2/7シーツの波間に君 書類を確認してもらいたくて、秘書を探す。スケジュール調整を任せっぱなしなので、予定が重なった日は、彼女に聞かないと追加で予定を入れていいかどうか解らない。
「いないなあ」
書斎はもちろん、厨房にもリビングにもいない。寝室にも風呂場にもどこにもいない。
出掛けたはずはない。もし出掛けるなら必ず声をかけていくから。けれど、あまりにも見つからないと不安になってくる。あの娘が俺を置いていなくなるなんてこと、あり得ないってわかっているのに、それでも胸がざわつくのはどうしようもなくて。
「どこに行ったの」
呟いて窓の外を見る。洗濯物がはためいている。もしかして?
外に出て物干しの方を見に行くと、いた。
乾いたシーツの山に埋もれて眠っていた。珍しく尻尾が出ているけれど、くったりとシーツに埋もれている。
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