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    Rhea_season

    @Rhea_season

    ※色々整理するため現在大半は非公開中
    お読みいただきありがとうございました♪
    誤字脱字見直したら再開します✨

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    Rhea_season

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    Rはついていませんが、「事後」のディミレト
    ※支部のものと同じですが読みやすいようスペース、改行多用してます。
    ポイピクでサクっと読みたい方用。
    最中もよいけど事後大好きです。ずっといちゃついててほしい

    #ディミレト
    dimSum
    #風花雪月
    wind,FlowerAndSnow

    朝のかたち──静かな朝だった。

     昨日までの雨が嘘のように、窓から差し込む光はやわらかく、すべてが、しんと穏やかだった。鳥のさえずりが遠くにかすかに聞こえるなか、寝台に残る情事のあとの気怠さだけが、夜の余韻を静かに引きずっていた。

     ベレトは、うつぶせのままシーツに半身を預け、ぼんやりと目を開けた。どこかぼうっとして、夢と現のあいだにいるようなまどろみのなかで、思考も感覚もまだ曖昧なまま、静かに身を沈めていた。しかし、肌に残る痛みや、かすかな火照り。それがどれも昨夜、何度も愛された証として身体に刻まれているのだと自覚すると、次第に感覚が、ゆっくりと、呼び戻されていった。

     ゆっくりと顔を上げると、窓辺に立つディミトリの姿が目に入った。シャツの袖を軽く捲り、髪はゆるく束ねている。手には温かなカップを持ち、静かに窓の外を眺めていた。

     もう、朝の支度は終えてしまったのだろう。部屋には、何かを焼いたあとの香ばしい匂いがかすかに漂っていて、それが、まだ眠たい体にやさしく沁み込んでいく。

     おいしそうだな、とは思う。けれど──まだ、もう少しだけ。そんな気分で、身を起こすこともなく、ベレトはもう一度、窓辺の方へと視線を向けた。朝の光に包まれたディミトリの横顔は、どこか緩んでいて、ひどく穏やかなものだった。
     その背中に、ベレトはそっと手を伸ばした。声に出さずとも、その気配に気づいたのだろう。ディミトリはふり返り、ふっと微笑んだ。

    「やっと、起きた」

    「……いつもは、自分のほうが先に起きているだろう? たまには、ゆっくりしたかっただけだよ」

     シーツに身を沈めたまま、どこか不服そうにそう言い返すと、ディミトリはほんの少しだけ眉を上げ、意地悪く目を細めた。

    「いつものことではない。俺は──今朝の話をしているんだ」

    「君が、無体なことをしなければ……もう少し快活に起きられたんだが」

     ベレトは、言いながらもどこか納得がいかない様子で視線を逸らすと、ディミトリは一瞬だけきょとんとしたあと、すぐに困ったように笑った。

    「それを言われたら、何も言えないだろう?」

    「それはこちらも同じだよ。本当に君は容赦ないから…」

     そういうと、ベレトは指先を揺らし、ディミトリを手招いた。ディミトリは溜息まじりに笑って、手にしていたカップをテーブルに置くと、ベレトのもとへと歩み寄ってきた。

    「朝食、冷めるぞ。せっかくお前の好きなものを作ったというのに……」

     そう言って、ベレトの額に手を置く。熱を測るわけでもなく、ただその肌に触れたかっただけのようで、ベレトの前髪を撫でるように優しく揺らした。
     ベレトはその指に頬をすり寄せ、まだ眠たげな声でぽつりと呟いた。

    「……君の手料理はとても魅力的だが、もう少しだけ、一緒に寝ないか、もう少し…」

     そんな言葉がどれほど甘やかで、そして自分にとって抗いがたいものか、それをベレトは分かっていて囁く。時折見せる、こうした無邪気な甘え方はとても自然で、しかしながらどこか確信的で、それだけでディミトリの瞳はふっと揺れた。

    「……お前は、ほんとうに……」

     嗜めるようにそう言いながらも、ディミトリが本気で制することはなかった。寝台に片膝をつき、ゆっくりと身体を沈めてくる彼に、ベレトはためらいなく腕を伸ばし、そのまま首にそっとすがりつく。少しひんやりとしたシャツの布地と、ディミトリの匂い。そのどちらもが、まだ目覚めきらない感覚にやさしく染み込み、昨夜の熱を、胸の奥に蘇らせた。

    「せっかく作った朝食が、勿体ないな……」

     ディミトリがぽつりと呟くと、ベレトは少しだけ笑ってそっと耳元で囁いた。

    「昼に食べよう。君の料理は、冷めても美味しいから」

    ──調子のいいことを。そう思いながらも、自分からこうして身を寄せてくるベレトは、そう多くはない。その素直さがことさら愛しくて、胸の奥をくすぐられるような気持ちになる。

     ディミトリは黙ったまま、そっと手を伸ばした。ベレトの顎に指を添え、軽く上向かせると、そのまま、言葉の代わりのように唇を重ねた。朝の空気にはそぐわないほどの熱を、この唇に注ぐ。ベレトは驚いたように目を瞬かせながらも、何も言わず、わずかに唇を開いて、それを受けとめた。重なる息と、かすかな湿度。深くてやわらかな沈黙が、ふたりのあいだを満たす。ベレトはその胸に額を預け、まぶたを閉じた。

     重ねた体温と、ふたりぶんの呼吸の音だけが、部屋のなかで息づく。互いの体温が触れ合うところに、確かなぬくもりを感じながら、ふたりは静かに身体から力を抜いた。肌と肌のあいだにあるやわらかな距離が、心までほどいていく。ふたりのあいだに残る熱は、まだ──静かに、おさまる気配を見せなかった。

    「ディミトリ」

    「……なんだ?」

    「あとで果物も切ってほしい。君が切ったものが食べたい」

    「形状がいびつになっていいなら」

     そう言って、ディミトリはベレトの首筋にそっと唇を触れさせた。そのまま、まるで肌のぬくもりをなぞるように、鼻先をゆっくり滑らせる。くすぐったそうに身を縮めるベレトの肩に、ディミトリの手がまわり、指先がやわらかく鎖骨をなぞった。くすくすと笑いながら身をよじるベレトに、さらにもう一度、唇を落とす。

    「綺麗な形状を求めるなら、お前が切ればいいのではないか?」

     からかうようにそう囁くと、ベレトは布団のなかで軽くディミトリの胸を押した。

    「遅く起きた日は、君に任せたいんだ。それに、形よりも味だよ。君が準備してくれたら、なおのこと美味しくなる」

     ふわりと笑うベレトの頬に、ディミトリは軽く口づけを返す。

    「形が崩れたら、いっそ絞ってジュースにでもすればいいか」

     その言葉を聞いた瞬間、果実をそのまま手で握りつぶすディミトリの姿を想像してしまい、ベレトは思わず肩を揺らして笑い始めた。くすくすとこぼれる笑い声は小さく弾けて、寝台の上にさらなる甘やかな空気を運んでくる。いつになく素直に感情をのせるベレトを眺めながら、ディミトリは、こんなふうに、ただ笑い合って朝を終えてしまうのが、名残惜しい。と思った。

    「……なんとでもしてやるから、今はこちらに集中してくれ」

     ぽつりと、低く押さえた声でそう告げたディミトリは、ゆっくりとベレトの額に唇を落とす。続けて、頬に、こめかみに。ひとつひとつ、唇を這わせながら愛しさを重ねていく。

     くすぐったいような、やさしい口づけが、淡い痺れとなって静かに肌へ沁み込んだ。
     のしかかってくる身体の重みと、あわいの熱に小さく息をのむ。この後自らに降りかかるであろう一連の出来事を、ベレトは察している。それはわずかに痛みを伴うものの、互いの心の襞をなぞることができ甘やかな営みだ。それを求めていたからこそベレトは逃げようとはせず、むしろその熱を閉じこめるように──ゆっくりと、自分の脚を絡めた。

     言葉は、もう必要ない。
     朝の光がゆるやかに差し込む寝台のなか、再びともった熱のままに、互いの肌を摺り寄せ、指を絡め合う。

    (これは…昼までに終わるだろうか)

     ディミトリは、ふとそんな思いが脳裏をよぎったが、すぐに首を振った。
     これから先、いつだって──何度でも、朝食は作ればいい。時間は、まだ、たっぷりとあるのだから。

     だから今はただ、求めるままにそばにいて、互いの存在を、静かに確かめ合っていたい。

     それもまた、ふたりだけに許された、しあわせな朝のかたちなのだから。
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    Rhea_season

    DONE紅花√END後のリンレト。私の脳内では、小さな町でブックカフェを経営してのんびり暮らしているので、そんなある日の出来事程度ななにか。

    深謀遠慮
    深く考えを巡らし、のちのちの遠い先のことまで見通した周到綿密な計画を立てること。また、その計画
    深謀遠慮 店の扉が静かに閉まり、最後の客の気配が遠のいていった。午後の陽ざしが斜めに差し込むブックカフェには、ようやく深い静寂が戻ってくる。

     ベレトは、カウンター奥で片づけをしながら小さく息をついた。いつものように、最後まで客の話を聞いていたせいで、座る暇もないまま気づけば営業時間を越えてしまったらしい。

     そんなベレトとは対照的に、リンハルトは店の奥のキッチンスペースで、遅めの昼食の準備に取りかかっていた。といっても、冷蔵庫にあった作り置きのサンドイッチを二人分、白い皿に移し替えるだけの、ごく簡単なものだった。それでも食材が乾かないよう、ひとつずつ蝋引き紙で包まれていたため、それを綺麗に剥がして、具が崩れないように慎重に移し替えるのは見た目以上に気を使う作業だった。崩れやすいレタスや、はみ出しかけたチーズには、そっと指先を添えて形を整え、崩れないように静かに支えながら皿へと移していく。
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