攫う久しぶりに会ったその人は相変わらず背がでかくて態度も相変わらずだった。
私が好きだったその人、クザンさんは開口一番「ぼいんなねーちゃんがいると思えばナマエちゃんじゃないの」と間延びした声でセクハラをかましてきた。
まるで毎日顔を合わせていたあの頃のように変わらない態度で接してくるクザンさんに私も思わず「大将それセクハラですよ」と返してしまった。
「もう大将じゃないでしょうが」
やれやれと溜息をついて見せるその仕草すら見慣れ切ったもので、何をどう伝えればいいのか私にはわからない。
「そう、でしたね」
「なァ話は変わるが」
パン、と手を叩いてわざとらしく話を変えようとするのは気まずさを感じさせないための配慮なのだろう。結局は優しい人だから。
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