兄上どんな人やろな、で捏造してる話(あ4〜エピ)◯愛のあいさつ 第四話
家に再び静寂が戻ってきた後、兄が「ちょっと話さない?」と比較的軽い調子で弟を誘ってきたので、二人だけで部屋に留まっていた。まだ厳密には病気が治ったわけではないのに、兄は晴れやかな顔だ。弟をソファに座るよう促すと、自分も隣に座った。
「お前のおかげで覚悟は決まったよ。まだまだ先行きは不安だか頑張るからね」
「うん。兄上なら大丈夫に決まってるね」
「それでさ、ちょっとお兄ちゃんの願いをもうひとつ聞いてくれないか?」
「なんですか?」
晴れやかそうだった兄は、ここで少し迷ったようだったがやがてはっきりと告げた。
「この家のことは絶対に私がなんとかするから、お前はあまり家に囚われず生きてくれないか?」
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