猫が死んだ話「外飼いはやっぱダメだ…」
少年がポツリとそんな事を言った。
「どう言う事だろうか?」
理由を尋ねると、
「母さんから連絡が来た。じいちゃんのところの猫が死んだって。轢いてしまったんだってさ」
こちらに目線を向けながらもスマートフォンを片手に項垂れている。余程落ち込んでいると見えた。
「……かわいかったのにな。可哀想に。やっぱり安全な家の中で飼ってた方がよかったんだ……」
段々と少年の声が涙声になっていく。
私には慰める術が分からなかった。ただ、少年と一緒に見た映画にこの様な場面があったのと思い出し、少年の肩を抱き寄せ、あやす様に肩を優しく叩いた。
「すまない、私には君を慰める手段が分からなかった」
本当にこれは映画で見た光景の真似事に過ぎなかった。
「ん………ありがと………」
そう言うと少年は私に肩に頭を預けた。
しばらく続いた静寂の間、私も少年と同じ考えを巡らせていた。
大切なものはやはり、安全で私の手の届くところに置くべきだと。