雨が上がれば青い空 子どもの頃、クラスメイトが風景画の空にあたる区画を一面青い絵の具で塗りつぶしているのが不思議で仕方なかった。青い空、照りつける太陽、真っ白な入道雲、緑の山々と田んぼ、虫取り網を持った少年、BGMはミーンミーンミーン。そんなアニメか何かで見た思考停止しているとしか思えないステレオタイプの夏の表現にも違和感しかなかった。
空は時間や気温によって色も見え方も変わるし、雲の形も刻一刻と変化するから見飽きない。連日雪が降り続く季節の、変わり映えのしないどんよりした空でさえ、雪雲の色は毎日違うというのに。
空が青く見えるのは、太陽光に含まれる色の中でも青色は波長が短く、他の色よりも多く大気中の分子に散乱するため。そう授業で教わると、さらに空の色を注意深く観察する機会が増えた。例え一瞬を切り取った写真でも、そもそもが光なのだから、視界一面真っ青な空なんて存在しえないのではないか。見れば見るほどそう思う。
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