セックスしないと出られない部屋のナオ武⑤ なんとかマイナス40度を耐え抜いた。
部屋の気温が通常に戻ったのは、これ以上やっても無駄だと観察者判断されたのかもしれない……とタケミチはぼんやり考えていた。
寒さのせいで朦朧としてた頭も働き出し、痛いほど冷たかった指先の感覚も戻ってきた。
極寒の時間は永遠のように思えたが、時計を見ると数時間しか経っていない。ナオトが「殺されはしない」と明言したから信じて耐えることが出来たが、タケミチ一人だったら心が折れていただろう。
「タケミチ君……大丈夫ですか?」
背中合わせにいたナオトが、ゆっくり振り向いた。手を伸ばしてタケミチの頬に触れてくる。
「おー、なんとか生きてるよ……」
ナオトの手はまだ冷たい。でも不思議とそこから熱が伝わってくる感覚があった。
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