ヒペリカム(仮)海の中心にて何百年も繁栄存続している孤高の王国、なんて言えばそれなりに聞こえがいいだろう。
蓋を開けてみれば年の半分は入江は氷に閉ざされ、実り豊かな山も土壌もなく、原住民以外は中々に住み着かない国だ。
それでも生活しなければならない。夏の間に採り貯めた海の貴重な資材を元に周りの国から必要な様々な物を取引していく貿易が主な生活収入となっていった。
しかし、四方を海に囲まれた島は遮るものがほとんどない。ひどく荒れる海の日も少なくはなかった。
船が一隻転覆すれば国民が一割死ぬ。そんな大袈裟な話が当たり前に現実になるひっ迫さに守り神と称する縋る象徴を立てるのはもはや必然な事だったんだろう。
この国で稀に産まれるオッドアイの子を船付きの守り神に。彼らの青目は海神様の使いの印だ。
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