ドライブデートするナオ武①「海見に行きたくない?」
「……海、ですか」
タケミチ君がどこかに行きたい、と言ったのはそれが初めてだった。
考えてみたらボクたちは、改まって二人で外出したことがなかった。なぜなら自分の仕事は、休みが休みで無くなることが多く、先の約束をするのを何となく避けていたからだ。
時間が空けばタケミチ君に連絡はするが、ほぼ部屋から出ずに逢瀬は終わる。
部屋ではダラダラとタケミチ君はゲームをして、ときどきボクに近づいて触れてきたり、その流れでキスをして服を脱がせあったり、身体を重ねたりしていた。
「たまにはさ、外行こうよ。海行きたい」
「……はあ、江ノ島とかですか」
タケミチ君は、「ちょっと人が多そうだな」と江ノ島に乗り気ではなかった。人なんて何処に行っても多いだろう。いろいろ候補をあげて、結局、地方の人が少なそうな海岸までドライブすることになった。
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