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    ロゼッタ

    @roze_ygo

    遊戯王 / GS / 忍🥚
    落書と小説と🔞
    完成後は修正次第pixivにUP予定

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    ロゼッタ

    DONE【さくなこ】両手が塞がって食べれない勘兵衛にたこ焼き食べさせる清右衛門の話。現パロ。 元ネタは新規SDイラスト。仙文クレープの話と少し繋がっている。
    たこ焼き一人暮らしを始めてから、勘兵衛はいつも食事を一人で済ませている。実家を出る前から家族揃って食卓を囲む機会は少なかった。両親は共働きで忙しく、勘兵衛が小学生の頃から夕飯は置き手紙と共にラップをかけられた皿が一人分テーブルに用意されているだけ。温め直して黙々と食べる。そんな日常が当たり前で、中学、高校と進むにつれ、部活で帰りが遅くなる日も増えた。コンビニで買った弁当を自室で食べることも多くなり、美味しいものを誰かと分け合うことを、勘兵衛は長い間知らずにいる。









    秋晴れの午後、試験が終わった開放感に包まれた勘兵衛は唐突に腕を引かれた。やってきたのは赤い看板を掲げた屋台。清右衛門は三ふね注文し会計を済ませると、待ちきれなかったのか一口ぱくりと食べてしまう。湯気と共に立ち上る香ばしい匂いに勘兵衛の腹が小さく鳴ったが、我慢しなければならない。隣の建物から漫才を見終えた観光客がどっと押し寄せ、あっという間に近くのベンチも立ち飲み用の台も埋まってしまい、仕方なく勘兵衛が熱々の舟を両手に持つことになったからだ。観光客の列へ目を向けて、隣の──美味そうに食べる灰桜色の頭へ急かす。
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