ツキシロ
DONEフィ晶バレンタイン小話です。甘め。めくるめく春「もしもこのケーキの中に、惚れ薬が入っていたらどうする?」
そう言うと、女──今代の賢者──は、ごほごほと大げさに咳き込んだ。彼女の前に置いてあるルージュベリーのショートケーキは、既に三分のニほどがその胃袋におさまっている。
「おっと、大丈夫? お茶飲んで」
ポットを取り、温かい紅茶をカップに注いでやる。ぬるくなってきていたのだろう、彼女はカップを取ると、それを一息に飲み干した。
「ほ、惚れ薬って、そんなの、この世界にはあるんですか?」
尋ねてくるベリー色の唇のそば、柔らかそうな頬は赤くはなく、どちらかというと青い。
やれやれ、と内心溜息をついて、肩をすくめた。籠絡という言葉が聞きすぎたようで、どうもこの賢者は、俺に心を許してくれない。前途多難だ。
1439そう言うと、女──今代の賢者──は、ごほごほと大げさに咳き込んだ。彼女の前に置いてあるルージュベリーのショートケーキは、既に三分のニほどがその胃袋におさまっている。
「おっと、大丈夫? お茶飲んで」
ポットを取り、温かい紅茶をカップに注いでやる。ぬるくなってきていたのだろう、彼女はカップを取ると、それを一息に飲み干した。
「ほ、惚れ薬って、そんなの、この世界にはあるんですか?」
尋ねてくるベリー色の唇のそば、柔らかそうな頬は赤くはなく、どちらかというと青い。
やれやれ、と内心溜息をついて、肩をすくめた。籠絡という言葉が聞きすぎたようで、どうもこの賢者は、俺に心を許してくれない。前途多難だ。
ぼのぼ
DONEフィ晶♀のフォ学軸コンパニオンバイトしてる晶ちゃん(高校生)が保険医フィに買われるまでの倫理観のない話①
春雷 出会いは、春。新学期も始まり麗らかな日差しが窓から差し込む今日この頃、真木晶は保健室にいた。連日のバイトと元よりの貧血気味な体質は頭痛をもたらした。割れるように痛む頭を落ち着かせるため薬品の匂いのするベッドに晶が横になったのは1時間ほど前だろうか。気づけば夕方の日差しを受けた風がカーテンを揺らしている。
「んっ、せんせぃ、もっと」
そんな穏やかな空気に似つかわしくないいかがわしい女の声が彼女の耳につく。今先生って言った?ということは、保険医のフィガロ先生だろうか。
保険医フィガロは入学式の時からずっと女子生徒がかっこいいと騒いでいるこの学園の有名人だ。こんなタイミングで起きるのも気まずいので晶はこのまま二度寝を決め込むことにした。
3597「んっ、せんせぃ、もっと」
そんな穏やかな空気に似つかわしくないいかがわしい女の声が彼女の耳につく。今先生って言った?ということは、保険医のフィガロ先生だろうか。
保険医フィガロは入学式の時からずっと女子生徒がかっこいいと騒いでいるこの学園の有名人だ。こんなタイミングで起きるのも気まずいので晶はこのまま二度寝を決め込むことにした。
ツキシロ
DONEガルシア博士×アシストロイド晶♀。パラロイ軸本編後、ラボに残った晶。約五十年後、博士が亡くなった後、旅に出ていたオーエンとクロエがラボを訪れる話です。捏造多数。晶はカルディアシステム搭載です。パラレルワールド・スターチス 博士のことですか?
そうですね、とってもお優しい方でした。私たちアシストロイドのことも、友人のように扱ってくださいました。アシストロイド差別について、何度か講演などもしていらっしゃいましたが、あれは本当に、仕事だからやっていたのではなく、私たちアシストロイドのことを、生活のパートナーとして思っていてくれたことは、ラボラトリーの中の人間も、もちろんアシストロイドも、誰もが知っていることです。
それ以外のこと? もうお亡くなりになった方のことを話すのは憚られますが……そうですね、博士が受けていらっしゃったお仕事ですから……とても、真面目な方でした。真面目、といいますか、本当に研究がお好きなんだな、と思うことが多々ありました。研究だけではなく、先ほどのような講演やメディア出演、ラボの中での会議など、寝る間もない時期というものが、一年の間に何回もありました。それでも、ご自分の興味があることを見つけると、目がきらきらと輝いて、そのことに集中して、三日も寝ない、ということもありました。ええ、そういう時は、私や、その他の博士の助手を務めていたアシストロイドが、無理矢理にでも寝室にお連れしました。脳波や呼吸、脈拍などを感知していれば、さすがにもう休ませたほうがいい、という潮時は、私たちアシストロイドにはわかりますから。そのために博士は私たちをおそばに置いてくださったのだと思います。
8036そうですね、とってもお優しい方でした。私たちアシストロイドのことも、友人のように扱ってくださいました。アシストロイド差別について、何度か講演などもしていらっしゃいましたが、あれは本当に、仕事だからやっていたのではなく、私たちアシストロイドのことを、生活のパートナーとして思っていてくれたことは、ラボラトリーの中の人間も、もちろんアシストロイドも、誰もが知っていることです。
それ以外のこと? もうお亡くなりになった方のことを話すのは憚られますが……そうですね、博士が受けていらっしゃったお仕事ですから……とても、真面目な方でした。真面目、といいますか、本当に研究がお好きなんだな、と思うことが多々ありました。研究だけではなく、先ほどのような講演やメディア出演、ラボの中での会議など、寝る間もない時期というものが、一年の間に何回もありました。それでも、ご自分の興味があることを見つけると、目がきらきらと輝いて、そのことに集中して、三日も寝ない、ということもありました。ええ、そういう時は、私や、その他の博士の助手を務めていたアシストロイドが、無理矢理にでも寝室にお連れしました。脳波や呼吸、脈拍などを感知していれば、さすがにもう休ませたほうがいい、という潮時は、私たちアシストロイドにはわかりますから。そのために博士は私たちをおそばに置いてくださったのだと思います。
kawatany_san
DONEフィガ晶♂ mhyk愛を囁くほどに嘘くさくなっていくフィ。
事後表現あるので、R15ぐらいの雰囲気短文。
最後に頭を撫でられたのはいつのことだったろうか。
目覚めと眠りの間を揺蕩う、ここちよい感覚に満たされていると、ふとそんなことを思った。
ふわふわとした心地の中、浮かんだ疑問は泡のように消えていったのに、消える頃になってあたたかな温もりが頭に触れる。
その心地良さに、息を吐き出すと、頭に触れていた手がゆっくりと髪を撫でていくのを感じ、夢見心地だった意識が急速に現実に引き戻されていくのが分かった。
「……なに、してるんです」
瞼を押し上げると、目の前には秋の湖を思わせるような、榛色が見えた。
感情を押し殺した声は、数時間ぶりに言葉らしきものを発したせいか、酷く不格好に掠れて響く。
「つれないね。ベッドの中ではあんなに素直なのに」
984目覚めと眠りの間を揺蕩う、ここちよい感覚に満たされていると、ふとそんなことを思った。
ふわふわとした心地の中、浮かんだ疑問は泡のように消えていったのに、消える頃になってあたたかな温もりが頭に触れる。
その心地良さに、息を吐き出すと、頭に触れていた手がゆっくりと髪を撫でていくのを感じ、夢見心地だった意識が急速に現実に引き戻されていくのが分かった。
「……なに、してるんです」
瞼を押し上げると、目の前には秋の湖を思わせるような、榛色が見えた。
感情を押し殺した声は、数時間ぶりに言葉らしきものを発したせいか、酷く不格好に掠れて響く。
「つれないね。ベッドの中ではあんなに素直なのに」
おばあ
MENUパスワードoffにしましたので当日見れなかった等ありましたらよかったら覗いてってください☺️一応付き合ってる(大事)フィ晶♀が海に遊びに行くお話です⛱🐬🏝
⚠︎モブが出てきて絡んできます
全10ページ/全年齢
追記:線画の色が少し浮いてたので訂正しました 11
近衛 無花果
PROGRESS賢者がオズとフィガロの世界征服時代(約1000年前)にタイムスリップして平民モブに拾われたり過去の魔法使いと出会ったり城で雇われたり……と不思議な力に守られつつ頑張って生きていくお話(の進捗)Twitter掲載済み 非恋愛のフィ晶♀ モブがたくさんいます 5454
Ukue
DONE11/14【月よりのエトランゼ】展示作品です。PWはおしながきに貼っているリンク先に記載しています。
自分の住む世界にフィガロが来てもまだ「好き」を素直に伝えられない晶♂と
「好き」と言われていることに気づかないフィガロのお話。
I love youは聞こえない→フィガロの話
I love youは届かない→晶♂の話
になっています。
I love youは聞こえない / I love youは届かないあの世界の月――≪大いなる厄災≫は綺麗ではなかった。
たくさんの生物を殺し、大地を壊し、賢者の魔法使いたちに傷を与えた。
血に染まった、醜い存在。
だけど、この世界に来てからはどうだろう。
この世界の月は俺たちに危害を加えることはないし、何かを壊すこともない。
毎晩暗くなった街を照らし、人々に希望を与えている。
「あの世界で『月が綺麗だ』って言ったら、フィガロは不謹慎だと怒りましたよね」
「そりゃそうだよ。賢者様は殺人鬼を美しいと思うのってあの時も聞いたはずだけど」
「俺はそんな変わった人じゃないです」
賢者様はたまに意味不明なことを言う。
蒸し暑い時に「今日は少し肌寒いですね」とか、晴れているのに「雨、止みませんね」とか言っていた。俺が「風邪引いたの?」「大丈夫?」と声をかける度、悲しそうな顔をしていた。
1357たくさんの生物を殺し、大地を壊し、賢者の魔法使いたちに傷を与えた。
血に染まった、醜い存在。
だけど、この世界に来てからはどうだろう。
この世界の月は俺たちに危害を加えることはないし、何かを壊すこともない。
毎晩暗くなった街を照らし、人々に希望を与えている。
「あの世界で『月が綺麗だ』って言ったら、フィガロは不謹慎だと怒りましたよね」
「そりゃそうだよ。賢者様は殺人鬼を美しいと思うのってあの時も聞いたはずだけど」
「俺はそんな変わった人じゃないです」
賢者様はたまに意味不明なことを言う。
蒸し暑い時に「今日は少し肌寒いですね」とか、晴れているのに「雨、止みませんね」とか言っていた。俺が「風邪引いたの?」「大丈夫?」と声をかける度、悲しそうな顔をしていた。