2/6ずぶずぶと甘やかされるのが当たり前になっている「あー、疲れた」
バベルにて13冠の集いを終えてフラフラと帰宅する。今日は秘書は家で仕事をしていて、帰ったら充電させてもらおう。
夕方から始めて日付が変わるまで続いてほんとーに疲れた。ナルニアくんがアザゼル様と睨み合いを始めるしベルゼビュート様の愚痴は止まらないしバールの野郎は突っかかってくるし散々だったのだ。魔関署二人の睨み合いは魔関署でやってほしい。イラッとして俺がそこに種火を放り込んだせいで長引いた気もする。
まあ終わったからいいんだ。
家の前に着くと、扉が手をかける前に開く。
「お疲れ様でございます」
「ただいま」
「お帰りなさいませ」
上着を脱ぐ手間も惜しくてかわいい娘を抱きしめた。厚手の上着に埋もれて頬を赤くしている。俺の帰りを待ち構えていてくれたのかと思うとすごく嬉しい。
「メフィスト様、お風呂の用意が出来ておりますので、温まってらしてください」
「君は?」
「後ほどいただきます」
「一緒に入りたいな」
「入るだけで済まないからダメです」
「……」
「そんな顔をされてもダメです。お飲み物やお布団も用意してまいりますので」
今日はダメな日らしい。
ダメじゃない日なんてほとんどないので気にせず風呂に向かう。出ると交代で彼女が風呂に行く。寝室は温まっているしサイドテーブルにはちょっと熱めの魔茶が置いてあるし、なんかもういたれりつくせりで、本当に帰ってこれて良かった。泣きそう。
しばらくすると彼女が風呂から出てきて、ほかほかしながら擦り寄ってくる。
「遅くまでお疲れ様でございます」
「うん。疲れた」
「あらら」
そう言いながら頭を抱えてよしよしされて、自分にそんな性癖も属性もなかったはずなのに、でろでろに甘やかされて沈んでしまいそう。
「何かに目覚めそうなんだけど」
そうほんのり抗議すると、彼女はうっすら微笑んで覗きこんだ。
「あら、まだ目覚めてなかったんですか。もうちょっと頑張りますね」
こっわ。怖いけど、手遅れだった。