Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    リンネ

    短文メインの文字書き

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 🌹 🐾 💯
    POIPOI 17

    リンネ

    ☆quiet follow

    *230418少し追加しました。

    宋暁前提転生AUの冒頭
    記憶持ち宋嵐と記憶なし星塵

    続くけどこの先は薛洋も絡んで(私が)刺されそうな展開になるので一旦ここまでで。

    #宋暁
    songZhiZhi

    転生AU宋暁哀しい夢を見る。
    哀しい、苦しい、否、そんな言葉では表せない。
    目覚めた時にあれは夢だったとひどく安心するような。
    けれど夢ではないことも知っている。
    遠い、遠い過去の記憶。
    新たな生を受ける時、本来なら置いて来るはずのもの。
    宋嵐はそれを抱えたまま生まれて来た。
    ただひとりと巡り会う為に。

           ☆

    「そう言えば子琛、以前話してくれた変わった夢はまだ見ている?あの物語のような」
    宋嵐のことを親し気に子琛と呼ぶ友人は、久しぶりに顔を合わせると絵本の続きを強請る幼子のように言った。
    「え、ああ、いや……」
    「もう見てないのか?冒険譚のようで面白かったのに」
    初めてその夢を見た時、漫画や映画の主人公にでもなったようで幼馴染である彼に話して聞かせた。本当に夢だと思っていたし、痛快で面白かったのだ。その時はまだ悲劇の始まりとも知らずに。
    友人も夢の内容を聞きたがった。そのせいもあったのか、宋嵐は頻繁に夢の続きを見るようになった。
    夢ではない、と気付いたのはいつ頃だったろうか。
    頭の奥の靄が晴れるように、夢で見た光景以外にも徐々に思い出したのだ。
    夢に出て来る友人に似た人物が、まさにその通り彼だということも。
    そして、自分が彼と再び出逢う為に生まれて来たのだということも。
    (覚えていないのか、星塵)
    とは、問えなかった。
    肩の触れ合う距離で笑う彼は、いくら夢の内容を話したところで何かを思い出す素振りもない。それが当たり前なのだろうけれど。生まれ変わり……なんて、宋嵐自身元々信じていなかった。
    それに、きっと覚えてなどいない方がいい。
    記憶などなくても、こうして共にいられるのだから。
    自身は呪いのようにその記憶を持ちながら宋嵐は隣の人の安寧を願った。

    思えば、これは贖罪なのかもしれない。
    次の世も彼と共に生きたいと望んだけれど、ただ聞き入れられるには過ぎた望みだったのだろう。
    彼を傷付け遠ざけ、伝えるべき言葉もそのままになってしまった自分には。

    「また、ここに皺が寄っているよ」
    友人の白い指が宋嵐の眉間を押した。
    他人と距離を置きたい方ではあるが、彼だけは別だ。
    二度と──、もう二度と、傍を離れない。
    何が出来る訳でもないとしても、誰より近くでこの人の幸福と笑顔を見届けるのだと。彼が知るはずもない誓いを秘かに立てた。
    特別ではない人生を、共に。
    宋嵐が表情を緩ませると彼もにこっと笑った。
    「悩みがあるなら聞くけど?」
    「そんな、何も悩みのなさそうな顔で言われてもな」
    「嫌だな、悩みくらいあるよ」
    「え」
    「あはは。何?意外だった?」
    「いや……」
    「私だっていつまでも子どもではないということだよ子琛君」
    「誰の真似だそれは」
    「そうそう、昨日見た昔のサスペンスドラマでね──」
    すぐにまた楽しそうに話し出す彼にホッとした宋嵐だったが、全て知っているようなつもりで何も知らないのではと言う不安は意識の外でそっと胸の奥に降り積もる。

    その夜、宋嵐は夢を見た。
    彼を探し求めた三年間、そして、その後に続く悪夢を。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏💖😭💕💖👏😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    takami180

    DONE曦澄ワンドロワンライ
    第四回お題「看病」

    現代AU、友人でもない曦澄。
    大学生澄+羨はルームメイト、今回は忘羨を含みます。
     江澄は呆然とその人を見返した。
     扉を開けた先に立っていたのは藍曦臣、大学の先輩である。彼はまったく似合わないコンビニ袋を下げている。
     有料袋を買ったのか、もったいない。
     益体もないことを考える江澄に、藍曦臣は眉尻を下げて笑った。
    「弟から連絡をもらったのだけど、差し入れを持ってきました」
    「はあ、はい、ありがとうございます」
     彼の言う弟とは藍忘機である。江澄の義兄とは恋人同士で、今日は二人で温泉旅行に行っているはずだ。
    「ゼリー飲料と、栄養剤と、それから経口補水液。あとおかゆも入っているから」
     コンビニ袋を差し出され、江澄は素直にそれを受け取る。
     おかしい。何故、藍曦臣が自分の体調不良を知っている。
    「あれ? 魏無羨からなにも聞いてない?」
    「魏嬰? いや、なにも」
     と言いかけたところで、江澄はスウェットのポケットからスマートホンを取り出した。
     そういえば昨晩から放置していた。今、何時かも確認していない。
     ホーム画面には十四時とある。それから着信とメッセージの通知が大量に表示されていた。
    「あ……」
     慌ててアプリを開くと、義兄からのメッセージが流れていく。
     —— 1731