だいたいあいつのせい休息、食事、睡眠。
それらはアオガミにとって不要であり、非効率的な行為であった。
けれども、今は違う。
少年と会話を交え、読書を嗜む。半身と友に食事をし、睡眠の代用としてスリープモードに切り替える。
神造魔人たるアオガミには必要ない時間。だが――。
(不要と捉えていた頃の己には戻れそうにない)
隣で安らかな寝息を立てる少年の寝顔。半身を起こさぬように、アオガミはそっと彼の頬を撫でた。
――朝が来れば、少年が目を覚ます。
(こんなに、日が昇るのが待ち遠しいとは)
寝ぼけ眼で「おはよう」と朝の挨拶をする少年の姿を回想しつつ、アオガミは瞼を閉ざす。
少年と共に生きる、明日を迎える為に。
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