愛したい?愛されたい? 生まれも育ちも関係無い、強さだけがあればそれでいい。だからハンターになった。ただ、それだけ。
カムラの猛き炎、と呼ばれる若き狩人に会った。歳の頃は二十代半ばといったところか。自分はそれに比べて随分と歳を取ったなぁ、などと感傷と共に猪口を傾けた。
「…あんたは、何処から何処へ行くんだ」
「さてねぇ…。根なし草だから、気の向くまま風の吹くまま、ってヤツさ」
「故郷に帰りたいとは思わないのか」
「ないね。お前さんとは違って守りたいモノなんて無いのさ」
徳利を差し出してやったが逆に注がれ、酒は好まないのか、と皿を押してやる。
「……何処かに留まりたいとは、思わないのか」
「今のところは思ったことねぇなぁ。何だ、オレの話が聞きたいのか?」
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