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    ささみ

    @un_pfunco

    出戻り組、アークザラッド1.2が主に大好き。
    アーク推しです。BL(アーク右)

    Xでの過去作品を並べています。
    今回は一部エルアーの作品があります。(マンガとss未満)

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    ささみ

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    先日ふと言っていたストレッチの話。
    何だかふんわりした雰囲気でお読みください。

    #エルアー
    lar

    ストレッチの話ハンターとしても、身体を鍛えるにしても日々の運動はなるべく欠かさないようにしている。
    シルバーノアが停泊している場所でも開けた場所で身体を伸ばす。何せ飛行している戦艦の中ではゆっくり身体を伸ばせても開放感がない。
    両手を挙げて、背中の筋肉を伸ばしてもやっぱり地面に足を着けてやるのが一番だ。

    「あ〜〜…つっかれたー!」
    ぐいっとエルクは背伸びをし、めい一杯肺に新鮮な空気を送り込む。
    少しばかり槍を振るって、筋トレもしたあとの疲労感はやっぱりいいもんだなーと腰を伸ばす。
    そして、地面に座り足を広げてそのまま身体を折りたたむ。ぺたっと腕が付き、肩甲骨が伸びる感じがする。

    「へぇ…柔らかいな」
    「あ〜?あんたか」
    体勢はそんなに替えずに、肘を地面に付き顔を上げる。
    「アークもやれば?いっつも縮こまってると身長縮むぜ」
    ちょっとだけ嫌味も言っておく。
    しかし、アークはそこには反応せずにうーんと考え込んでいる。

    「何悩む事があんだよ」
    「いやー俺…身体硬いんだよな」

    とりあえずやってみろよ、とアークの上着をクイっと引っ張る。渋々よいしょ、とアークが地面に腰を下ろす。

    「ほれ、足広げて」
    「…」

    人の股関節はだいたい90度くらいが理想らしいので、そこはちゃんと開くらしい。そこから腕を付いてと言うと。

    「ふざけてんのか?」
    「ま、真面目にやってる」

    必死に伸ばしてると言え、せいぜい脛辺りまでしか伸びてない。仕方がない…とエルクは後ろから押す事にしたが、痛いと言うばかりで全然伸ばせない。

    他にもいくつか、これは?これは?と試しが…。

    「嘘だろ…」
    「あはは」

    笑い事じゃないとエルクは頭を抱えた。
    と、そんか和やかなムードから一転、周りの森から不穏な気配がした。
    二人は即座に臨戦態勢に入る。

    「数は?」
    「そんなに多くないな…しかし魔法はあまり使えないな」
    「へへん、そんなもん物理でいけるだろ…がよ!」

    モンスター数匹がエルクに向かって飛びかかる。
    槍が勢いよく振られ、モンスターの腕を切り落とす。
    ぎえええ、と汚い声をあげながらも襲い掛かる。
    しかしながら今のエルク達のレベルではさして苦戦はしない。エルクの槍をすり抜けた一匹がアーク目掛けて飛び道具を放つ。

    「アーク!」

    その瞬間、アークは宙を舞う。
    飛び道具を上手く弾きながら、柔らかく上半身を逸らす。ハチマキが邪魔になりそうだが、それすらも美しい弧を描く。着地も華麗に決め、モンスターが振り上げた拳も全身を低くして躱わす。
    そして下から急所を的確に狙い、切り裂いた。

    あたりは一瞬にして静寂を取り戻した。

    「ふぅ…、エルク怪我は?」
    「ねー、けど…」
    「けど?」
    「お前身体硬いの絶対嘘だろ」
    「ええ?さっき証明したのに…」

    むしろ先ほどの戦いで身体がしなやかに動いていた。
    蝶が舞うようだった。

    全身を低くした時も、足がよく開いていたし、そこからの体勢の立て直しも見事だ。
    敵わないなぁと目の前で、眉毛を下げるアークを恨めしく思った。

    「エルク?」
    「お前なんて嫌いだ」


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    menhir_k

    TRAININGア一クにとって工ノレクが世界の縮図なら、工ノレクからの誤解が解けるということは世界からの誤解が(何れ)解けることを示唆していて、それはア一クにとって数少ない報いだったのかなと書き終わってから思ったし、だとしたら工ノレクからア一クへの誤解は報いに至るために必要なものだったのだなぁという謎の気付き(全て仮定と言う名の妄言)
    「サヨナラ」ダケガ人生ダ 2 微かな呻き声が聞こえて、足を止める。不規則な明滅を繰り返す蛍光灯に照らされた廊下には、アークしかいない。それでも、物々しいシルバーノアの駆動音にかき消されてもおかしくないほどのか細く小さなその声を、確かにアークの耳は拾った。拾ってしまった。タイミングの悪さにうんざりする。
     アークは、あまり意識しないようにしていた傍らの扉へと視線を遣った。鉄製の自動扉だ。ロックのかかった扉の向こうの部屋は、最近行動を共にするようになったハンターの少年に与えたものだ。呻き声はこの中から聞こえた。間違いない。
     少年の——エルクの境遇は、大まかにだが知っている。彼から直接聞いたわけではない。だからと言ってアークから積極的に訊ねるわけにもいかない。エルクの過去はそれほどまでにデリケートで過酷だった。そんな彼が、扉一枚隔てたその向こう側で悪夢にうなされている様子は想像に難くない。だからと言って、そう多くの言葉を交わしたことのないアークが、容易に踏み込んで良い領域でもないように思えた。だから、うんざりしたし面倒だった。
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