北斗くんに恋愛感情捏造した上で遊園地に行く話10〜1310.思い出積み重なる、この日の遊園地
気がつけば手を繋いで園内を歩いていた。横並びだったが、行く方向を先導しているのは北斗の方だった。進み方に迷いがない。目的地にだいぶ近づいたタイミングでようやく北斗は口を開いた。
「最後に観覧車に乗ろう先輩」
大きいものなので、ここよりも遠くにいた時点から観覧車は既に二人の視界に入っていた。だから正直なところ(観覧車に乗るのかな)と言われる前から予想していた日和だ。
「なんだか定番な感じ」
「だろうな。そしてこれも定番な流れだが……」
声をできるだけ普段と変えないように意識する。一度あえて自分の鼓動を聴いてから北斗は宣言した。
「観覧車の中で、もう一度先輩に告白したい」
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