今だから言えること蠱毒とどうやって出会ったのか、仲良くなったのかとかそういう話を魈が一人語りしてくれる。
我があやつの事を話そう。
蠱毒と初めて言葉を交わしたのは数百、いやもう数千年以上も前に遡るだろうか。我がまだ、魔神に意識を囚われる前のことだと記憶している。
さて、本題に入ろう。
我ら夜叉は、元々が山に住む獣であるが故に、荒事や殺傷を好み己の本能に忠実な種だったように思う。
其々に縄張りがあり、その中で群れて暮らすものもあれば、単独で生きるものも存在していた。その頭数は決して多くはない。
我は、その内の幾つかの縄張りを転々としており、気が向けば顔を出していた。その行いに、特に意味は無かったように思う。ただ何となく。時間を持て余していたとも言えるだろう⋯。
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