骨
目覚めた瞬間に、今日は妙に温かいとぼんやりと思った。小さな手で、自分の頬を触る。いつもよりも冷たくはない。衾をすんなりと剥いで、身体が震えるような寒さがない。春になるのは、もう少し先であることは知っていた。この時期は、鈍色の空から薄っすらと霞んだ光が一日に一度差し込めば良い方で、大抵は仄暗いか暗いのどちらかであった。
まるでいきなり冬が終わったような麗らかさな雰囲気に、妙な胸騒ぎがした。
この世に生を受けて、まだ年端もいかないわりに妙に大人びた雰囲気の子どもは、これはどうしたことだろうと寝所を抜け出した。
周りには親らしき大人は見当たらない。
「誰か、誰かいないか」
小さな口から零れる言葉は、子どもの舌足らずで甘く甲高い声には不釣り合いなほどに人を使い慣れているようだった。親を求める幼子の寂しさなどは欠片もない。
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