12/12なんでかは解らないけどだいたい筒抜け 今日はメフィスト様とは別行動で、一人で荷物の引き取りに行っていた。荷物を引き取って帰宅すべくパタパタ飛んでいると、複数の羽音が聞こえて、おやと思ったら囲まれた。
囲んできた悪魔たちは一様に人相が悪い。まーチンピラとかそういう感じ。オチョやキリヲくんほど気持ち悪くないけど、ろくでもねえ用事だろうなあ。
「おい、女。ついてこい。抵抗しなければかわいがってやる」
テンプレかよ、みたいなセリフを私の正面の悪魔が吐いた。
「……目的は? 私を連れて行く、目的」
「強がっていられんのも今のうちよ。てめーメフィストの部下だろ? あの新参13冠を引き下ろす駒になってもらう」
おお、思ったより一通り教えてくれた。けど、止めといた方がいいんじゃないかな……。たぶん、この人らが思うよりメフィスト様はブチ切れるし。
「あの、止める気は?」
「あるわけねーだろ!」
「……だよね。えと、メフィスト様のお耳に入れたくないから、ここで失礼するね」
私はふわっと魔力を広げる。広げた魔力で周囲の悪魔を捕捉、羽管をぶち抜いて地面へと叩き落とす。
「まー、死にはしないっしょ。あ、生かしちゃダメか。また襲われたら困るし。いや、ここメフィスト様の統治範囲じゃないわ。殺しちゃダメだ」
つっても、生かしといてメフィスト様の耳に入ると私の愉快な軟禁生活待ったなしなので、急いで魔力を広げ直して、落とした悪魔たちを再び捕捉。全員の記憶を適当にふっ飛ばしてから帰路につく。
が、家の扉を開けたらメフィスト様が待ちかまえていた。
「ただいま戻りました」
「おかえり。なにがあった?」
なんでバレてんの、怖いよ! たぶんここで対応を謝ると後が怖いので慎重に言葉を選ぶ。
「ちょ、ちょっと柄の悪い連中に絡まれたので散らしてきました」
「どこの派閥?」
もう、全部わかってて聞いてんじゃん!! 諦めて一から十まで説明する。
「……というわけで、たぶん南東部の下級貴族の系列かと」
「ふうん。全員殺した?」
「メフィスト様の統治されてる地域じゃないので、魔関署に怒られるといけないので記憶だけ消してきました」
「……ま、仕方ないか」
メフィスト様は私の持つ荷物をひょいっと抱えて行ってしまうので慌てて追いかける。
「怪我は?」
「してないです」
「触った?」
「いいえ」
「……じゃあまあ、いいか。あ、でもシャワー浴びておいで」
「承知しました」
その後メフィスト様は普通だったけど(ちょっと機嫌は悪かったけど)、その下級貴族の家系は潰えたと言っておこう。メフィスト様曰く、
「13冠のお気に入りに手を出して骨が残ると思わないでほしい」
と言うことだ。とりあえず軟禁生活は免れて良かった。本当に良かった。