香ばしい匂いと共にトースターがチンと鳴り、コンビニのカットサラダと硬めの目玉焼き、焼いたソーセージが乗った白いお皿へ分厚くカットされたトーストを乗せる。
温めた牛乳にインスタントコーヒーを少し加えれば週末のお決まりの朝食の完成だ。
昨日も八木は遅くまで仕事だったようで気持ちよさそうに寝息を立てているのを見ると何だか起こすのが申し訳なくなり、今朝は1人でテーブルに着くことにした。
一緒に暮らし始めてから初めてお互いに纏まった休みが取れ、
「せっかくだから旅行でも行くか。」
と八木の一言にその日から志津摩の頭の中は旅行の計画を立てるのでいっぱいになった。
何でもネットで探せばいくらでも欲しい情報は手に入るご時世だがアナログな八木はそういった選び方を好まないだろうと帰り道に寄った書店で数冊見繕ってきた旅行のガイドブックをテーブルに広げ、トーストを口に運びながらパラパラとページを捲っていく。
1919