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    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

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    summeralley

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    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【勉強】

    #二次創作BL
    secondaryCreationBl
    #飯P
    #腐女子向け

    【飯P】学びたくば 殆ど使われない神殿の客間で、悟飯は今日も机に向かっていた。少し前までは鬱陶しいほどピッコロにまとわりついていたのに、ここ数日は、ちょっと頭を下げただけですぐ客間に閉じ籠ってしまう。
     社会で普通に生きていくためには、武術にだけ打ち込んでいれば良いというものでもないのだろう。戦いの中に生きていた悟飯が、全うな大人になろうとしていることは、ピッコロにとっても喜ばしいことのはずだった。
     日が暮れかけて、部屋は薄暗い。ピッコロがさっき様子を見に来た時と同じ位置にティーカップがあり、量は全く減っていなかった。
     「ずいぶん根を詰めているな」
    「まぁ、ちょっと……」
    「体がなまっていやしないか?」
     ああ、とかええ、とか、気のない返事をして、悟飯は顔も上げない。ピッコロは妙に苛立ち、本を取り上げた。悟飯がはじめて目線を寄越して、驚いた顔をする。
     「話しかけられているのに、その態度はどうなんだ」
     悟飯はむっとした様子で立ち上がり、ピッコロから本を引ったくった。
     「ピッコロさんこそ、勉強の邪魔をするなんてマナー違反です」
    「なんだと……わざわざここまで来ているくせに、毎回、来るなり閉じ籠りやがって。それなら、自分の家でやれ」
    「だって、神殿の本を外に持ち出せないでしょう」
     ――神殿の本?
     意外な返答に、ピッコロは言葉に詰まる。自分の本を持ち込んでいるものとばかり、思い込んでいた。
     神殿には確かに、先代の神が残した本が多くあった。歴史書に、生物、植物、海洋、地学、天文、美術に宗教……いったい何の本なのか気になり、ピッコロは悟飯の手元を覗き込もうとする。途端、悟飯は脇に置いてあったノートを引き寄せ、本を隠した。
     「……何の本だ?」
    「何でもいいじゃないですか、別に」
     悟飯は目を逸らし、早口に言い捨てる。これは、後ろめたいことがある時の口振りだ。
     「そうか。続けるなら明かりを灯せよ」
     気のない言い種で、ピッコロが扉の方を振り返ると、明らかにほっとした空気が感じられる。不意打ちで手を伸ばして、ピッコロは再び本を奪い取った。悟飯が声を上げるが、もう遅い。
     それは、ナメック語で書かれた医学書だった。
     「なんだ……デンデの本か? 何故お前がこれを読める?」
    「それは……読む部分をそのノートに、デンデに訳してもらってて……本は、図を見るために……」
     歯切れ悪く白状する悟飯に、ピッコロは呆気にとられた。仮にも神であるデンデに、下働きのようなことを……本来なら叱りつけるべきだろうが、それ以前に脱力感に襲われる。
     「神を顎で使うな……」
    「ほら、怒られると思ったから隠したのに」
    「当たり前だ。おれに言え、デンデにやらせるくらいなら」
    「頼めませんよ! ピッコロさんのために勉強してるんだから」
     悟飯は半ば自棄になった様子で、本のページを開いてピッコロに突きつけた。医学書といっても専門的なものではなく、万人に理解できるごく易しいものだ。ナメックの柔軟性の高い身体、骨と筋肉の構成、内臓の役割、ちょっとした不調に対応する術。
     「何故それがおれの……不調など起きたことはない」
    「違うよ! 今は性別のないピッコロさんたちが、ここ・・を使って弊害はないのか、位置的にどんな臓器が影響を受けそうか、心配になって……今更だけど……デンデに相談したら、関係がありそうなところを訳してくれるって言うから……」
     ピッコロは再び、呆気にとられた。
     つまり、悟飯はデンデに、「ここ・・を使う」時のことを洗いざらい話したと言うことか? 一体いつ? デンデが、悟飯が来る日に、やけに「ゆっくりして下さい」「たまには、どこかへ泊まってきたらどうですか?」と薦めて来たのは、つまり……。
     「……こんなものを読むな。学びたくば、おれを見ろ」
    「え?」
    「実技で学べ」
     ピッコロが静かに告げると、悟飯はわずかに赤面した。赤面したいのは、ピッコロの方だ、この後どんな顔でデンデに会えば良いのか……。
     「いいな、もう余計なことを考えるな。気がかりあらば、お前になら何でも教えるし見せる」
     途端に悟飯のまなざしが熱を帯びたのに、ピッコロは気付かない。自分がどれほど、危ういことを言っているのかにも。
     「……じゃあ、今夜ぼく、泊まりに来ていいですか?」
    「ああ、外へ泊まりに行って、変な風に思われるよりずっと良い。誰にも見つかるな」
     窓から這い込む夕陽が、すっかり冷えたティーカップの水面を眩しく彩っている。もちろんです、勉強させてもらいます、と微笑んだ悟飯には、もはや赤面の名残すらなかった。
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    summeralley

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    ゆ 28b Summer alley

    新刊『廃墟の灯』
    A5サイズ10章68ページ成人向け。

    廃墟となった無人の街に暮らす飯Pのお話の試し読みです。
    03章を途中まで載せます。NAVIOの方には別の章を載せてますので、興味があって見れる方はそちらもどうぞ~
    【飯P】廃墟の灯/試し読み03.廃墟の街

     砂の散ったアスファルトに、錆びた鉄骨とひしゃげた鉄パイプが転がっている。
     山々のように聳える工場群は今やその役割を終え、徐々に朽ち果てつつあるのが、この距離から振り仰いでも明らかだった。
     ひび割れた舗道には雑草が繁り、道の両端に並ぶ建物の外壁にも蔦が這いまわっている。ガラスはどれも汚れており、庇はことごとく破れて垂れ下がっていた。看板やシャッターの文字はほとんど消え失せ、赤茶けた錆だけが無闇と存在を主張している。
     ピッコロが姿を眩ませたのは、両刃の剣を二人で見た直後だった。
     はじめ数日は、悟飯もデンデたちも、どこかで修業に打ち込んでいるのだろう、と考えた。しかし一週間経ち、十日経ち……それでも戻る様子がない。流石に、こんなに長い期間を留守にするのに一言も告げていないのはおかしい。気が全く感じられず、意図的に身を隠していることは明らかだった。
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    summeralley

    DONEこの人の内面はじめて書いた
    って思ったけどピアニスト飯Pの時に書いてました。あの時はネイPではなかっただけで。

    客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。
    【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/12ラストワード テーブル席にウイスキーを出すピッコロを、カウンターの中から見ていた。一気に入った注文があれで片付くから、暫くは落ち着くだろう。
     コリンズグラスに、切ったばかりのライムとスペアミントを入れる。バースプーンで軽く潰すと、やや窄まったグラスの口から、涼やかな香りがここまで上がってくる。
     ライムは、通常のレシピよりも少し多く入れる。それがピッコロの好みだと、分かっているからだ。砂糖は入れない。氷を入れ炭酸水を注ぎ、手早く混ぜる。ちょうどカウンターへ戻ってきたピッコロに差し出すと、両手で受け取って笑った。
     「ありがとう、ネイル。足りないものはないか?」
    「今はない。何かあれば声をかけるよ」
     頷いて、カウンター客の前へ戻っていく。読んだ本の内容について、尋ねているらしい。それを受けた彼は身を乗り出すように研究を語り、ピッコロも微笑みながら聞いている。
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