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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    潜入「潜入?」
    創務省の部署にて、凪と羽紅の声が重なった。八重はなにやらファイルにまとめた資料を二人に渡してホワイトボードで詳しく説明していく。ホワイトボードには資料に載っている建物の写真、詳しい作戦内容などが書き出されていった。
    「うん、ここの建物に無免がなにやら集まって企んでいるらしいんだ」
    「おや、その建物……この前出来た施設ですよね。確か創務が許可した施設だったのでは?」
    「あー、なんか見たことあると思ったら、誰でも認可した本が読めたんだっけ? もう出版されてない本とか。……まさか」
    「そう、そのまさか。どうやらオーナーが無免と繋がってたらしくて。不認可の本を極秘に提供してたんだって。んで、決定的証拠を掴むために、不認可の本を提供してる所を潜入して掴む。僕たちの仕事で回ってきたよ」
    なるほど、と凪と羽紅は納得した。そのオーナーも頭がいいのだろう、少しだけ創務を騙せたのだから。だが三人とも顔が割れてそうな気がするのだが、変装で誤魔化せるものなのだろうか、と思っていたら、その疑問を打ち消すように八重は続ける。
    「一週間後、この施設でちょっとしたパーティがあるんだって。参加者には皆顔が隠れるくらいの仮面をつけて参加が義務付けられてて、まぁ建物入る時に顔見られると思うけど、そこを誤魔化せればあとはね」
    「今時、仮面をつけるなんて古風ですね」
    「そうか? 少しワクワクしてきたけど」
    「貴方……遊びに行くわけではないんですよ」
    「知ってますぅ〜!」
    凪と羽紅が言い合いをし始めたところで八重が両手を叩いた。パン、と部署内で響いた音に言い合いをしていた凪と羽紅は黙って八重を見る。
    「はいはい、そこまでね? 変装とか色々打ち合わせしなきゃだし。あ、中にはマキナが持ち込めないから……はいこれ」
    八重はポケットから小型のスイッチのついた機械を二人に渡した。見たことがない機械だった凪は怪訝そうな顔をしたが、羽紅はもしや、と口を開いた。
    「これ、開発していた物ですか」
    「なんだそれ」
    「凪くん知らなかったの? これ、マキナに似た武器を出せる機械だよ。まぁマキナじゃないから没は討伐出来ないけど、取り締まりの時に使えるようにって開発されたものだよ」
    「へ〜……」
    凪はぷらぷらと機械を動かしていた。試しにスイッチを押してみるとなにやら音がなったかと思ったら、凪がよく使っている刀に変形した。どういった仕組みかは分からなかったが、思わず興奮する凪。
    「え! すげー!」
    「どんな仕組みなんでしょうね」
    「さぁ……」

    潜入当日、パーティという事でスーツに着替えていた三人。いつもスーツなのだが、変装ということで羽紅は長髪のエクステをつけてそれを一本結びに、八重は片目を隠しがちの前髪のエクステをつけており、そして凪はいつも前髪で隠していた目をあえて見せていた。痛々しい傷の跡が凪の顔を目立たせており、凪は少し不服そうな顔をしている。
    「……」
    「……凪くん、大丈夫?」
    「なんで俺だけ……」
    「……まぁ仕方ないでしょう、それだけで貴方とは分かりませんよ」
    八重も羽紅も、凪が片目を見せたがらないのは知っていた。今日の今日まで拗ねていたのも、今もこうして不機嫌そうなのも相まって更に人相が悪く見える。扉の前のチェックもすんなりと通り、受付から仮面を貰った、何か装飾があるのかと思いきや、黒塗りの仮面というシンプルなものだった。
    「……案外あっさり通れましたね」
    「意外とセキュリティ甘いね、じゃ、二人とも頑張ろうね」
    「……はぁーい」
    仮面をつけてもまだ拗ねている凪を横目に、羽紅と八重はネクタイピンを触り、内蔵されている隠しカメラのスイッチを入れた。怪しまれないように自然な動きで辺りを歩いていると、なにやら怪しげな人物等が奥の部屋へ行くのが目に入った。八重は羽紅と凪を呼び、こっそりと中に入る。中は廊下が長く続いており、薄暗かった。そして奥の部屋から明かりが漏れていることに三人は気づき、音を立てないように歩き出す。
    奥の部屋の扉まで近づき、八重がまず様子を見る。音を立てないように扉の隙間から覗くと、先程の怪しい人物達がなにやら本を何冊かテーブルに並べていた、八重はその本が不認可の烙印を押された本だとすぐに気づく。八重は凪と羽紅にアイコンタクトをとり、あの日渡した機械に手を伸ばすと、勢いよく扉を開けた。
    「はーい! 創務省でーす! 手を上げろ!」
    「まったく、困った人達ですね」
    「すみませんねぇ、上司からクビにするぞって脅されてまして」
    突然現れた三人に驚く相手、相手がなにやら武器を取り出そうとした時、刀を振った凪と銃を撃った羽紅がほぼ同じ動作をし、相手の武器を吹き飛ばした。
    「今の! 俺の刀で吹き飛んだ!」
    「何言ってるんですか、私の銃です」
    「二人とも、ここで言い争いしないでね。……あ、ちょっと、逃げないでくれません?」
    二人が言い争いをしている隙に逃げようとした相手だが、相手の顔面すれすれを八重の刃が振るった。どうやらこの相手がオーナーらしい、八重はしゃがんでオーナーに向かって笑う。
    「色々話があるので、同行願います? 拒否権はないですよ」
    こうして潜入は成功し、先程のやりとりも隠しカメラが映していたことにより、オーナーは逮捕された。施設内には不認可の本が山ほど出てきており、よくここまで集めたものだ、と思わず感心してしまうほどには。そしてそれらに関連していた人達も、芋づる式で同じく逮捕された。後々応援がきて、連れ出されていく人達を横目で見る三人。
    「何事もなく終わりましたね」
    「八重さん〜! 仕事終わったから奢ってください!」
    「はいはい、まずは報告書を書こうね凪くん」
    そんな会話をしつつ創務省に戻って行った。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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