偽りのない誓い 駅に着いたという連絡を受けて改札口まで向かえば、困った顔をした留三郎が駆け寄って来た。
「まさか雨降ると思ってなかったから傘持って来てないんだ。ちょっと買ってくる」
「そんなに遠くないから私の傘に入って行けばいいよ」
「えっ!? あ、いや、でもそれは悪いし……雑渡さん濡れそうだし……」
それほど嬉しそうな顔を見せて照れたように俯いておきながら、放っておくわけがないだろう。言い訳を並べる彼の背中を軽く押し、出口へ向かって歩きながら雑踏で掻き消えそうな声で呟く。
「せっかく会えたのに離れようとするなんて、つれないな」
掠めるように指先に触れると手首を掴まれ、軽く引っ張られて素直に体を傾ければ耳元へ唇を寄せてきた。
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