心地良い体温【同棲 龍遙】「っくしゅん」
もぞもぞと夏掛けの布団にくるまり直す。
クーラーが苦手であまり使いたくないけど、龍司さんが暑がるのと、ここ数年の熱帯夜を乗り越えるにはクーラーなしで過ごすのは厳しく、熱中症になるよりは風邪を引いたほうがマシだとの思いから使っている。
それにーー
「……寒いのか?」
「ん、少し……」
短く答えれば、隣で寝ている龍司さんが後ろから優しく抱きしめてくれる。
「遙はひんやりしてて気持ちいいな」
肩口に顔を埋めるようにして擦り寄ってくる。
少し伸びたヒゲがくすぐったいけど、甘えてるようで可愛いからまぁ、いいかと目を閉じる。
本人に言うと「アラフォーのおっさんに可愛いはやめろ」と返されてしまうので思うにとどめておく。
しばらくそのままにしていたけど、やっぱりくすぐったいのが気になってしまい、ころりと寝返りをうって龍司さんの腕の中におさまるように丸まって今度は俺が擦り寄る。
「龍司さんはあたたかくて気持ちいい……」
クーラーで冷やされた身体が程よく暖まっていく。
おでこの辺りに口付けられたかと思えば規則正しい寝息と鼓動が聞こえる。
あたたかさと、この音がなんだかとても安心できて一人で寝るよりも安眠できるし、クーラーのおかげでこうしてくっつけるので苦手なのは変わらないけど、悪くないと思えるようになった。