Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    甘味。/konpeito

    ☆quiet follow

    想像妊娠する話/クロリン
    Ⅳ中盤くらい/処女受胎

    「……赤ちゃんができたんだ」
     己と同じ真っ赤な目を潤ませた後輩兼相棒が平な腹をさする姿に、クロウは二の句が継げなかった。
    「そもそも、リィンは男だよな。そして俺も男だ」
    「そうですねえ」
    「男同士って子どもできんのか? その前にセックスさえしてねえんだが?」
     エリンの里、長の家でエマと向かい合ったクロウはひとつひとつ確認していた。
     これから黄昏や相克と向き合っていかなくてはならないのに、頭が痛くなる案件だ。
    「クロウさんこういう場面では冷静じゃなくなるんですね、意外です」
    「いや、こんなの落ち着いてられないだろ」
    「実際、リィンさんの胎内には不自然な霊力の塊りができています。眷属化したことでリィンさんの霊力とクロウさんの霊力が混ざっている影響もあるかもしれません。ですが、それだけですよ。処女受胎、ましてや同性同士での生殖はいまだ現実的ではありません」
     彼女の淹れてくれたハーブティーはすっかり冷えているのに、彼女はポットから温かいおかわりを注いでいる。その落ち着きを分けてほしい。
    「なにか、残したいんじゃないですか」
     カップをソーサーに戻したエマがぽつりとこぼした。
    「クロウさんは、今はこうして存在してます。しかし、それも一時的なもの。リィンさんが眷属化し、クロウさんがそれを受け入れたからこそ成り立っていますが、死者はここに留まれないんです」
    「だからって、子どもできたとか」
    「かわいいじゃないですか。自分とあなたを繋ぐものを残したい、なんて。健全な気持ちだと思いますよ?」
     湧き上がるむず痒いものを、冷たいハーブティーで流し込む。
    「それにしても、こんなことドロテ部長に知られでもしたら大変ですね」
     士官学院時代から耽美な世界に浸る姿を幾度も見てきている。予想される反応につよく目蓋を閉じた。
    「絶対に、知られるなよ」
     ええ、分かっていますと何度も頷く彼女に胸を撫で下ろした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💕😭😍👏💴❤❤❤💞💗
    Let's send reactions!
    Replies from the creator