月光蓄音都市ウィーン«4.5節「ある男の手記」
深い眠りのなかで、あなたは私の■■■過去を見る。
ある夜のこと、男の前に神が降臨しました。
神は音楽そのものの姿をとって男の部屋の窓から入りました。
神は男にこう語りかけました。
「ルートヴィッヒ、ルートヴィッヒ。私の元へ貴方を招きます。私のために音楽をしなさい」
男は神の申し出をまこと誇らしく思いましたが、首を横に振りました。
「私は音楽によって神の愛を地に知らしめる使命があります」
神は男の信仰に深く感じ入り、男の耳に息を吹き込みました。
すると、男の中には全ての「音」が在りました。
男の耳には世俗の音が何一つ入らぬ代わり、世界にもたらすべき「音」が鳴り響くようになりました。
私は誓いました。
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