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    山椒魚

    @darumasan5656

    中華BLの沼に生息しはじめた両生類。20↑
    たわ言を吐きます。勘違いが多いです。動きは鈍いです。何かあったら棒でつついてください。痛くないやつが嬉しいです。


    『人渣反派自救系統』 の邦訳分冊版の連載を追いかけ中。(現在連載50巻目 第20回の段階)
    自力で翻訳はできていないため、先の展開は知らない状態です。何か勘違いがあってもぬるく見逃してください。

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    山椒魚

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    邦訳分冊版50巻(第二十回)の深掘り。
    文章の一部に原作の状況説明あり。
    台詞は本編の一部をほぼそのまま引用しているので、ネタバレが気になる方はご注意ください。

    初めて書いた二次創作なので色々と拙いです💦

    #人渣反派自救系統
    scumVillainSelf-helpSystem
    #人渣反派自救系统
    scumVillainSelf-SavingSystem
    #svsss
    #クズ悪役の自己救済システム
    #沈清秋
    shenQingqiu
    #尚清華
    shangQingHua

    決戦前 (うっわ、・・・・・・な、な、なんて表情すんだよ、この人ぉおおおぉおおお)
     一瞬、思わずぶゎりと赤くなってから、瞬時に青くなり、付け込まれてなるものかと何とか努力して平常の顔色を保つ。
     (セ、セ、セーフ!)
     どうやら相手には気付かれなかったようだ。
     

     対天琅君作戦のために洛川に集結した修真界と北疆魔族の集団の中、久方ぶりに清静峰主の姿を認めた。
     居るだろうとは思っていたが、実際に顔を合わせると互いへの不満が一気に噴出する。何を経験してきたかは知らないが、こちらに対する一言目が「なんでお前、まだ生きてんだよ! なんで漠北君はまだお前をぶっ殺してねぇんだ!」などと喧嘩腰どころか殺気立った台詞を放ちつつ詰め寄ってくるものだから、こちらも当然、同様の応酬になる。

     相手の言い分は明らかに自分への非難だ。
     どこで知ったのかオリジナルの沈清秋、沈九の設定に関して口角泡飛ばして罵ってくる。が、そんなことを言われてもこちらは職業として小説を書いていたのだ。何のバックボーンも無いキャラクターを使って何の波風も立たないような話を続けたとして、誰が金を払ってまでして付いてきてくれると言うのか。連載を継続できなければ収入が確保できない。どれも魅力的なキャラにしようと思って立てた設定だ。まぁ読者のニーズを鑑みて実際の連載時にはバッサリ削った部分ではあったけれど。
     自分にも大いに思うところがある故に、ここで言い負かされる訳にはいかない。
     いかない の、だが。
     同じように悲惨な境遇に設定した洛冰河に人気が出た実績を引き合いに出した途端、沈清秋の放つ気配が変わった。


    (・・・・・・あんた、ソレどういう変化球なのさ)

     正直、今までこいつと話してきて、ここまで狼狽えたことはない。最初に正体を言い当てられた時くらい、いや、アレ以上の衝撃ではなかろうか! というか、衝撃のベクトルが違うので、比較自体がナンセンスかもしれないが。
     相手は、俺が設定した小綺麗な面に相変わらず怒気を貼り付かせてこちらを睨み据えているが、その苛烈な目付きとは裏腹に、瞳全体は潤んでいるし目尻は赤いし、ついでに色白の頬もほんのりと紅潮していて、噛み締めて歪んだ唇にも妙な色っぽさが滲み出ている。

    「・・・・・・きゅうりくん、何その顔。」
     これは・・・・・・チョットいただけない。
    「まさかと思うけど、可哀想だと思ってるのか?」

     言ってから、控えめ過ぎる表現だったと気付く。いやもう洛冰河が可哀想とか可哀想じゃないとかいう次元は確実に跳び越えている。感情移入や想い入れなんて次元ですら無い。
     これはアレだ。
     半落ちというやつだ。
     先程までの沈九絡みに起因する怒りとは確実に異なる感情の発露だ。激しくはあるが単純な弟子の扱いへのクレームなどでもない。洛冰河に悲惨な境遇を敷いた自分に対する弾劾の念が、洛冰河自身への強い想いに後押しされて逆巻いている状態であり、つまりこの直視が憚られるような何がしかの気配を纏いながら押し寄せる圧の核は「洛冰河への想い」なわけだ。
     いや、もう半分どころじゃなく取り返しがつかないレベルにまで到達しているんじゃなかろうか?

    「ずっときゅうりくんは不撓不屈に自分のセクシュアリティを守るタイプだと思ってたのに。」

     自分が今どんな表情をしているのか自覚が無いのか、この人は。
     色づく気を立ち昇らせながら射抜くような強い視線を向けてくる真剣な面差しが、凄絶に美しい。こんなモノを見せつけられて、胸の奥にさざ波が立たない者などいるのだろうか・・・・・・。

    「ずっとストレートだと思ってたのに!」

     最後の方は何に対してか悲鳴のように上擦った声になってしまった。
     無自覚なだけに罪深い。
     なんて、なんて危なっかしいヤツ!

     自分は知っている。
     こいつは「絶世きゅうり」なんてふざけたハンドルネームで無責任に人が書いた作品をディスるようなヤツだって。大した苦労もしていないような現代人で、文句を言いながらもせっせと課金してネットに貼り付いているような暇人だったということも。
     ついこの前までだって自身が生き残るために洛氷河から逃げ回っていたのに。
     なのに。
     自分の敷いたレールをメチャメチャに破壊して、妙な方向に改編して行きやがったその先に芽吹き出したのは、それぞれの「一途な想い」というやつで。こいつ自身もまた無自覚に、その「一途な想い」を抱え始めている。
     こいつの存在が、こいつの行動が、自分の造った骨組みだけの世界に善良で誠実な血肉を与えて息づかせていく。復讐・陰謀・性愛しか与えていなかった自分の世界に希薄だった友愛やら師弟愛やら、もっと大きく激しく節操のない感情まで生み育てて、そしてそれを世界の中心が大切に愛しげに抱え続けるのだ。
     
     それは、
      なんて・・・・・・

     そんな思いに沈みかけたところで、こめかみに青筋を立てた沈清秋に蹴られた。
     嫌な処を突かれた故だろうが、さりとて否定を口にしていないのもまた無自覚ゆえだろうか?
     「お前とウダウダやり合ってる暇はない。」
     気付けば先程までの危ない色香をすっかり引っ込めた沈清秋は、それでも目から火を吹きそうな勢いのまま、世界のために言った。

    「ほら、天琅君をどうやって倒せばいいのか、さっさと言え!」


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    Replies from the creator

    山椒魚

    DONE洛冰河が竹舎の隣の空き部屋に移り住んだ頃の話です。白蓮華15歳、明帆17歳位。

    さはんドロライのテーマ「嘘」をクリアすべく、登場人物が1度は嘘をつく、または嘘という言葉を口にする縛りで書きました。
    まぁ、この話自体が嘘・・・というか捏造だらけですけどね。
    という訳で何でも許せる方向きです。

      *:*:*:*:*

    邦訳分冊版の連載を追いかけ中。(現在連載50巻目 第20話の段階)
    月夜の迷いごと 「今まで苦労をかけたな」
     師は穏やかな口調で、口許に笑みまで浮かべてこれまでの働きを労ってくれた。
     普段であればどれほど誇らしく、喜ばしく思ったことだろう。
     けれど今、それは絶望感を伴い明帆の胸を押し潰した。
     お払い箱になったのだ・・・・・・

     明帆の師への敬愛は崇拝に近いものがあった。
     昇山し、拝師の礼を行った時から、端麗な容姿をもつその人の優美な所作に強い憧憬の念を抱いた。表情を抑えた怜悧な面は俗人とは一線を画す不可侵な崇高さとして映り、ただひたすらに敬った。師の命には何の疑念も差し挟むことなく、盲目的に従った。
     そうしていつしか、師の望むことを察し、先回りしてご機嫌取りを行うようになっていった。そんな明帆を、師は傍へと取りたて、重用した。
    17512

    山椒魚

    DONEやっぱりバレンタインとホワイトデーはセットでしょ。両想いなんだし!ってことでシリーズものと化していますが、この話だけでも読めるようになっています。

    ※:※:※:※:※

    邦訳分冊版の連載を追いかけ中。(現在連載50巻目 第20話の段階)
    自力でに翻訳はできていないため、先の展開は知らない状態です。何か勘違いがあってもぬるく見逃してください。
    情人節の贈りもの 〜白色情人節に贈るもの〜 白色情人節。
     それは日本で言うところのホワイトデー。
     元々我が国には無かったイベントだが、何となく日本から持ち込まれた文化のため、やる奴はやるけどやらない奴はやらない程度のイベントだ。情人節ほどやらなきゃいけない感は無い。
     そもそも我が国では女性からプレゼントを貰うなど誕生日くらいのもので、もっぱら男から本命の女性に というのが一般的だ。その根底には、女性にお金を使わせないという暗黙のルールがあるので、白色を取り入れたとしても男が女性に贈り物をする回数が増えるだけ。まぁよほどラブラブならば贈り合ったりもするようだけどね。
     というわけで、前世での俺の情人節絡みの思い出と言えば、妹に贈られた菓子をお裾分けで貰ったとか、兄達が本命に最上の物を贈るために開催した試食会への参加だとか、つまり自分とは全く関係が無いエピソードばかりだった。こちらの世界にもそんな習慣は無かったため、これら呪われたイベント(ぼっちにとって情人節と5月の我愛你の日と七夕節は特に地獄!)とは一生無縁かと思っていた。いたのだ・・・が。
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    山椒魚

    DONEさはんドロライの1周年に初参加で参入させていただこうと書いた話です。
    周年記念の特別企画として色々選べるお題の中から「再会 」をテーマに書き始めましたが、果たして読んでくださった方にそう思っていただけるか自信が・・・・・・。

    捏造設定とチートアイテムが堂々と幅をきかせています。何でも許せる方向けです。
    扇子の行方「また妙な物を欲しがるものだ」

     扇子が欲しいと洛冰河が言い出した。
     少し意外だったが、得心がいかないでもない。
     では、揃いで誂えようかと沈清秋が提案すると、それも嬉しいのですが・・・と冰河は少し言い淀んでから、できれば使い古しがよいのです と言う。
     「師尊が新しいものを誂える折に、今使われているものをいただければ」などと。
     「それでは[[rb:襤褸 > ボロ]]ではないか、遠慮はいらぬよ」
     師に出費させるのを良しとせずに辞しているのか、と沈清秋は思ったのだが。
     「新しいものではなく、師尊が愛用されていたものをご下賜いただきたいのです」と冰河が更に言うので、なるほど形見のようなものかと納得はした。形見とは会えぬ者を偲ぶ物。魔界の統治に絡み遠征を余儀なくされることもあるゆえ、何か師の物を持っておきたいということだろうか・・・・と。
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