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    甘味。/konpeito

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    甘味。/konpeito

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    想像妊娠する話/クロリン
    Ⅳ中盤くらい/処女受胎

    「……赤ちゃんができたんだ」
     己と同じ真っ赤な目を潤ませた後輩兼相棒が平な腹をさする姿に、クロウは二の句が継げなかった。
    「そもそも、リィンは男だよな。そして俺も男だ」
    「そうですねえ」
    「男同士って子どもできんのか? その前にセックスさえしてねえんだが?」
     エリンの里、長の家でエマと向かい合ったクロウはひとつひとつ確認していた。
     これから黄昏や相克と向き合っていかなくてはならないのに、頭が痛くなる案件だ。
    「クロウさんこういう場面では冷静じゃなくなるんですね、意外です」
    「いや、こんなの落ち着いてられないだろ」
    「実際、リィンさんの胎内には不自然な霊力の塊りができています。眷属化したことでリィンさんの霊力とクロウさんの霊力が混ざっている影響もあるかもしれません。ですが、それだけですよ。処女受胎、ましてや同性同士での生殖はいまだ現実的ではありません」
     彼女の淹れてくれたハーブティーはすっかり冷えているのに、彼女はポットから温かいおかわりを注いでいる。その落ち着きを分けてほしい。
    「なにか、残したいんじゃないですか」
     カップをソーサーに戻したエマがぽつりとこぼした。
    「クロウさんは、今はこうして存在してます。しかし、それも一時的なもの。リィンさんが眷属化し、クロウさんがそれを受け入れたからこそ成り立っていますが、死者はここに留まれないんです」
    「だからって、子どもできたとか」
    「かわいいじゃないですか。自分とあなたを繋ぐものを残したい、なんて。健全な気持ちだと思いますよ?」
     湧き上がるむず痒いものを、冷たいハーブティーで流し込む。
    「それにしても、こんなことドロテ部長に知られでもしたら大変ですね」
     士官学院時代から耽美な世界に浸る姿を幾度も見てきている。予想される反応につよく目蓋を閉じた。
    「絶対に、知られるなよ」
     ええ、分かっていますと何度も頷く彼女に胸を撫で下ろした。
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    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    DONEクロリンwebオンリーのエア小話より「内容指定無しの更紗が書いたクロリン」です。
    12月に不安定になっちゃうリィンが今年はしっかりしなきゃと思いながらクロウにメールすることから始まるシリアスクロリン。



    ランディが出てくるのは私の趣味です(書き分け難しかったけど楽しかった)
    慣れぬくらいならその腕に ――冬、か。リィンは仕事が一段落した寮のベッドで、バタリと倒れながらそう思う。《黄昏》が終結してから三度目になるその季節に、そろそろ拭えていい筈の不安がまだ心の奥底で突き刺さっていた。

    「流石に通信は女々しいかな」

    流石に三度目ともなれば慣れなくてはならないと、彼は思う。今は異国を巡りながら情報収集やら遊撃士協会の協力者やらで忙しい悪友を、年末には必ず帰ってくる優しい人を心配させない為に。開いたり、閉じたりしてどうも定まらない思考をなんとか纏めようとする。

    「今年は帰ってこなくても大丈夫だって、言おうかな……」

    移動距離だってそんなに短くないのだ、忙しい時間を自分に割かせるには余りにも勿体無さすぎる。そもそも、帰ってくるという表現さえ正しいのかは分からないが。導力メールで今年は帰ってこなくても大丈夫だという旨だけ書いて送信して、そのまま目を閉じる。通信を告げる着信音がやけに遠く感じながら、リィンはそのまま眠りについた。
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