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    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

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    summeralley

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    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【パーティ】

    #腐女子向け
    #二次創作BL
    secondaryCreationBl
    #飯P

    【飯P】灯火が消えたらはじめよう 人の多さに辟易して、ピッコロは会場の隅から歓談する人々を眺めていた。グラスはとうに空になって、腰高の塀に置いてある。
     初夏の夜空のもと、屋外にガーデンテーブルを並べた、ごくカジュアルなパーティーだった。ちょっとした賞の授与と、研究者たちの懇親……。
     招待状には悟飯の名前に添えて「プラスワン」と書かれている。誰か一人、付き添いと参加して良いということだ。ピッコロはそのプラスワンとして、連れて来られていた。
     年若い研究者たちは、後輩や友人をプラスワンとしている者がほとんどで、時おり配偶者や、それに準ずる相手を連れている者もいる。研究とは何の関係もない自分に声をかけるとは……研究の場で気の合う者がいないのかと、ピッコロはやや心配になる。
     「疲れましたか?」
    「少しな。挨拶は済んだか?」
    「うん、大体……はい、お水です」
     悟飯はピッコロに、新しいグラスを差し出した。短い相槌と共にそれを受け取りながら、視線だけは会場の端から端を探っている。隠れる場所を探す小動物のようだ。そのくせ、入場時に渡された未点火の手燭は、きちんと片手に携えている。律儀さがやけに微笑ましく感じられ、悟飯は声に出さず笑った。
     静かな音楽と共にキャンドルセレモニーのアナウンスが流れ、スタッフが二人の手燭に火をつける。他の参加者の手燭にも火が行き渡ると、会場の照明が落とされた。蝋燭の小さな灯火が、なんとも頼りない光量でそれぞれの手元だけを照らしている。
     「……今なら、こっそり出ても目立たないかも。ちょっと離れましょうか」
     悟飯がピッコロの腕を引き、歩き出す。
     広々とした庭から、建物の裏手に回ると、音楽は薄膜の向こうで流れているように遠のいた。パーティー会場にいる時は気付かなかったが、満月がほの明るくあたりを照らしている。
     温室の扉が開け放たれており、勢いよく枝葉を伸ばすプルメリアが覗いていた。何気なく踏み入れると、濃い緑の匂いと、湿った土の匂いに満ちている。
     悟飯が手燭を高く掲げる。紅色のブーゲンビリアが滝のように流れ落ちた先には、色鮮やかな花が無数に咲き乱れていた。
     「わぁ……こっちもパーティーですね」
    「人がいないパーティーとは、寂しいな」
     ピッコロの返答は素っ気なかったが、喧騒を逃れたためか、声の響きは柔らかかった。
     ほんの少し奥へ進むと、もはや会場の音楽は聞こえない。背の高い花々と、瑞々しく繁る樹木が視界を埋めて、まさに花たちのパーティーのような様相だ。
     「あの花って神殿にも……あっ!」
     ピッコロの方へ振り返ろうとしたその時、出入口から吹き込んだ風で悟飯の手燭が立ち消えた。煙の匂いが、植物の青い匂いに混ざる。
     「あーあ……ピッコロさん、火をくれますか?」
     悟飯が手燭を傾けるので、ピッコロも自分の手燭を近付けた。ほんの三秒……四秒、五秒……合わせられた灯芯から灯芯へ、小さな火が移る。悟飯の手燭も力を取り戻し、蝋燭を見つめる顔を照らした。辺りに物音がせず、花に彩られていることもあって、何かの儀式のようだ……これは……。
     ピッコロが言葉を見つける前に、悟飯の顔が上げられる。微笑んだ目の中に、灯影が揺れていた。
     「何だかこれ……結婚パーティーみたいですね」
     ピッコロは思わず言葉に詰まり、ただ二つの灯火を見つめた。否定することも、笑い飛ばすこともできない。まさに同じことを、感じていたからだ。
     「僕、いつか結婚できるなら、盛大な披露宴より、こういう二人だけのパーティーがいいな……」
    「そうか……だったら……場所は?」
     誰と、とは訊けず、ピッコロは手燭の明かりを枝に近付ける。薄紅の小さな花が満開だ。なんとも落ち着かない気分で、悟飯を振り返ることができない。それに気付いているのかいないのか、悟飯の手が伸びてきて、ピッコロの手を掴んだ。
     「そんなの、あの荒野に決まってますよ。ピッコロさんとはじめて会った、大事な場所だから。ピッコロさんが、あそこでいいならね」
     強引に手を引かれ、再び悟飯と目が合う。匂い濃く咲く花たちの中で、二つのひとみに四つの炎が揺れる様子は、まさに宴そのものだった。
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    summeralley

    DONE急いで進めてるけど12話くらいにはなってしまいそう……少し先でベッドシーンで丸々一話使ったせいで……。
    ネイPのP、ちょっと子どもっぽく書いてしまう。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/04.聴診器の語るもの ネイルは殆ど、家へ帰らなくなっていた。職員がみな帰るのを待ってから仮眠室へ下りるので、それから帰宅となるとどうしても遅くなる。
     元々、仮眠室へ寝泊まりすることはそう珍しくなかった。同じフロアに、簡易的なシャワールームもある。食事は水で事足りる。コインランドリーは研究所の道向かいだ。
     ――家へ帰ったところで、仮眠室の様子が気になって眠れず、警備員が驚くような早朝に出勤することになる。
     自らが切り刻んだ研究対象への執着なのか、単純な個への執着なのかは、判然としなかった。それでも、寝袋を持ち込んで寝泊まりするようになるのは、ネイルにとって自然な選択だった。
     その日ネイルは、どこか浮き足立っていた。
     石室の標本に関する嘘の報告書は問題なく受理され、更に詳しく検査を進めるようにとの文言を添えた、検査項目のリストだけが戻ってきた。それも、時間がかかることを誰もが理解できる検査項目ばかりで、当分の時間は稼げそうに思われる。
    3016

    summeralley

    DONE10話くらいで終わりたいとか言ってたのに、少し先の話に性的なシーンを入れたので予定が狂って10話で終わるの無理になりました。ネイP次いつ書くか分かんないし、どうせならって……。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/03.新しいラベル 「石室の標本について、何か分かったか?」
    「報告書の通り、特段変わったことはありません……何しろ前例がないので、手探りで。慎重に進めています」
     ムーリは頷き、引き続き任せる、と研究室を出て行く。ケースの観察窓を覗かれなかったことに、ネイルは胸を撫で下ろした。研究者としては、それが正しい振る舞いだ。以前ネイルがそうせずにいられなかった、無闇に観察窓の蓋を開ける行為は、暗闇で保管されていた検体にどのような影響を与えるか分からない。
     ネイルの返答は、完全な嘘ではなかった。このような現象に、前例があるはずもない。腐敗せず、硬直もしない遺骸など……ただし「変わったことはない」という部分は、真っ赤な嘘だ。
     石室の標本はもう、標本ではない。さりとて、それを報告できようか? おそらく、上層部の判断で、もっと大きな研究所へ送られることになるだろう。戸籍もない古い時代のナメックが、「呼吸する標本」……良くて「実験動物」として扱われることなど、目に見えていた。
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