らんじゅ
涂鸦㌦軸🌲🌲🌲🌲はらぺこで不機嫌なミヤビがミヤコの指をしゃぶる話
はらぺこ怪獣ミヤビ ミヤビは酷く苛立っていた。理由は簡単、はらぺこだからだ。しかしミヤビの現在地は渋滞の最中のロケバスである。普段から大量に食べて目一杯動くミヤビのためにスイートハニーエンジェルことハルカがタッパーいっぱいにおやつを持たせてくれているのだが、それを消費しきってなお抜けられない渋滞に捕まっていたのだ。傍らにはウトウトと船を漕ぐシア。通路を挟んだ反対には何やらSNSのチェックをしているミヤコ、その前にはもはや彫刻ではないかと見紛うエルケが美しく静かに寝息を立てていた。
「せんぱい……」
「ん〜?」
「そっち行っていいっすか」
「いいよ、どした?」
「口寂しいので指貸してください」
「指」
ミヤコの頭上ではてなが弾ける。『口寂しいから指を貸せ』の意味がいまいちわからないうちにミヤビはそそくさとミヤコの隣の席に移動した。
2169「せんぱい……」
「ん〜?」
「そっち行っていいっすか」
「いいよ、どした?」
「口寂しいので指貸してください」
「指」
ミヤコの頭上ではてなが弾ける。『口寂しいから指を貸せ』の意味がいまいちわからないうちにミヤビはそそくさとミヤコの隣の席に移動した。
tabasuko
涂鸦痛み分け暗い所が苦手なエルケさん「エルケさん! 大丈夫ですか!」
藤鷹翔寛は困惑していた。
今日はエルケと月末の事務的な打ち合わせがあった。昼間に関西の方で仕事があり、その仕事が押した事もありEMMCに到着するのが遅くなった。調整してもらった時間はすでに陽が落ちた後だった。
隙を一切見せない絶対零度の魔王が、事務所の打ち合わせ室の入り口を少し入った所で電気も点けずに膝を着いて口に手をあてて俯いている。足元に散らばる資料のコピー用紙に、エルケが今動けない状況なのだと頭が判断する。
部屋に入りエルケの前に回り込んだ藤鷹は痛む足を気にする事なくエルケと同じ目線になるように屈んでエルケの様子を伺った。さらりと揺れる深海の髪の合間から微かに見える表情は堅く目線が震えているようにも思える。藤鷹と共に居たスタッフが数人エルケに駆け寄りあたふたしていると、エルケがじっとりと汗をかいた手で藤鷹の腕に触れた。
1577藤鷹翔寛は困惑していた。
今日はエルケと月末の事務的な打ち合わせがあった。昼間に関西の方で仕事があり、その仕事が押した事もありEMMCに到着するのが遅くなった。調整してもらった時間はすでに陽が落ちた後だった。
隙を一切見せない絶対零度の魔王が、事務所の打ち合わせ室の入り口を少し入った所で電気も点けずに膝を着いて口に手をあてて俯いている。足元に散らばる資料のコピー用紙に、エルケが今動けない状況なのだと頭が判断する。
部屋に入りエルケの前に回り込んだ藤鷹は痛む足を気にする事なくエルケと同じ目線になるように屈んでエルケの様子を伺った。さらりと揺れる深海の髪の合間から微かに見える表情は堅く目線が震えているようにも思える。藤鷹と共に居たスタッフが数人エルケに駆け寄りあたふたしていると、エルケがじっとりと汗をかいた手で藤鷹の腕に触れた。
らんじゅ
完毕㌦軸🌲🦅夏のイベントで暑さとトラウマで死にそうになってるミヤコと隣にいてくれる藤鷹さんの話
ハロウィンの後
ミヤコと藤鷹さんの関係をどうにか緩和したかったんですけど……悪化した気がします……どうして…… 6997
tabasuko
涂鸦対藤鷹を考える,太郎side時系列としては蘭樹さんの
https://poipiku.com/IllustDetailPcV.jsp?ID=3685940&TD=11392629
こちらのミヤコが体調崩してるあたりですね 5153
らんじゅ
涂鸦㌦軸🌲🌲京ちゃんはエルミヤミヤが嫌い
「で?杉下がなんだって?」
「あの子エルケーニッヒに喧嘩売ったぞ。オタクどう言う教育してんの」
「ッス────────……柊、胃大丈……し、死んでる……」 9367
Tofu_funya2
完毕㌦軸🌲🌲🌲(エルミヤミヤ)です。エルケがモブに髪を切られてしまうのと、それにバチギレるミヤビを書きたい欲望が抑えられませんでした。
⚠️暴力的な表現を含みます。
たばすこ産初期🌲=エルケ
蘭樹産初期🌲=ミヤコ
お豆腐産初期🌲=ミヤビ
↑これさえ押さえていればどなたでも楽しく読めるかと思います! 8868
Tofu_funya2
完毕魔王と子猫の物語貴方の匂いと声を、一生忘れません
涕泣、潮風遺る町の隅にて 無性に恋しくなる人が居る。
母親に罵声を浴びせられ、暴力を振られた時。父や祖父母には見て見ぬふりをされた時。知らない女と夜を過ごしサヨナラした時。
どうしても、会いたくなってしまう人がいる。
「……………………お兄ちゃん」
人とは脆いもので、いくら表面上では取り繕っていても確実にボロが出てくるものだ。
積み上げていた積み木がグラグラと揺らぎ崩れるように、コップになみなみと注がれた水が零れ落ちてしまうように。
今歩いている道が道なのかすら分からないくらい視界が歪んで、歩みを止めそうになってしまうことがある。
それをいつも救ってくれたのは『お兄ちゃん』であった。
積み木を正しい位置へと戻してくれて、零れてしまった水を優しく指で拭ってくれるお兄ちゃん。
6872母親に罵声を浴びせられ、暴力を振られた時。父や祖父母には見て見ぬふりをされた時。知らない女と夜を過ごしサヨナラした時。
どうしても、会いたくなってしまう人がいる。
「……………………お兄ちゃん」
人とは脆いもので、いくら表面上では取り繕っていても確実にボロが出てくるものだ。
積み上げていた積み木がグラグラと揺らぎ崩れるように、コップになみなみと注がれた水が零れ落ちてしまうように。
今歩いている道が道なのかすら分からないくらい視界が歪んで、歩みを止めそうになってしまうことがある。
それをいつも救ってくれたのは『お兄ちゃん』であった。
積み木を正しい位置へと戻してくれて、零れてしまった水を優しく指で拭ってくれるお兄ちゃん。
らんじゅ
涂鸦初期🌲🌲子猫が帝王の友達からとあるものを貰う小話
子猫の叫びの後の話
死者の声「あ!なぁ、お前!お前だよそこの、背の高い……あ〜なんつったっけ?子猫?杉下の子猫!」
繁華街をふらふらとぶらついていた子猫は後ろから聴こえる声に足を止める。つい先日『お別れ』をしたひとが呼ぶ名が子猫の中で反響した。子猫を人間として扱って、真正面から『それは違う』を突きつけて、愛し方を教えたひと。
子猫がゆるりと猫背のまま振り返ると、蛍光グリーンのラインの入るキャップを目深に被る男が小走りに駆けてくる。
「そう、そう、お前。〜走らせんなよな……はい、これ」
「……なに」
男が差し出したのは一枚のCD ROMだった。白いメモ欄には何も書き込まれておらず、中身が何もわからない。男はツバを持ち上げて髪を掻き上げると、そのまま被り直しながら説明を始める。
1777繁華街をふらふらとぶらついていた子猫は後ろから聴こえる声に足を止める。つい先日『お別れ』をしたひとが呼ぶ名が子猫の中で反響した。子猫を人間として扱って、真正面から『それは違う』を突きつけて、愛し方を教えたひと。
子猫がゆるりと猫背のまま振り返ると、蛍光グリーンのラインの入るキャップを目深に被る男が小走りに駆けてくる。
「そう、そう、お前。〜走らせんなよな……はい、これ」
「……なに」
男が差し出したのは一枚のCD ROMだった。白いメモ欄には何も書き込まれておらず、中身が何もわからない。男はツバを持ち上げて髪を掻き上げると、そのまま被り直しながら説明を始める。
Tofu_funya2
完毕聞こえなくたっていい、届かなくたっていい。それでもどうか、この鉛のように伸し掛るオレの想いを吐き出させてはくれないだろうか。
拝啓、深海の貴方へ。 青い空が灰色の雲に覆われ酷く薄暗い。今にも雨が降り出しそうだ。
夏ももうすぐ終わるのだろうか、気温は高いものの肌を撫でる風は冷たい。
そんな中、杉下京太郎は一人海へ来ていた。
生憎の天気だからだろうか、辺りを見渡しても誰一人見当たらない。ただ静かにザァー、ザザァーン、と波の音だけが響いていた。
一歩、一歩とその足を進める。ザッ、ザッと砂を踏み締める音。ふとしゃがみこみ、足元の砂を握り締め胸元まで持っていき……緩める。指の隙間からサラサラと砂が零れ落ち、風に乗って消えた。
とさり、とその場へ腰掛ける。砂の感触は案外悪くないものだ。
伝えたいことはここに来るまでに頭の中でまとめた。まとめたはずなのに、声に出ない。
2843夏ももうすぐ終わるのだろうか、気温は高いものの肌を撫でる風は冷たい。
そんな中、杉下京太郎は一人海へ来ていた。
生憎の天気だからだろうか、辺りを見渡しても誰一人見当たらない。ただ静かにザァー、ザザァーン、と波の音だけが響いていた。
一歩、一歩とその足を進める。ザッ、ザッと砂を踏み締める音。ふとしゃがみこみ、足元の砂を握り締め胸元まで持っていき……緩める。指の隙間からサラサラと砂が零れ落ち、風に乗って消えた。
とさり、とその場へ腰掛ける。砂の感触は案外悪くないものだ。
伝えたいことはここに来るまでに頭の中でまとめた。まとめたはずなのに、声に出ない。
らんじゅ
涂鸦㌦軸と言いつつ㌦である🌲🌸の方あんま書いてないなの気持ちで書き始めたけどこれ🌲🌲ですわミヤコと京ちゃんの小話
※運命たちはシェアハウスしてる
一卵性の双子のDNAはほぼ100%一緒 すん、とひとつ鼻をすすった。頬を流れ落ちる温い涙が、いつの間にか握り締めていた拳に落ちる。杉下京太郎はエンドロールの流れる画面をずっと眺めていた。
他人事には思えなかった。けど、納得ができなかった。足掻いて、もがいて、愛しいひとを傷つけてでも、それでもやっぱり生きていて欲しかったから、突き放したあの男たちが。
「馬鹿野郎共がよ」
ポツリとひとつ呟いて杉下は俯き、身体を折り曲げて蹲る。突き放される側の気持ちも知らないで。
『京ちゃん。俺、もう一緒、やめる』
蝉の声がうるさいあの夏の日の、あの時の身体が冷える感覚を、お前たちは知らないだろう。自分の中だけで考えて、勝手に最善だと思って、勝手に自分だけ死んでいって!結局一番護りたかったものは護れていないじゃないか!
3135他人事には思えなかった。けど、納得ができなかった。足掻いて、もがいて、愛しいひとを傷つけてでも、それでもやっぱり生きていて欲しかったから、突き放したあの男たちが。
「馬鹿野郎共がよ」
ポツリとひとつ呟いて杉下は俯き、身体を折り曲げて蹲る。突き放される側の気持ちも知らないで。
『京ちゃん。俺、もう一緒、やめる』
蝉の声がうるさいあの夏の日の、あの時の身体が冷える感覚を、お前たちは知らないだろう。自分の中だけで考えて、勝手に最善だと思って、勝手に自分だけ死んでいって!結局一番護りたかったものは護れていないじゃないか!