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    Rhea_season

    @Rhea_season

    ※色々整理するため現在大半は非公開中
    お読みいただきありがとうございました♪
    誤字脱字見直したらpixivで再掲します✨

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    Rhea_season

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    酔っぱらっている時に書いたメモの残骸。あかずきnパロふうみ。
    供養がてらに。未完かつ続きも特に考えてませんので突然おわります。

    #ディミレト
    dimSum

    赤ずきんレトと金色の狼さん「いいか。途中でどんな奴にあっても無視しろ。それでもしつこかったら叩き切ってやれ」
     そう言って父、ジェラルトは、短剣を手渡し、レトの肩をがっしりと掴んだ。
    「わかった。安心しろジェラルト。この任務、必ず全うする」
     レトは真顔で頷くと、ジェラルトが夜なべして作った“クマさんアップリケ”付きの赤い頭巾をすっぽりとかぶった。
     見た目はちょっとかわいらしすぎるかもしれないが、本人にとっては重要な装備である。なによりも魔除けの刺繍(?)と、ジェラルトの愛情が詰まった防具。こんなにも頼もしい装備は他にはない。
    「ではいってくる」
     レトはそういうと、颯爽と家から出立した。

     彼女──いや、彼──赤ずきんレトは、病床に伏すレアの家を目指して、森の奥深くへと足を踏み入れた。深い緑に包まれた森は、静かで美しかった。だが、ただの風景だと油断すれば、命を落とす。それがこの森の流儀である。

     しばらく歩いていると、レトの前に現れたのは、一匹の狼だった。ただの狼ではない。その狼は、珍しい金色の毛並みを持ち、片目に深い傷。身体中にも切り傷や咬み痕が残っていた。見るからに手負いの野獣だ。狼は怪我のせいで気が昂っているのか、鋭い牙をむき出しにしてレトを睨む。これだけで、普通の人なら逃げ出すだろう。でも、レトは違った。
    「ああ、怪我をしているのか。かわいそうに」
     レトは表情をまったく変えることなくそう呟くと、腰の薬袋をごそごそと漁った。中から取り出したのは、無地のガーゼと包帯。ついでにジェラルト特製の傷薬だ。なにをされるのかと不安におもったのか、狼は、抵抗しようと身じろぎをし、暴れた。
    「おとなしくしろ。これ以上暴れたら、容赦なく叩き切るからな」
     レトの目は本気だった。薬を持つてとは反対の手には鋭利なナイフが握られている。狼もこれ以上抵抗しても意味はないと察したのか、ふてくされたように地面に伏せた。
    「フン……妙な赤ずきんだな。頭巾に熊の顔が縫い付けてあるぞ」
    「可愛いだろう。ジェラルトの手作りだ。よく見ろ。刺繍の技術もなかなかだぞ」
     狼はうなるのをやめて、じっとレトの手元を見つめた。いつの間にか、傷に包帯が丁寧に巻かれている。
    「……恩を売るつもりか」
    「そんなつもりはない。ただ、怪我をしているものは放っておけない。それだけだ」
     奇妙な人間もいるものだ、と狼は思った。そうしているうちに、腹の虫がひときわ大きく鳴った。
     ギュルルルル─…。
     レトはその音にぴくりと眉を上げた。
    「ああ、君は、腹が減っているのか?」
    「……どうやらそのとおりだ」
     狼は少しだけ視線を逸らし、バツの悪そうな表情をした。その様子を見て、レトはふっと口元を緩め、手にしていたバスケットの中からパンをひとつ取り出した。
    「これを君にやろう。腹を満たすがいい」
     差し出されたパンを見て、狼はためらいながらも咥えようと口を開く。だが、なぜかレトはパンから手を離さなかった。狼がちらりとレトを見れば、彼はまるで自分が食べたいという顔をして、パンをじっと見つめていた。
     (……こいつはずいぶんと食に貪欲なようだ)
     狼は半ば呆れながら、しかし無言でパンを咥えなおした。すると、レトも無言でグッと力を込める。どちらも引かず、ぎりぎりと競り合う。

     「……!」
     小さく力が入った瞬間、パンが見事に真っ二つに裂けた。
     「……お前がそれを食べたらいい。俺はこれをもらう」
     狼は静かにそう言って、半分のパンを食べ始めた。その横で、レトは目を輝かせながら残りの半分をもぐもぐと食べ始めた。
     (不思議な奴だ)
     狼はその様子を横目で見ながら、己のパンをひとかじりした。
    「……美味いな」
    「そうだろう。ジェラルトの焼いたパンだ」
     レトが誇らしげに答えると、狼は思わず吹き出しそうになった。さっきから都度でてくるが、ジェラルトとは誰のことだ。まぁ知ったところで狼には関係のない話。だからそれ以上は聞かなかった。

     腹が満たされたせいか、二人の間の空気は、少しだけやわらかくなっていた。腹を満たし、傷の手当ても済んだ狼は、しばらくその場でレトをじっと見ていた。
    「……おまえは、どこへ行くんだ?」
     そう尋ねる声は、もう牙をむいたときのような荒々しさはなかった。
     レトは赤い頭巾を直しながら答えた。
    「おばあさんの家だ。森の奥に住んでる。病気で寝込んでいてな。ジェラルトが焼いたパンと、薬草スープを持っていくんだ」
    「ジェラルト……またその名前か。何者なんだ、そいつは」
    「父だ。強くて頑固で、なにかと世話を焼きたがる」
     自慢げにふっと笑ったレトの顔に、狼の目がほんの少しだけ緩んだ。
    「……なら、礼がてら、最短距離で案内してやる。森は広い。道を知っているほうが早く着ける」
    「おまえが? 見返りは?」
    「見返りなんかいらん。ただ、腹がいっぱいになったし、風も心地いいし、何より……」
     狼はジッとレトを見つめたあと、もごもごと何かを言いかけて、口を閉じた。そして、ふいにレトに背を向けて、歩き出す。
    「……名前くらいは教えておく。俺はディミ。蒼の群れのはぐれ者だ」
    「蒼の……群れ? なんだ、それは」
    「ただの過去の話だ。深く気にするな」
     ディミは振り返らず、するすると木々のあいだを進んでいく。その背中を見ながら、レトは小さく頷いた。
    「そうか。了解だ、ディミ。案内、任せるぞ」

     こうして、赤ずきんレトと金色の狼ディミは、並んで森を歩いた。道中、レトが持っていた林檎をディミが半分もらい、ディミが知っている近道で木の根を避けながら歩き、お互いに一言も交わさず気まずく沈黙する時間もありつつ、それでも彼らは確実に「ふたり」で進んでいった。
    「なあ、レト」
    「ん?」
    「おまえ、人間のくせに……やたらと静かで妙に親切だな。なにか企んでるのか?」
    「企むような面構えに見えるか?」
    「……たしかに見えない」
    「だろう。じゃあ黙って信じてついてこい」
     そう言って歩き出したレトの背を、ディミはしばらく眺めていた。
    「……変な奴だ」
     ぼそりと呟いて、再びそのあとを追った。
     森のなかは静かだった。鳥の鳴き声と木々のざわめき、そしてふたりの足音だけがする。しばらくして、レトがふと立ち止まった。
    「……ディミ」
    「なんだ」
    「この道は、たぶん……さっきよりも遠回りじゃないか?」
     ディミは鼻を鳴らして、ややそっぽを向く。
    「近道のつもりだったが……どうやら一本、間違えたらしい」
    「ふっ。道案内失格だな」
    「……悪かったな。獣でも間違えることはある」
    「知ってる。でも怒ってない。こうしてると、遠回りも悪くない気がするからな」
     レトはふいにそう言って、にこりともせずに、ほんの少しだけ口元を緩めた。ディミはしばらく無言だったが、やがて、くっくっと喉の奥で笑った。
    「……本当に変な奴だ。おまえみたいなの、今まで会ったことがない」
    「俺も、おまえみたいな狼は初めてだ」
    「どういう意味だ、それは」
    「見た目は怖いが、案外素直で律儀、何よりも言葉をしゃべる。…そうはいってもまぁ…パンを半分こした相手だしな」
     ディミの耳がぴくりと動いた。金色の毛並みが、日差しを反射してきらめく。
    「……そうだな。半分こしたな。あれが、妙にうまかった」
    「また腹が減ったら言え。……ジェラルトが焼いたパンなら、いくらでもある」
    「いや、遠慮しとく。だが、もし“たまたま”余ったなら、もらってやらんこともない」
    ディミの言葉にレトは笑った。
    「そうだな。たまたま余った時考えよう」



    【つづかない】



    メモ

    レト
     父と二人で森近くの小さな小屋に住む青年。父以外とあまり接触したことがないため世間知らず。森の奥に住む、祖母レアのお見舞いを頼まれた。
     多分たどり着くころにはパンはなくなってそうだね。

    ディミ
     手負いの狼。どこかの種族のなんからしいけどはぐれてるぞ。仲間はディミをさがしてるらしい。月の光を浴びると人の姿になるらしいぞ


    …みたいなのうみそ溶けた妄想を時々しますが続きはとくにありません。
    暇つぶし程度の駄文におつきあいありがとうございました。
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