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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    遊撃士となったアシュクル珍道中口噛み酒編

    村の神事に人手が足りず困っている。
     遊撃士として日々依頼をこなしているアッシュは、今回も街道沿いで目撃されたという魔獣討伐を終えて近郊の村を訪れていた。そんな、たまたま訪れたその村で行なわれるという神事で困っていると村長から聞いてしまった同行者は、持ち前の真面目さを発揮していた。
     聞かなければよかったと頭を抱えているアッシュの隣りで、クルトはことの重大さに気が付いていないのか普段と全く様子が変わらない。
    「確認ですが、この村では豊穣の祭りとして口噛み酒を奉納すると。そしてそれを作るのは未婚の処女に限る、そうですね」
    「どうも既婚者が奉納した年は成りが悪かったらしく、代々そういう決まりになっております」
     村長の言葉になるほどと頷くクルトが眉尻を下げた。
     聞いたからにはなんとかしてあげたいのだろう。アッシュ自身も困り事を見過ごせないたちではあるが、できることとできないことの分別くらいはついている。仕方がないので、キリのいいところで助け舟を出してやろうと壁から背中を浮かせたときだった。
    「はあ。自分とアッシュは確かに未婚です。しかし、男、なのですが」
    「大丈夫です。巫女装束を着て務めた男もおります。貴方は美しい顔立ちをしているので、きっとよい口噛み酒ができるでしょう」
     壁にかけられた巫女装束をまとったクルトが衆人環視のもと、男にしては小ぶりな口で米を咀嚼し、羞恥に目を伏せながらも壺に納める姿を想像して頭が沸騰した。
    「コイツ、処女じゃねえからできねえな。仕方ないから俺が代わりにやってやるよ。男でもいいんだもんな?」
     突然話に割って入った男に目を白黒させていた村長も、アッシュがもう一度確認のため丁寧に聞いてやると大丈夫ですと何度も何度も頷いた。
    「……男に処女の概念はあるのか」
    「どうだろうな。とりあえずお前は男の味知っちまってるからダメだろ」
     ようやく本日の宿に落ち着いたふたりはそのままベッドに沈んだ。
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    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    DONEクロリンwebオンリーのエア小話より「内容指定無しの更紗が書いたクロリン」です。
    12月に不安定になっちゃうリィンが今年はしっかりしなきゃと思いながらクロウにメールすることから始まるシリアスクロリン。



    ランディが出てくるのは私の趣味です(書き分け難しかったけど楽しかった)
    慣れぬくらいならその腕に ――冬、か。リィンは仕事が一段落した寮のベッドで、バタリと倒れながらそう思う。《黄昏》が終結してから三度目になるその季節に、そろそろ拭えていい筈の不安がまだ心の奥底で突き刺さっていた。

    「流石に通信は女々しいかな」

    流石に三度目ともなれば慣れなくてはならないと、彼は思う。今は異国を巡りながら情報収集やら遊撃士協会の協力者やらで忙しい悪友を、年末には必ず帰ってくる優しい人を心配させない為に。開いたり、閉じたりしてどうも定まらない思考をなんとか纏めようとする。

    「今年は帰ってこなくても大丈夫だって、言おうかな……」

    移動距離だってそんなに短くないのだ、忙しい時間を自分に割かせるには余りにも勿体無さすぎる。そもそも、帰ってくるという表現さえ正しいのかは分からないが。導力メールで今年は帰ってこなくても大丈夫だという旨だけ書いて送信して、そのまま目を閉じる。通信を告げる着信音がやけに遠く感じながら、リィンはそのまま眠りについた。
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