家路「サンウォンさんのお父さんは、どんな人です?」
信号待ちでそう問われ、助手席のギョンフンと目を合わせる。
「多分……俺と似てるはずだ。不器用だったから」
人と物の区別がつかないのか――母には時折、そう泣かれていた。
すれ違いはうかがえたが、母の方が父を捨てられないような印象だった。お互い愛情を持って接しているのはわかった。母の方が想いは強く、それが伝わらないのが苦しかったのだろう。
自分は父とそこまでの衝突はなく、声をあらげて怒られた思い出もない。ただ、父が母にしていたのと似たことを、気付けば自分は、娘にしてしまっていた。
「――不器用?」
目を細めたギョンフンに自分の言葉を繰り返され、少し喉元が苦しくなる。
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