在収納してるのは
①龍羽のファーストコンタクト+おまけ
②シュトーレンのくだりから徐々に距離を縮めていく二人の漫画です。 4
SuzukichiQ
DONE6/25潮騒の無配冊子です。新刊「プラットフォーム・ゲートウェイ」の内容を一部含みますが知らなくても大丈夫です。【龍羽】Firstletter,lastletter 拝啓 西園寺羽京殿
入梅の候、変わりなくお過ごしだろうか。羽京殿におかれては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げる。
貴様に伝えることがあって手紙を書いている。
ただ、用件だけではこの紙一枚すらも埋まらず、無粋な手紙になってしまう。思いついたことをとりあえず書いていく。
このまえは短い期間だったが、顔を見ることができてよかった。北米と日本間の弾丸移動というのは初めてだったが、やってみれば出来るものだ。日本を発つとき、空港にスイカたちが来た。ゲンもいて話を聞いたのだが、貴様はゲンとの予定をわざわざ変更したのだな。改めて礼を伝えておく。
スイカたちに見送られてからのことだが、予定をしていた通り北米に戻った。今も宇宙センターでエンジニアと打ち合わせをする毎日だ。件の一仕事のあとからSAIもプロジェクトに加わった。やるべきことは多いが、休みたいときは船で海へと出たりチェスやゲームをしたりと、やりたいことをして過ごしている。普段は湿度が低くて気温もあまり高くないから、日中も夜も過ごしやすくて助かる。
4576入梅の候、変わりなくお過ごしだろうか。羽京殿におかれては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げる。
貴様に伝えることがあって手紙を書いている。
ただ、用件だけではこの紙一枚すらも埋まらず、無粋な手紙になってしまう。思いついたことをとりあえず書いていく。
このまえは短い期間だったが、顔を見ることができてよかった。北米と日本間の弾丸移動というのは初めてだったが、やってみれば出来るものだ。日本を発つとき、空港にスイカたちが来た。ゲンもいて話を聞いたのだが、貴様はゲンとの予定をわざわざ変更したのだな。改めて礼を伝えておく。
スイカたちに見送られてからのことだが、予定をしていた通り北米に戻った。今も宇宙センターでエンジニアと打ち合わせをする毎日だ。件の一仕事のあとからSAIもプロジェクトに加わった。やるべきことは多いが、休みたいときは船で海へと出たりチェスやゲームをしたりと、やりたいことをして過ごしている。普段は湿度が低くて気温もあまり高くないから、日中も夜も過ごしやすくて助かる。
水滴(kimidori_14)
DOODLEまとめ5・龍羽アニメ3期ワンドロ企画にて描いたものまとめ。
第10回「科学学園」は忙しくてリアルタイムで参加できなかったのでまとめ用に後日書き下ろしました。
主線の色が違ったり絵のバランスが変なところなどありますが
限られた時間の中で唸りながら描いた証として
修正などはせずそのまま載せておこうと思います。 11
isnm__
DONEネーム▶︎花さん(@hanakuso_dujn)作画▶︎屋の
送られてきたネーム見たとき唸りました。はなさんネームからのニュアンスを表現できたか不安ですが、メチャメチャたのしかったです🫶! 7
SuzukichiQ
MAIKINGこれ(https://poipiku.com/1014695/8097738.html)の続き。何がどう続きなのかはまだ言えないけど続き。ある中長編の導入です。
※タイトルは仮
【龍羽】未分化(続き) なにかが裂けるような音で目覚めた。
それがいったい何の音だったのか、もう分からない。耳のそばで確かに聞こえた、裂けるような破れるような少し高くて短い音。布や紙のようだと思ったが、断定はできそうになかった。
自然とまぶたが持ち上がる。視界の先で、あかりが消された部屋の闇のなかで、白いはずの天井とランプシェードがぼんやり見えていた。あたりは静かで、人の足音や声や衣擦れは聴こえてこない。外もただただ風がふいているくらいで、海が遠いから波音も届いてこなかった。
状態を起こした。見下ろすと、自分の身体に被っている布団がある。手でふれてみたが、布が裂けている様子もなさそうだし、近くに紙が落ちているようでもなかった。耳に届いたあの音はいったい何だったのだろう。
2526それがいったい何の音だったのか、もう分からない。耳のそばで確かに聞こえた、裂けるような破れるような少し高くて短い音。布や紙のようだと思ったが、断定はできそうになかった。
自然とまぶたが持ち上がる。視界の先で、あかりが消された部屋の闇のなかで、白いはずの天井とランプシェードがぼんやり見えていた。あたりは静かで、人の足音や声や衣擦れは聴こえてこない。外もただただ風がふいているくらいで、海が遠いから波音も届いてこなかった。
状態を起こした。見下ろすと、自分の身体に被っている布団がある。手でふれてみたが、布が裂けている様子もなさそうだし、近くに紙が落ちているようでもなかった。耳に届いたあの音はいったい何だったのだろう。
SuzukichiQ
MAIKING石化の時代よりも前に邂逅している2名の話。中長編の導入。※タイトル仮です。
【龍羽】未分化 相模湾から船で約二時間。
本州を出て海上を東に進み、水平線でも陸地が見えなくなって暫くしたころ、小さな島々が現れる。多くの日本人が名前すら知らないような島のあつまりだった。日本にある島の数は実に約六千八百、位置や島名については公表されていないものも沢山あるというのだから、地図には載っていないような島々があってもおかしくない。
そうした島のうち、龍水はひとつを所有していた。無人島として浜辺や森しか当時なかったその島に、自分のための別荘を建てている。娯楽用の設備はないし、電気もガスも通っていないが、海を楽しむには充分だし、フランソワがいれば食事に困ることもなかった。自分と同じように海が好きな友人や客人をときどき招き、マリンスポーツやキャンプを楽しむために使っていた。
5720本州を出て海上を東に進み、水平線でも陸地が見えなくなって暫くしたころ、小さな島々が現れる。多くの日本人が名前すら知らないような島のあつまりだった。日本にある島の数は実に約六千八百、位置や島名については公表されていないものも沢山あるというのだから、地図には載っていないような島々があってもおかしくない。
そうした島のうち、龍水はひとつを所有していた。無人島として浜辺や森しか当時なかったその島に、自分のための別荘を建てている。娯楽用の設備はないし、電気もガスも通っていないが、海を楽しむには充分だし、フランソワがいれば食事に困ることもなかった。自分と同じように海が好きな友人や客人をときどき招き、マリンスポーツやキャンプを楽しむために使っていた。
myo_uga_no
DOODLEアラビアン龍羽(R-15ちょっとえっち注意)はいるよたぶん
転載・使用・二次加工禁止|Reproduction and secondary use prohibited.
SuzukichiQ
DONE寝る前の1時間ライティング。月がきれいですね。タイトルは絵本から。
シマフクロウと湖 夜の森を歩き進めていく。今日おちたばかりの落葉をふみしめて。
昼間に歩いて回るときと同じなのに、夜の雰囲気によって音が少し違って聞こえる。ひんやりと乾燥した空気が耳元を過ぎていき、わずかに服にも入り込んだ。日々深まる秋のなかに、冬の気配が混ざり始めていた。そろそろ毛皮の服がほしい時期になっていた。
「毛皮の服が欲しいな」
「そうだね」
同じことを考えていたらしい声がすぐ近くから聞こえた。口元で笑ったが、きっとそこまでは見られていないだろう。
話したのはそれくらいだった。
夜の森の、深いところを進んでいく。ふたりで、ほとんど言葉を交わすことなく。最初、道はゆるやかな上り坂だった。言われなければ気付かないくらいの傾斜で、なおかつ道は舗装されていない。落葉をふみしめ、たまにパキンと小枝の折れる音もたてながら、少しずつ高いところに進む。さっきよりも寒くなっている気はするが、体温が上がっているから冷えはない。
1933昼間に歩いて回るときと同じなのに、夜の雰囲気によって音が少し違って聞こえる。ひんやりと乾燥した空気が耳元を過ぎていき、わずかに服にも入り込んだ。日々深まる秋のなかに、冬の気配が混ざり始めていた。そろそろ毛皮の服がほしい時期になっていた。
「毛皮の服が欲しいな」
「そうだね」
同じことを考えていたらしい声がすぐ近くから聞こえた。口元で笑ったが、きっとそこまでは見られていないだろう。
話したのはそれくらいだった。
夜の森の、深いところを進んでいく。ふたりで、ほとんど言葉を交わすことなく。最初、道はゆるやかな上り坂だった。言われなければ気付かないくらいの傾斜で、なおかつ道は舗装されていない。落葉をふみしめ、たまにパキンと小枝の折れる音もたてながら、少しずつ高いところに進む。さっきよりも寒くなっている気はするが、体温が上がっているから冷えはない。
millustacc
MEMOあまり整頓できてないけど続きend point⑤(ご主人様、今度はどこにお出かけするんですか?)
(あぁ!不死身の死に関する情報を得たので隣国の方に行ってくる)
(そんな、海なんて危ないのに…僕のためにそこまでしないでください…)
(何を言っている?それはついでに過ぎないさ。俺の個人的な、隣国へのちょっとした視察だ)
坊ちゃんは太陽のような笑顔を僕に向けてくれる。
(気兼ねなく待ってろよ羽京!)
以来坊ちゃんは帰ってこなかった。
坊ちゃんの乗った船が行方知れずと言っていた。行方知れずというだけで死んだかどうかなんてわからない。坊ちゃんは絶対帰ってくる。約束を破られたことなんて一度もなかった。僕は坊ちゃんを信じてる。坊ちゃんを諦めた使用人たちはポツリぽつりとここを離れる。待っていたハズの者たちもいなくなる。
3172(あぁ!不死身の死に関する情報を得たので隣国の方に行ってくる)
(そんな、海なんて危ないのに…僕のためにそこまでしないでください…)
(何を言っている?それはついでに過ぎないさ。俺の個人的な、隣国へのちょっとした視察だ)
坊ちゃんは太陽のような笑顔を僕に向けてくれる。
(気兼ねなく待ってろよ羽京!)
以来坊ちゃんは帰ってこなかった。
坊ちゃんの乗った船が行方知れずと言っていた。行方知れずというだけで死んだかどうかなんてわからない。坊ちゃんは絶対帰ってくる。約束を破られたことなんて一度もなかった。僕は坊ちゃんを信じてる。坊ちゃんを諦めた使用人たちはポツリぽつりとここを離れる。待っていたハズの者たちもいなくなる。
millustacc
MEMO続きものぽちぽちend point④「また来たの」
こんな問答も何回目になるんだろう。二、三日に一回ほどのペースで龍水は羽京のところにお邪魔していた。羽京は同じ言葉を毎回龍水に言うけれどそのあとはいつも無言で招き入れる。龍水が何かしらの茶菓子を持ってくるのも当たり前のことになっていて、それを食しながら食堂で談笑するのがいつの間にか日課となっていった。
「こんな真昼間から来てさぁ、ねぇ領主様って暇なものなの?」
「俺は要領がいいんだ」
「…そうだろうね」
羽京は「それ自分で言うんだ…」と言いたげな顔で龍水を見た。
「さぁ、今日は何を話そうか」
最近は専ら龍水の話ばかりだった。家柄、仕事、いつも手土産を持たせてくれる執事の話…羽京に関しては「食べるのが好き」「音楽が好き」「主人の帰りを待っている」「不死身…」最初の頃に知ったことばかりで他の情報があまり得れていない。いや、この数ヶ月で分かったことも多少はあったか。屋敷に小さなダンスホールがあったからそこで羽京を誘って踊ったけれど初めての割には上手く踊れていたなとか、いつも俺が玄関でノックをする前に気付くのはなぜかと聞いたときは耳が良いのだと教えてくれたな。俺がどんな領主なのか知ったのも、屋敷まわりで野草でも取っていたのであろう住人の噂話からだったと最近になって教えてくれた。
3387こんな問答も何回目になるんだろう。二、三日に一回ほどのペースで龍水は羽京のところにお邪魔していた。羽京は同じ言葉を毎回龍水に言うけれどそのあとはいつも無言で招き入れる。龍水が何かしらの茶菓子を持ってくるのも当たり前のことになっていて、それを食しながら食堂で談笑するのがいつの間にか日課となっていった。
「こんな真昼間から来てさぁ、ねぇ領主様って暇なものなの?」
「俺は要領がいいんだ」
「…そうだろうね」
羽京は「それ自分で言うんだ…」と言いたげな顔で龍水を見た。
「さぁ、今日は何を話そうか」
最近は専ら龍水の話ばかりだった。家柄、仕事、いつも手土産を持たせてくれる執事の話…羽京に関しては「食べるのが好き」「音楽が好き」「主人の帰りを待っている」「不死身…」最初の頃に知ったことばかりで他の情報があまり得れていない。いや、この数ヶ月で分かったことも多少はあったか。屋敷に小さなダンスホールがあったからそこで羽京を誘って踊ったけれど初めての割には上手く踊れていたなとか、いつも俺が玄関でノックをする前に気付くのはなぜかと聞いたときは耳が良いのだと教えてくれたな。俺がどんな領主なのか知ったのも、屋敷まわりで野草でも取っていたのであろう住人の噂話からだったと最近になって教えてくれた。
millustacc
MEMO前回の続きまだ全然続きそうな気配…
合間合間でポチポチしていきます
end point③快晴。外出日和。こんな日は自分の帆船で海に出るのも悪くない。
しかし、龍水は今日も手土産を持って不死身の屋敷に足を運んでいた。果物は何が好きだろう。リンゴ?グレープ?とにかく近場で採れたものをひと通り詰めてもらった。屋敷に段々近づいていくといつもは聴こえない音色が聴こえてくる。
ピアノの音?
以前屋敷を一部見たときピアノの置いてある部屋があったなと思い出す。まさか彼が弾いているのだろうか。屋敷に近づくと音が止み、いつもの帽子を被った彼が玄関から顔を出した。
「よくもまぁまた来る気になったね」
「行くと言ったら行く。先程の音色は貴様か?」
「なんだ聴こえてたの」
「ここ一帯は静かだからな。音がよく通る」
話していると青年はドアを開けたまま中に戻っていった。入っていいということなのだろう。
4123しかし、龍水は今日も手土産を持って不死身の屋敷に足を運んでいた。果物は何が好きだろう。リンゴ?グレープ?とにかく近場で採れたものをひと通り詰めてもらった。屋敷に段々近づいていくといつもは聴こえない音色が聴こえてくる。
ピアノの音?
以前屋敷を一部見たときピアノの置いてある部屋があったなと思い出す。まさか彼が弾いているのだろうか。屋敷に近づくと音が止み、いつもの帽子を被った彼が玄関から顔を出した。
「よくもまぁまた来る気になったね」
「行くと言ったら行く。先程の音色は貴様か?」
「なんだ聴こえてたの」
「ここ一帯は静かだからな。音がよく通る」
話していると青年はドアを開けたまま中に戻っていった。入っていいということなのだろう。
millustacc
MEMOhttps://poipiku.com/2470588/7298546.htmlこの龍羽の続き?みたいなものです
なんか章ごとにアップする感じになってます
end point②新しい土地に関する仕事を片付けているといつの間にか太陽が沈む時間。執事に作らせた夕ご飯とデザートを携え、龍水は発言の通り不死身の屋敷に足を運んだ。
今度は帽子の青年がドアから飛び出てくることはなくドアをノックすることが出来た。十秒ほど経った頃、渦中の人物が呆れたような顔を出して出迎えた。
「…ほんとに来たんだ」
「来ると言っただろう」
「今日はなんの話?もう昨日で終わったと思うけど」
「貴様が気に入ったと言ったはずだ。失礼な人間ばかりで疲れていたのだろう?今日は夕飯デザート付で持ってきた。少し話そう」
龍水は袋をこれ見よがしに青年に見せつける。青年はしぶしぶといった様子で龍水を招き入れた。彼自身も夕食の準備をしていたからか今日は応接室ではなく食堂である奥の方へと龍水は通される。食堂に向かう青年の後ろに着いていく際に龍水は疑問を口にした。
3858今度は帽子の青年がドアから飛び出てくることはなくドアをノックすることが出来た。十秒ほど経った頃、渦中の人物が呆れたような顔を出して出迎えた。
「…ほんとに来たんだ」
「来ると言っただろう」
「今日はなんの話?もう昨日で終わったと思うけど」
「貴様が気に入ったと言ったはずだ。失礼な人間ばかりで疲れていたのだろう?今日は夕飯デザート付で持ってきた。少し話そう」
龍水は袋をこれ見よがしに青年に見せつける。青年はしぶしぶといった様子で龍水を招き入れた。彼自身も夕食の準備をしていたからか今日は応接室ではなく食堂である奥の方へと龍水は通される。食堂に向かう青年の後ろに着いていく際に龍水は疑問を口にした。
millustacc
MEMO不死身の🏹と土地を治める🐉の話(たぶんファンタジー)※龍羽
※とりあえず序章だけ
end point木々がざわめく音、遠くから聞こえる波がさざめく音、屋敷に響く僕だけの足音。
そして三百年に数回、外から来る見知らぬ他人の足音。来て様子を見てみては気味悪がって去って行く。僕に出て行って土地を寄越してほしいのだろうが出て行く気はさらさらない。だってご主人様が帰ってくるかもしれないから。同じ日を繰り返し僕はいつまでもここで待つ。
──だけれど、今日は確かな足音がひとつ。屋敷に向かって響いていた。
序
成人し、とある土地を治めることになった俺は前任者、またはその土地に住む人々から毎回聞かされる話があった。
「丘の上には悪魔が住んでいる」「不死身でずっと居着いている」「気味が悪いから出て行ってほしい」どうにかならないかと口々に言われた。しかし悪さはしていないようで気味が悪いだけで追い出すのはいかがなものかと思った俺はまず最初に会うことにした。周りからは一人で行くのは危険だとか言うが付いてくる者を探すだけで時間の無駄だ。あの丘の上からは海が見えるはずだし新しい御宿にするのも悪くない。俺は早く会って話をして行動し、ことを進めたい。時間は有限なのだ。
3246そして三百年に数回、外から来る見知らぬ他人の足音。来て様子を見てみては気味悪がって去って行く。僕に出て行って土地を寄越してほしいのだろうが出て行く気はさらさらない。だってご主人様が帰ってくるかもしれないから。同じ日を繰り返し僕はいつまでもここで待つ。
──だけれど、今日は確かな足音がひとつ。屋敷に向かって響いていた。
序
成人し、とある土地を治めることになった俺は前任者、またはその土地に住む人々から毎回聞かされる話があった。
「丘の上には悪魔が住んでいる」「不死身でずっと居着いている」「気味が悪いから出て行ってほしい」どうにかならないかと口々に言われた。しかし悪さはしていないようで気味が悪いだけで追い出すのはいかがなものかと思った俺はまず最初に会うことにした。周りからは一人で行くのは危険だとか言うが付いてくる者を探すだけで時間の無駄だ。あの丘の上からは海が見えるはずだし新しい御宿にするのも悪くない。俺は早く会って話をして行動し、ことを進めたい。時間は有限なのだ。