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    リンネ

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    リンネ

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    *230418少し追加しました。

    宋暁前提転生AUの冒頭
    記憶持ち宋嵐と記憶なし星塵

    続くけどこの先は薛洋も絡んで(私が)刺されそうな展開になるので一旦ここまでで。

    #宋暁
    songZhiZhi

    転生AU宋暁哀しい夢を見る。
    哀しい、苦しい、否、そんな言葉では表せない。
    目覚めた時にあれは夢だったとひどく安心するような。
    けれど夢ではないことも知っている。
    遠い、遠い過去の記憶。
    新たな生を受ける時、本来なら置いて来るはずのもの。
    宋嵐はそれを抱えたまま生まれて来た。
    ただひとりと巡り会う為に。

           ☆

    「そう言えば子琛、以前話してくれた変わった夢はまだ見ている?あの物語のような」
    宋嵐のことを親し気に子琛と呼ぶ友人は、久しぶりに顔を合わせると絵本の続きを強請る幼子のように言った。
    「え、ああ、いや……」
    「もう見てないのか?冒険譚のようで面白かったのに」
    初めてその夢を見た時、漫画や映画の主人公にでもなったようで幼馴染である彼に話して聞かせた。本当に夢だと思っていたし、痛快で面白かったのだ。その時はまだ悲劇の始まりとも知らずに。
    友人も夢の内容を聞きたがった。そのせいもあったのか、宋嵐は頻繁に夢の続きを見るようになった。
    夢ではない、と気付いたのはいつ頃だったろうか。
    頭の奥の靄が晴れるように、夢で見た光景以外にも徐々に思い出したのだ。
    夢に出て来る友人に似た人物が、まさにその通り彼だということも。
    そして、自分が彼と再び出逢う為に生まれて来たのだということも。
    (覚えていないのか、星塵)
    とは、問えなかった。
    肩の触れ合う距離で笑う彼は、いくら夢の内容を話したところで何かを思い出す素振りもない。それが当たり前なのだろうけれど。生まれ変わり……なんて、宋嵐自身元々信じていなかった。
    それに、きっと覚えてなどいない方がいい。
    記憶などなくても、こうして共にいられるのだから。
    自身は呪いのようにその記憶を持ちながら宋嵐は隣の人の安寧を願った。

    思えば、これは贖罪なのかもしれない。
    次の世も彼と共に生きたいと望んだけれど、ただ聞き入れられるには過ぎた望みだったのだろう。
    彼を傷付け遠ざけ、伝えるべき言葉もそのままになってしまった自分には。

    「また、ここに皺が寄っているよ」
    友人の白い指が宋嵐の眉間を押した。
    他人と距離を置きたい方ではあるが、彼だけは別だ。
    二度と──、もう二度と、傍を離れない。
    何が出来る訳でもないとしても、誰より近くでこの人の幸福と笑顔を見届けるのだと。彼が知るはずもない誓いを秘かに立てた。
    特別ではない人生を、共に。
    宋嵐が表情を緩ませると彼もにこっと笑った。
    「悩みがあるなら聞くけど?」
    「そんな、何も悩みのなさそうな顔で言われてもな」
    「嫌だな、悩みくらいあるよ」
    「え」
    「あはは。何?意外だった?」
    「いや……」
    「私だっていつまでも子どもではないということだよ子琛君」
    「誰の真似だそれは」
    「そうそう、昨日見た昔のサスペンスドラマでね──」
    すぐにまた楽しそうに話し出す彼にホッとした宋嵐だったが、全て知っているようなつもりで何も知らないのではと言う不安は意識の外でそっと胸の奥に降り積もる。

    その夜、宋嵐は夢を見た。
    彼を探し求めた三年間、そして、その後に続く悪夢を。
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    DONE曦澄ワンドロワンライ
    第三回お題「夢」

    本編終了後、付き合っている曦澄。
    現実での大事なものと、本当は大切にしたいもの。

    ムーンライト宗主→ごめんねすなおじゃなくて→夢、という連想結果が何故こんなことに。
     その夜は金氏と合同の夜狩だった。そこで江宗主は大怪我を負った。
     邪祟から師弟を庇い、腹に穴をあけられた。
     江澄自身、これはまずいと感じた。血を吐き、体から力が抜ける。
    「宗主!」
     倒れたところを誰かに抱え起こされた。
     すかさず金凌が矢を射る。放たれた矢は狙い違わず邪祟を貫いた。
    「叔父上!」
    「金凌っ……」
     声にできたのはそれだけだった。怪我をせず、健やかに、生きてほしい。お前の生きていくこれからは、どうか穏やかな世界であるように。
     江澄は手を伸ばそうとしてかなわなかった。
     まぶたの裏に、白い装束の影が映る。心残りがあるとすれば、あの人にもう会えないことか。
    「誰か止血を!」
     怒号と悲鳴が遠ざかり、江澄の意識は闇に沈んだ。


     まばゆい光の中で、白い背中が振り返る。
    「江澄……」
     ああ、あなたは会いにきてくれたのか。
     江澄は笑った。これは現実ではない。彼は姑蘇にいるはずだ。
     体を起こそうとして、まったく力が入らなかった。夢の中くらい、自由にさせてくれてもいいのに。
    「気がつきましたか」
    「藍渙……」
     ほとんど呼んだことのない名を口に出す。これが最後の会話にな 1653