天邪鬼の皮剥ぐ 繊細な指が、太い背骨をなぞり、大きな肩甲骨に触れ、筋肉と脂肪とが詰まった皮膚を撫で上げている。
白い手が、薄明かりの中に浮かんでいる。白樺の枝のような腕は闇よりは明るく、行灯よりは暗い燐光を放ちながら肌の上で遊んでいる。
木場は煙草を灰皿に放って、その徒な手を捕まえた。いい加減、擽ったくて仕方なかったのだ。その手の感触が、というよりは、そのテの触れ合いが――男として女と対峙したときに起こる情動など、そうしたものが木場の肌には合わない。
女は、苦手だ。
別に女を抱くのが嫌な訳ではない。そうでなくては、こんな安宿で裸になって煙草など吹かしておらぬ。ただ、刑事と市民とか、或いは商売女と客とか、そうした箱書を取り去って一人の男として女に向き合うとき、どうしたらよいかどうにも見当がつかないのである。
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