一反木綿×KK それはあまりに一瞬の出来事でなす術がなかったといえよう。グラインドを駆使して頬に風を感じながら、KKはその日も目の前をひらひらと漂いながら移動する白い布切れを一直線に追っていた。俗にいう妖怪退治といった部類のこの活動は、エーテルを操る力を手に入れたKKにとっては極ありふれたもののひとつだった。目の前をふよふよと漂うこの不可思議な存在は一反木綿という妖怪で、このままただ追いかけていればいつか奴は適当なビルにぶつかり目を回す。はずだった。だと言うのになぜそうならなかったのか、それはきっとつまるところ、やつを甘く見ていた。そう言うことだろう。だからといってなぜこんなことになっているのかはやはり分からなかったが、妖怪ってやつは理解が及ばない連中なのだ。
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