saipoko2021
MOURNING今回のステGCを観劇して、勢いのまま書いてしまった寂左馬です。舞台後の世界線、
ネタバレへの配慮なしなのでその旨ご承知おきの上ご覧いただけるとありがたいです。 2034
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DONE11/27開催寂左・左寂webオンリーイベント【41.750km】展示作品寂雷と左馬刻がハマの酉の市に行くお話。二人で屋台を覗いたりお参りしたり、まったりラブラブ(?)デートしているだけのお話です。
ネップリあります。
A5二つ折り/12p/120円(モノクロ印刷A4(小冊子・右綴じ)20円×6枚) SNLU34Q8
『手を伸ばす幸福』 いつか、誰かと。
いつも、あんたと。
いつか、誰かの。
いつも、君の。
心のベクトルなんて、関係ない。
今ここにいる自分が、すべて。
駅から南北に延びる公園の切れ目から広がる光の波。色とりどりの出店が道の両側を埋めて、どこまでも延びている。
公園の木々の上に見えているのは熊手の屋台だろう。
「盛況、だね。」
横断歩道を渡ったところで、広がる景色と吸い込まれていく人の流れに寂雷が感嘆したように息をつく。
思わずこぼした言葉に、けれど隣に立つ男は赤い目を険しくしてその穏やかな横顔をにらみ上げた。
「あぁ。
シンジュクだって似たようなもんだろ。」
「まあ、ね。
けれど、こういう祭にはその街の色というか匂いがでるものだよ。」
9922いつも、あんたと。
いつか、誰かの。
いつも、君の。
心のベクトルなんて、関係ない。
今ここにいる自分が、すべて。
駅から南北に延びる公園の切れ目から広がる光の波。色とりどりの出店が道の両側を埋めて、どこまでも延びている。
公園の木々の上に見えているのは熊手の屋台だろう。
「盛況、だね。」
横断歩道を渡ったところで、広がる景色と吸い込まれていく人の流れに寂雷が感嘆したように息をつく。
思わずこぼした言葉に、けれど隣に立つ男は赤い目を険しくしてその穏やかな横顔をにらみ上げた。
「あぁ。
シンジュクだって似たようなもんだろ。」
「まあ、ね。
けれど、こういう祭にはその街の色というか匂いがでるものだよ。」
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DONE11/27開催寂左・左寂webオンリーイベント【41.750km】展示作品部屋で休む左馬刻の許にかかってきた1本の電話。寂雷がかけてきたその訳は。
ただ二人がいちゃついているだけのお話です。
夏に別カプで書いていた、推しの『声』をモチーフにしたシリーズの寂左馬バージョン。
『声』 君の声が聴きたいよ。
独りでいる夜は、ふとそう思う。
静かな部屋に響く微かなコール音。
特別なその音に、左馬刻はベッドの中でふと意識を浮上させる。薄い月明かりに手にした画面を見れば、見覚えのある名前が自分を呼んでいた。
「……あぁ?」
あの人が自分を呼んでいるという事実に、つい素直に頬がゆるむ。そんな自分を内心笑いながら、その自嘲さえどこかここちよい。
我ながら、業が深いと思うが。
しかし、共に目に入った現在時刻に首を傾げる。少なくとも、あの人が何の用もなくかけてくるような時間ではなかった。
数回のコール音の後、留守番電話になる直前に画面をタップする。
着信画面が通話のそれに切り替わり、あの人と空間が繋がる。
2729独りでいる夜は、ふとそう思う。
静かな部屋に響く微かなコール音。
特別なその音に、左馬刻はベッドの中でふと意識を浮上させる。薄い月明かりに手にした画面を見れば、見覚えのある名前が自分を呼んでいた。
「……あぁ?」
あの人が自分を呼んでいるという事実に、つい素直に頬がゆるむ。そんな自分を内心笑いながら、その自嘲さえどこかここちよい。
我ながら、業が深いと思うが。
しかし、共に目に入った現在時刻に首を傾げる。少なくとも、あの人が何の用もなくかけてくるような時間ではなかった。
数回のコール音の後、留守番電話になる直前に画面をタップする。
着信画面が通話のそれに切り替わり、あの人と空間が繋がる。
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DONE11/27開催寂左・左寂webオンリーイベント【41.750km】展示作品10月のCLBで配布したペーパーの再録です。
寂雷の思いつきからドライブ旅行に出た左馬刻が連れて行かれたのは。
ネップリ(豆本)在り。
A7折り本/8p/20円(モノクロ印刷A420円×1枚) RN8C4B6P
『箱根旅行記』~食欲の秋~『もしもし、左馬刻君?』
その声に逆らえる奴なんて、いない。
連休が取れたのでドライブに付き合って欲しいと、突然の誘いに頷いた左馬刻は寂雷が運転するアルファードに乗って国道1号を西に向かっていた。
代わり映えのない街並みを追い越して、人気のない海岸線を横目に古い城下町に入る。
途中、道の駅で腹拵えをして、今度はキツい傾斜の道を山へと向かった。
「道の駅、ではなくてあれは漁港の駅だよ。」
「……どっちだっていいだろ。」
至極冷静なツッコミにふんと鼻を鳴らせば、運転席でくすりと笑う気配。軽くあしらわれるその感覚が悔しくも心地よく。
ハマよりも一足先に色づき始めた山の稜線を見るとはなしに眺めやる。
狭い空間に二人きり。言葉少ないやり取りも不快ではなく。家にいるよりもむしろ寛いでいる自分にどこかくすぐったい気分になる。
2022その声に逆らえる奴なんて、いない。
連休が取れたのでドライブに付き合って欲しいと、突然の誘いに頷いた左馬刻は寂雷が運転するアルファードに乗って国道1号を西に向かっていた。
代わり映えのない街並みを追い越して、人気のない海岸線を横目に古い城下町に入る。
途中、道の駅で腹拵えをして、今度はキツい傾斜の道を山へと向かった。
「道の駅、ではなくてあれは漁港の駅だよ。」
「……どっちだっていいだろ。」
至極冷静なツッコミにふんと鼻を鳴らせば、運転席でくすりと笑う気配。軽くあしらわれるその感覚が悔しくも心地よく。
ハマよりも一足先に色づき始めた山の稜線を見るとはなしに眺めやる。
狭い空間に二人きり。言葉少ないやり取りも不快ではなく。家にいるよりもむしろ寛いでいる自分にどこかくすぐったい気分になる。