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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
    pixiv⇨https://www.pixiv.net/users/68325823

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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第二部第1話「出会い」
    マレフィセントを喪ったディアヴァルは、放浪の旅の果てに後に「美しき女王」となる女性と出会い、恋に堕ちる。

    ※クロウリー学園長の過去話(捏造200%)第二部開幕!本パートのインスパイア元は小説「みんなが知らない白雪姫 なぜ女王は魔女になったか」。捏造設定多数を予定。何でも許せる人向け。

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.
    #クロウリー学園長
    crowleyPrincipal.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部 第一話「出会い」 マレフィセントと共に過ごした十数年は、大鴉おおがらすのディアヴァルを何も知らない若者から賢くタフな大人のからすへと成長させていた。
     彼は、自分でも気づかぬうちにマレフィセントを深く愛していたが、その愛情は自分を救ってくれたあるじへの敬愛の念だった。
     だが、マレフィセントは絶望にむしばまれ、ドラゴンと化して討ち取られてしまった。主をうしなったディアヴァルは失意を胸に放浪の旅へと出たのだった……。





     ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~




     ある日、ディアヴァルが空を飛んでいると、目のすみにキラキラと美しく輝く光の群れが映った。
     ディアヴァルはからす族の例にもれず光り物に目がない。その光はとてもとても美しく、彼を強烈にきつけた。
     風に揺れ、きらめく光の群れ。
     あれはなんだろう。本当に美しい。もっと近くへ。もっと、もっと!
     漆黒の翼の限り羽ばたいて、たどり着いたのは小さな民家だった。
     家の周りの木々には、大小の鏡が吊るされて光を反射している。
     なんと美しい光景だろう……。いつまででも眺めていられそうだ……。
     彼は木の一本に降り立つと、降り注ぐ光を浴びてうっとりと黄色い目を細めた。
     と、家の中から一人の人間の娘が現れた。
     光の滝のように波打つ金の髪。アメジストのようにきらめく紫の瞳。唇は熟したリンゴのように紅く、抜けるように白い肌には薄く薔薇色がさしている。すっきりと背筋を伸ばし、所作しょさのひとつひとつから優美さがこぼれ落ちる。着ている服こそ粗末だが、その美貌は神々しいまでに光り輝いていた。
     その娘を見た時、ディアヴァルの下嘴したくちばしがかくんと落ちた。
     口を開けたまま、ほうけたようにただただその美の化身を見つめ続けた。
     娘は、家の中から次々と鏡を持ち出しては、家の周りのリンゴの木に吊るして行った。様々さまざまな形の鏡が次々に現れ、枝に吊るされて美しく光を反射する。
     だが今や、彼の目に煌めく鏡の光は届いていなかった。
     ただその娘の光り輝くような美しさだけが、その瞳に映っていた。
     大鴉のディアヴァルは、たったひと目で恋に墜ちたのだ。

     この恋は後に、彼を時空を越えた遠大な計画へと導くことになる。
     そして彼はディア・クロウリーの名の下に、とある学園の学園長となるのであった。
     これは、そのはるか手前のお話。
     人間の娘に激しい恋をし、そして失った、一羽のカラスの物語。






     ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~




    【豆知識】
     現実でもカラス類は長命で、ワタリガラス(大鴉・RAVEN)の寿命は、野生の個体で10年~15年程度と言われています。飼育された場合は30年以上、一部では60年という記録もあるそうです。
     長年妖精の魔法の影響下にあったディアヴァルが更に長命だったとしても不思議はないかな、という想定でこのお話を書いています。(それ以上に長く生きることになる理由は、シリーズ後半で明かされます。お楽しみに!)
     そんなわけで、第二部でのディアヴァルのお年頃は、人間で言うなら二十代後半からアラサー位のイメージで書いています。

    【お知らせ】
    第一部完成版をpixivで連載開始しました。
    https://pixiv.net/novel/show.phpid=16864440
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第4話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第4話です。
    今回は王妃グリムヒルデと白雪姫の仲睦まじいティータイムにディアヴァルがお邪魔します。こんなにも仲睦まじい二人がなぜあんなことになってしまうのか、それは今後のお楽しみ…。(本文1940文字)

    ※今回の豆知識はWIRED誌から、鳥の「名付け」について。そう、鳥たちも「名前」を持っているのです……!
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部四話「小さなお茶会」 華やかな結婚式から数日後。王城の庭園で虫を漁っていたディアヴァルは、新王妃グリムヒルデと小さな女の子がやってくるのに気がついた。女の子は、結婚式でドレスの裳裾もすそを持っていたあの子だ。参列者からは姫と言われていた。年の頃は6歳かそこらだろうか。どうも人間の子どもの年齢はわかりにくい。
     グリムヒルデは、幼い姫の手を引いて庭園の東屋あずまやをめざしているようだ。片手にはバスケットを下げている。
    「東屋についたらおやつを頂きましょうね」と、グリムヒルデは小さな姫に声をかけた。
    「はい、おかあしゃま!」と元気よく姫が答える。
     ディアヴァルには、その声や口調は、見た感じの年齢より少しばかり幼く感じられた。だがその幼さは姫をより愛らしく見せているとも思った。
    3128

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第3話
    後にクロウリーが学園長となるカラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第三話です。
    今回は王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の結婚式のシーンです。
    本文約1450文字+カラス豆知識約740文字のおまけ付き。今回の豆知識はカラスがお互いを確認する方法「コンタクトコール」についてです(資料リンクあり)。
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部三話「結婚式」 五月のよく晴れた朝、王城は晴ればれとした雰囲気に包まれていた。
     城のすべての尖塔に美しい三角旗がはためき、城門は春の花々を編み込んだ花綱で飾り立てられて開放されている。城門からは次々と来客が流れ込み、城はかつてない賑わいに沸き立っていた。
     今日は、この国の王が新たな王妃をめとる、その結婚の式典が催されるのだ。城の庭園は民草にも開放され、たくさんのご馳走と飲み物が振る舞われる。
     麗々しい式典のクライマックスは、正午の結婚の誓いだ。国の最も高位の聖職者がやってきて王と新たな王妃の誓いに立ち会い、この結婚に祝福を与えることになっている。
     その場には、もちろんディアヴァルも訪れていた。なにせ不吉とされてしまうカラスの身、あまりおおっぴらに姿を表すことはしなかったけれど、物陰から人々を観察し、ちらりとでもグリムヒルデの姿が見えないかと期待していたのだ。
    2210

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第2部第8話
    後のクロウリー学園長=カラスのディアヴァルの物語、美しき女王編の第8話です。
    王妃と再会したディアヴァルは、ずっと側にいて欲しいと言われて幸福に酔いしれるのだった。そこへ誰かがドアを開けて入ってきた…。(本文約1630文字/豆知識は今回はお休みです。支部移植字に話数が減る予定なので今回はそれを見込んでの調整です)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部八話「命名」 ディアヴァルが王妃グリムヒルデに背中を撫でられて恍惚こうこつとなっていたその時、部屋のドアがキィっと開く音がした。
     誰か来た?! まさか追い払われたりはしないだろうか。王妃に魔女の疑いがかかってしまったりしたらどうしよう……。
     そんな心配が頭の中を駆け巡る。
     だが、次の瞬間、部屋に飛び込んできたのはスノーホワイト姫だった。
    「おかあしゃま、あのね……」
     そう言いかけた姫の顔はたいそう寂しげで、ディアヴァルはこんな小さな女の子がこんなにも寂しげな顔をするなんて、と胸を痛めた。が、次の瞬間、姫の顔がぱっと輝いた。
    「あっ!! カラスしゃん!! カラスしゃんだ!!」
    「そうよ、カラスさんが遊びに来てくれたのよ」
    1634

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部1.5話「出会い」後編
    構想が固まらず止まっていた二部ですが強引に再起動。試運転的に出会いシーンの続き、王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の出会いを書きました。
    アニメ版「白雪姫」には無いシーンで「みんなが知らない白雪姫」の筋立てとも違っていますが書きやすい方向に進んでみます。最後にカラス(鳥類)の豆知識(異種族恋愛事情)付き。豆知識は恒例にしたいです☺(本文1327文字)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部1.5話「王との出会い」(第一話前半はこちら⇨https://poipiku.com/3625622/6059932.html)


     大鴉おおがらすのディアヴァルは、美しい乙女の姿に見惚みほれていた。
     なんと美しい髪の毛。瞳も、顔も、何もかも完璧な美の化身としか思えない。いくらでも眺めていることができる。
     彼のこれまでの生涯で、こんな気持ちになるのは初めてのことだった。
     心臓がドキドキして胸が苦しく身体は熱くなって、クロウタドリの様に歌いたいような、ハヤブサの様に飛翔したくなるような、得も言われぬ心地がする。
     この奇妙な心地は何なのだろう。まるで何か魔法にでも掛かったみたいだ。そう思っているその時、乙女の家の門の前に立派な馬に乗った男が供を何人も連れて通りかかった。
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