12/11私とのカップリングはあなただけだ「アムリリス様。今よろしいでしょうか」
魔界塔にてメフィスト様が報告に上がっている間、私はアムリリス様に声をかけていた。
「あらん、メフィスト様の秘書ちゃん。どうかなさった?」
「メフィスト様から大貴族会の招待状を頂戴したのですが、アムリリス様からだと」
「ええ、そうよん」
アムリリス様はそれはそれは美しい笑顔で頷いた。
「あなた方の元にも貴族会、大貴族会の招待状が届いているでしょう? けど、あなた宛の招待状が届いているものはお断りしているのではなくて?」
「はい」
「けどねん、隠されると暴きたくなるものでしょう? であれば、同じ魑魅魍魎でも顔を知る魑魅魍魎の方がよろしいのではなくて?」
「……お気遣い、痛み入ります」
「構わないわん。メフィスト様を味方に付けたいがための策略と思っていただいて結構よ」
アムリリス様はバチンとウィンクをして去っていった。危ないところだった。メフィスト様が好きじゃなかったら惚れてるとこだった。さすが色頭……色気がすげえ……。
色気の塊みたいなお姉さん(子持ち)が去ってから、私も頭を振って使用人用の控室へ向かった。ちょっとアムリリス様の色気でお腹がいっぱいで食堂に行く気にはならなかった。
「お待たせ……この匂い……アムリリス様?」
控室でぼやっとしていたらメフィスト様が戻ってらした。つーか匂いて。私の匂いで誰といたかわかるの??? 怖いが???
「先程お会いしまして、大貴族会の招待状のお礼を申し上げておりました」
「そっか。納得した?」
「しました」
「じゃあ帰ろう。帰ってシャワー浴びてきて」
……他の悪魔の匂いをつけたままにするな、というアレかな? そんな匂いするかなー。したとしてもアムリリス様の匂いならいい匂いだと思うんだけど。と、言ったところで我が主は納得しないので、私は承知しましたと立ち上がる。
「ねえ」
「?」
部屋を出ようとしたら呼び止められて、抱きかかえられた。
「こうやって抱きしめたときに俺から、例えばアザゼル様の匂いがしたら嫌じゃない?」
「……ちょっと勘ぐりますね」
「そういうことだよ」
メフィアン? なかなか聞かないジャンルですね。ビジュアル的になくはないのか? 床に降ろしてもらいながらバカなことを考える。
口に出したら酷い目に合うので、黙ってメフィスト様の後に付いて行った。