Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    YNKgame

    本名:𝕭𝖗𝖞𝖆𝖓米子。20↑。
    書きかけとか試作とかを投げる予定。反応くれたらうれションして走り回ります。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 23

    YNKgame

    ☆quiet follow

    ルビコン基地のメガファームで農業用MTを駆るフロイトの話

     特殊なビニールシートに包まれた広大な人工農場は、寒冷化したルビコンにあって常に植物の育成に最適な温度が保たれている。
     アーキバス、ルビコン基地に勤める全職員の食糧生産を賄う開発農産部のメガファーム内では、太陽光を模した人工光の元、せわしなく農業用MTが働き、いつだって人手が足りないほどだ。
     だが今日ばかりは少々事情が違う。
     手元の端末に表示された成長指数と収穫予想数から顔を上げて、農産部職員は1機のMTを見つめた。

     両肩にはバズーカ……ではなく、農薬散布用ドローンを2機従えたそのMTは勝手知ったる鮮やかな動作で広い農地に、効率よくかつ素早く農薬を散布していく。
     繁忙期や人手不足の際にどこからか連れられてきては手助けをしてくれる乗り手のことを、職員は良く知らない。
     どうもこのメガファームを仕切る農産部第2課課長の身内であるらしいが、そのこと以外に知っているとすれば、ドローンもMTも驚くほどうまく扱うということだけだ。
     だが第2課課長が某星メガファームの出身であることを考えれば、農業用MT等の扱いに長けるのも納得がいく。
     実際課長その人のMTの腕も、かなりのものだ。

    「今日もうまいなあ。見てて気持ちがいい」

     最適化された作業は見ている者のストレスを解消する作用があるらしいが、あのMT乗りの動きはまさしくそれだと職員は思う。
     だがこうして度々駆り出されてくれるということは、普段は割と暇な部署にいることが予測され、職員はため息をついた。AC部隊に行けば、ヴェスパーの番号付きとは言わずとも、それなりの成果が出せそうなものなのに。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    なすびのな

    DONE歌うま男性Vsinger、音御光歌(おとお こうが)くんが、とある日の挑戦枠配信で演じてくれた執事設定が個人的にとてもよかったので書きました。
    最後の台詞はご本人が配信で言ってくれた台詞を引用させていただだきました。

    ※執事設定なのでご本人とキャラが違います。
    ※何も起こりませんが一応夢として書いています。苦手な方はご注意ください。
    「眠れない…」

     ぽつりと呟いたその声は、月明かりに照らされた部屋の隅に残る暗がりに吸い込まれていく。
     窓の外には明るく丸く、黄色い月が浮かんでいて。ふと脳裏に、月とは真逆の、太陽の光をまとったように笑う執事の姿が思い浮かんだ。
     ベッドの中から抜け出し、素足を履物に落として部屋を出る。かちり…と扉の閉まる音が広々とした廊下に響いて、少し体を縮こまらせた。

    「いかがいたしましたか?」

     ゆっくりと静かに、長い廊下の絨毯を踏みしめて進むと、その先にある扉をそっと開く。柔らかな照明の下で書類に伸ばしかけた手を止め、執務室でその日の仕事を片付けていた彼が顔を上げた。

     かすかな灯を反射してその瞳が優しく輝くさまに、もやもやと胸の奥にわだかまっていた不安がほどけていくのが分かる。
    810