目印の赤いリボン「はい、コナン君」
「なにこれ?」
コナンは首を傾げながら安室から差し出された大きな包みを受け取った。
「いいから開けてみて」
にこにこしながらそう告げる安室にコナンは不思議に思いながら、受け取った包みのテープを剥がしてそっと開くと白い包み紙の中から真っ赤な生地が現れた。見るからにふわふわのそれに手を触れてみると、想像通りふわふわでとても暖かい。
「これ、マフラー?」
「うん、毛利先生から今度君たちが長野に行くって聞いたからね。寒くないように防寒具だよ」
シンプルで綺麗な赤色のマフラーだが、小学生に渡すような代物ではないのでは?と思うくらい手触りがとてもいい。マフラーの手触りを確認しつつコナンは念のため盗聴器の類がないか確認する。
「そんなに熱心に調べなくても、もう君に無断で盗聴器は仕掛けないよ」
「そんな心配してないよ。触り心地がいいからつい。それよりこれ、本当に安室さんが買ったの?」
「そうだよ」
「だって、安室さん赤は…」
「まぁ確かに赤色は大嫌いだけど、君が身に着けるものなら話は別さ。それにほら…」
安室はコナンの持っていたマフラーを手に取ると、コナンの首にかけてふわりと結んだ。
「コナン君には赤いリボンがよく似合うからね」
「そりゃ、赤い蝶ネクタイはよく付けてるけどこれはちょっと…」
わざわざ鏡で確認しなくても分かる。今の自分の姿はものすごくガキっぽいだろう。
「これならコナン君がどんなに遠くにいてもきっと見つけられると思うから、長野に行く時は忘れずに持って行ってね」
「まぁ、そういうことなら…」
リボン結びはともかく、これで安室が安心してくれるならとコナンは自分のリュックに着替えと一緒に安室に貰った赤いマフラーを詰め込んだ。