すべて夢の中 私とあの人の出会いは、互いの親同士が決めたお見合いでの席だった。事前に聞いていた経歴も見せてもらった写真もあまりにも好みではなかったから、私はあの人とのお見合いに乗り気ではなかった。
けれど、実際に会って話してみれば気遣い上手のあの人は優しくて思いやりがあって、話も面白くて私を楽しませてくれるような人だった。それは婚約をしてからも変わらずで、私は近い将来に来るであろうあの人との結婚生活に胸を躍らせていたのだ。
あの人と夫婦になれたのなら、やりたいことがたくさんある。様々なことを共に経験して、二人一緒に夫婦として成長していけたならどんなに幸せなことだろうか――――そう思っていた矢先のことだった。
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