昔々、とある村にそれはそれは恐ろしい悪魔と言われる得体の知れない何かが棲みつき流行病や神隠しなどの災いをもたらしていました。
そんなある日この村にとても可愛い赤ん坊が産まれました。
赤ん坊はすくすくと育っていきやがて不思議な力を授かっていることが分かりました。
不思議な力を宿したその子供を大切に育てていた一人の村人がこの世を去りました。
これ幸いと、見えない世界を認識しこの世のものではない者と言葉を交わす恐ろしく不気味な子供をこの村に棲む悪魔に捧げようと村の長達は考えました。
村人は信じていました。邪悪な悪魔をその器に移した不気味な子供諸共を殲滅する救世主がやがてこの村を救うだろうと。
人里離れた寂れた村を訪れた暁人とKK。村外れにある神聖な神社に祀られていた御神酒を体内に取り込みその村で静かに眠る邪悪な子供の魂を祓うのが今回の任務である。
邪悪とは言え相手は子供の魂なので大して難しい仕事ではない。
この村に足を踏み入れたあたりからKKの様子が少し変だと気付いた。
「どうしたの?何か視える?」
「あー」だとか「んー」だとか言葉を濁し言い淀むような素振りを見せたあと、意を決したように話し始めた。
「この任務、オレには祓えない。オマエにしか出来ないんだ」
「え、どう言うこと…?」
「この子供の魂ってのはな……オレだ」
「黙っていたけど、オレは此処で産まれた。依頼書の通り生贄にされた子供ってのがオレだよ。正直細かいことは覚えていないがオレは生き延びた。でも、その時の念が此処に残ってしまったみたいだな…チッ…最悪だよ」
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特別な力を恐れられ村の呪いを解くために悪魔をその身に降ろし封印するための贄として利用されつつ、自身の魂を滅ぼす準備までさせられる過去の子Kが創った口噛酒の力を取り込みいまだそこに残滓として残る子Kの魂を救う暁人って物凄くかっこよくないですか?
(お兄ちゃんもおれのこときらいなの?)
「僕はね、君のことがすっごく大好きだ」
(おばけと話すおれきもちわるくない?)
「きもちわるくなんかないよ。お話聞いてあげたらおばけ達喜んでない?」
(とっても怖いおばけもいっぱいいるけど、ほかのおばけはみんなにこにこして上にふわってするから、だから、いっぱいお話ししたら、じっちゃん達が…きもちわるいっ…て言って…おれのことたたくから…)
「そっか…ずっとずっと辛かったよね?いっぱい耐えたね、君は本当にいい子だ」
と、泣きじゃくる子Kを抱きしめながらKKにも言い聞かせるように優しく浄化してほしい。
幼く未熟な過去の自分の魂が気付かないうちに残り続けていたこととそれを暁人に祓わせたことへの罪悪感や居た堪れなさを感じるKK。
「こんなこと任せちまって悪いな…」
「頼ってくれて嬉しいよ」
「ガキの頃から泣き言ばかりだな、気分良くねぇだろあんなの」
「ねぇ聞いて。僕はどんなあんたでも受け止めたいし、あの子をただ救いたかったんだ」
とても優しく、でも決して離してなるものかと力強い声で腕で抱きしめてくれる暁人。
子Kの魂を救う暁人が見たいなとぶわっとなった妄想です。
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以前にもツイしたのですが子K+KKに対して「あなたのそれは忌むべき力ではなく最高のギフトなんだよ」と、人と違う力を持つことへの恐怖や異質を見るような目で見られ人格を形成する大事な時期に抱えた悲しみは簡単には消えないからそれらも含め今のKの存在も何もかも全てを包み込んで受け入れて愛してくれる暁人のあきけが大好きです。
KKは自己肯定感低いので素直に受け入れられない部分もあるけど、強いと思っていた人の自分だけが知っている人間らしい弱さとかそこもひっくるめて暁人は愛おしいんです。
年齢差とか気にするし同じくらいの愛情を暁人に向けられるか?と言われたら出来ないけど、それは本人が気付いていないだけで実は同じくらいどんな自分も受け入れてくれて些細な言葉や態度、自分だけに向けられる柔らかな眼差しを知っている暁人は充分愛を感じられているんです。
KKの不器用さを知ってこそ得られる幸福感ってあると思います。
ちなみにこの話のKさんは己自身の魂に干渉出来ないため、第三者である暁が大役を任された感じです。
書きたいとこだけ書いたので訳わからないですね、すみません。
と言うわけでめでたしめでたし。