re_deader
DONE #fulgatus #fukuma百鬼夜行シリーズの魍魎の匣オマージュ
なんでも許せる方向け(⌒ ͜ ⌒)
Ctrl+y「すまない。向かいに座っていいだろうか」
手持ちの本も読み切って、暇を持て余せば当然眠気も来る。頭上から降ってきた低く落ち着いた声に所在なく窓の外へ向けていた視線をゆっくりと動かす。そこには細身の男がひとり、絶え間ない列車の揺れに手摺で身体を支えながら立っていた。皺ひとつない真白の襯衣に黒の長外套。緩く纏められた柔らかそうな白髪に半ば隠された青年の面差しは陰を帯びていながらも、過去に立ち寄った街で見掛けた磁器人形のように整っていた。
おそらく先ほど停まったあの辺鄙な駅から乗ってきたのだろう。ちらりと周りを伺えば多くの客で賑わう車内はどうやら席が埋まっているらしい。気は散るが致し方ない。どうぞ、と短く応えを返すと彼は小さく微笑んで礼を口にすると向かいの席に腰を下ろした。
2770手持ちの本も読み切って、暇を持て余せば当然眠気も来る。頭上から降ってきた低く落ち着いた声に所在なく窓の外へ向けていた視線をゆっくりと動かす。そこには細身の男がひとり、絶え間ない列車の揺れに手摺で身体を支えながら立っていた。皺ひとつない真白の襯衣に黒の長外套。緩く纏められた柔らかそうな白髪に半ば隠された青年の面差しは陰を帯びていながらも、過去に立ち寄った街で見掛けた磁器人形のように整っていた。
おそらく先ほど停まったあの辺鄙な駅から乗ってきたのだろう。ちらりと周りを伺えば多くの客で賑わう車内はどうやら席が埋まっているらしい。気は散るが致し方ない。どうぞ、と短く応えを返すと彼は小さく微笑んで礼を口にすると向かいの席に腰を下ろした。
おもち
TRAININGfukuma。書いたことないどころか読んだことのないかぷのためどんなのでも良い方向けです。ついむらっときて書いちゃっただけですので…。車を道の端に寄せて止め、スマホでメッセージをひとつ送る。すぐに既読がつき俺のメッセージへの答えと質問が返ってきたから今度はメッセージではなく、電話を。躊躇うような数コールの後、繋がった途端にため息をつく失礼な男だった。
「もしもし、ファルガーか?」
『おまえがかけたんだろう』
「ご挨拶だな。それで、家にいるなら少し出てこれないか?」
『……は。ヴォクシー、おまえ、今どこにいるんだ……?』
「おまえの家の前」
電話の向こうで何か大きな音がして、犬の鳴き声が電波だけでなく空気を震わせてこちらに聞こえて来る。ファルガーが何も言わないまま電話が切れ、数秒後に見つめていた家の扉が開いた。見慣れた銀髪の男と、その後ろに大きな犬が見える。手を上げて見せるとファルガーは思いっきり顔を顰めた。振り向いて犬に何かを言いつけ、扉を閉めてこちらに近づいてくる。
1926「もしもし、ファルガーか?」
『おまえがかけたんだろう』
「ご挨拶だな。それで、家にいるなら少し出てこれないか?」
『……は。ヴォクシー、おまえ、今どこにいるんだ……?』
「おまえの家の前」
電話の向こうで何か大きな音がして、犬の鳴き声が電波だけでなく空気を震わせてこちらに聞こえて来る。ファルガーが何も言わないまま電話が切れ、数秒後に見つめていた家の扉が開いた。見慣れた銀髪の男と、その後ろに大きな犬が見える。手を上げて見せるとファルガーは思いっきり顔を顰めた。振り向いて犬に何かを言いつけ、扉を閉めてこちらに近づいてくる。
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DONE #fukuma心中👹🐑
暗くはないがネタがネタ。
問題があれば消します。
しあわせだよ。ざあざあ、と。寄せては返す海鳴りの音。ほのかに潮の匂いが含まれた風が優しく髪を撫でていく。中天の月はさやかに夜に灯り、さながら冷徹な女王のように静かに座している。ちらちらと瞬く星を指差してあれは金星だと口を開けば、隣を同じ歩幅で歩く男がその黄金のまなこをとろりと緩ませて笑う。
「本当におまえは良くものを知っている」
「肉眼で視える星なんて金星くらいさ。まあ俺の目は義眼だけれども」
「面白いサイボーグジョークだな」
「馬鹿にしてるだろ絶対」
長かった夏が終わり、秋が迫る夜は少し肌寒い。けれど義手のセンサーから触れる、繋いだ彼の体温がまざまざと解るから嫌いではない。ヒトより僅かに低いそれ。磁器人形じみた美しく完璧な人間のかたちをしていながらもその実、彼は人では非い。いやそうであればこそか。
1325「本当におまえは良くものを知っている」
「肉眼で視える星なんて金星くらいさ。まあ俺の目は義眼だけれども」
「面白いサイボーグジョークだな」
「馬鹿にしてるだろ絶対」
長かった夏が終わり、秋が迫る夜は少し肌寒い。けれど義手のセンサーから触れる、繋いだ彼の体温がまざまざと解るから嫌いではない。ヒトより僅かに低いそれ。磁器人形じみた美しく完璧な人間のかたちをしていながらもその実、彼は人では非い。いやそうであればこそか。
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CAN’T MAKE #fukumaカルラムパロ 高次元存在👹×教祖🐑
オチがわかんなくなった雰囲気だけの厨二な話。すべて幻覚と妄想。
タイトルの元ネタがわかった馬の骨は私と握手🤝
救済の技法ひとつふたつと尾を引くような鐘が鳴り、石造りの美事な講堂に朗々たる声が響く。決して狭くはないそこを埋め尽くす黒いローブに身を包んだ信者たちは一様に膝をつき頭を垂れ、壇に立つただひとりの説教を一言一句聞き逃さまいと熱心に耳を傾けている。鬱々と燃える蝋燭が揺らめいては影を作り、月の光を集めたような髪を赤く照らしていた。
信者と同じローブから覗く彼の四肢は人のそれではなく、冷たい光沢を放つ金属のもので。良く見やればその淡く紫がかった灰銀色の双眸も自然のものではない。人の姿をしていながらもアンバランスで、それでいて完成されたかたちをした彼は『羊の群れ』と称されるカルト集団の教祖である。
名をファルガー・オーヴィド。心に迷いを持つ者は誰も彼もが救いを求めて教団の門戸を叩く。曰く、[[rb:機械仕掛けの救世主 > サルワトルエクスマキナ]]。鉄血の使徒。月下の君。言われようは様々だが、向けられているのは往々にして畏怖と畏敬だ。
3915信者と同じローブから覗く彼の四肢は人のそれではなく、冷たい光沢を放つ金属のもので。良く見やればその淡く紫がかった灰銀色の双眸も自然のものではない。人の姿をしていながらもアンバランスで、それでいて完成されたかたちをした彼は『羊の群れ』と称されるカルト集団の教祖である。
名をファルガー・オーヴィド。心に迷いを持つ者は誰も彼もが救いを求めて教団の門戸を叩く。曰く、[[rb:機械仕掛けの救世主 > サルワトルエクスマキナ]]。鉄血の使徒。月下の君。言われようは様々だが、向けられているのは往々にして畏怖と畏敬だ。