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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    アイドラ小説
    時雨と美男くんの話

    「そこ、そこの所は少し高めに歌う」
    授業中、生徒らに課題曲を出してそれぞれ練習をし、今テストということで別室で時雨の目の前で歌う生徒。今歌った生徒に課題点などを話す時雨、元トップアイドルの指導が貰える、と思って時雨の授業を選ぶ生徒は多かったが、時雨の指導は厳しかった。Hackを出して歌ったとしても何一つ表情を変えずに淡々と言うのだ。
    「……なんだ?Hackをだしてそれか。もう少し基本からするんだな、芸能界じゃ潰れるぞ、それは」
    ガッカリした様子で部屋から出る生徒の背中をみて少しため息を吐く、あの生徒にはこの指導をするか、と書き込んでいるとノック音が聞こえた。次の生徒かと返事をする。入ってきた生徒は華王美男だった、美男はいつものような自信満々な出で立ちで時雨を見た。
    「華王か、早速歌っていい」
    「完璧に歌ってみせます、先生」
    「ほう……?」
    相変わらずの自信だ、と少し微笑み曲を流す。他の生徒もこのくらいの自信を持てばいいのに、と思いつつ真っ直ぐと華王をじっと見る。華王は歌い出す、Hackを持ってないというのに歌えている、さっきの生徒はvocalHackを持っていたのだが、時雨からしたら華王の方が歌えてる気がした。あの人の指導がいいのだようか、と遠く思う。歌い終わりいつものような高らかな声を出す。
    「ナーハッハッハ!先生どうだったか?」
    「そうだな、歌えていた。正直言うがさっきの生徒より歌えていたな。……あの人の指導がいいんだな、もっと磨け。評価は【優】」
    「ありがとうございます!先生、もっとここを伸びやかに歌いたいのだが……」
    時雨に褒められたからか嬉しそうな様子の華王を見る、その顔は歳相応だな、と思っていたら華王は歌詞を見せる。紙を覗き込むとここか、と時雨は呟く。完璧だったというのに真面目だなと思いつつ口を開く。
    「ここか?確かにここはそう歌うといいな。一旦手本歌うから聴いてなさい」
    少し深呼吸をして曲を流し、華王が気になっていたところのパートを歌う。これだけならHackを使うほどでもない、と思いつつ歌った。華王は真っ直ぐと自分を見る、その真剣な顔に微笑みそうになった。
    「こう、歌うんだが分かったか?いつもだす声よりもっとお腹からだせ、まぁ普段の華王の声量考えるとすぐに出来る」
    「なるほどな、先生ありがとうございます」
    そう言って部屋から出ようとした華王を止める。何かまだ言うことがあったのか、と華王は不思議そうに時雨を見た。時雨は赤ペンを取り出して華王の持っていた紙に小さな花丸を書く。
    「……さっきの優のご褒美だ」
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