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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/レモン味はキスの味
    創後の話

    十月最後の日。オーレリア分校長の思いつきではじまったリーヴス第二分校のハロウィンは、生徒会の尽力により大盛況のまま幕を閉じた。
    「やっぱりここにいたか」
    「クロウ。ああ、少しだけ仕事を片付けていこうかと」
     職員室に顔を出したクロウはまだ顔半分に包帯を巻いたままだった。ふたたび書きかけの報告書へ目を落とす。
    「そういうのはまた明日にすりゃあいいんだよ」
    「まあ、そうなんだが」
     紙のうえで止まっていた手をふたたび動かす。軽く頭を撫でた彼が近くの椅子へ腰掛けた気配に頬を緩めた。
     クロウが第二分校に復学したのは先月のことだった。突然やってきた彼は、学校くらいきっちり卒業しておかないとな、なんていたずらが成功した子供みたいな顔をしていた。
    「教官業おつかれさん。ほらよ、飴くらい舐めて糖分補給しとけ」
    「ああ。ありがとう」
     仕事を片付け、クロウと並んで歩く宿舎への帰り道、かわいい包みの飴玉をもらった。今日のハロウィンイベントで配られたものだろう。早速口のなかへ放り込む。レモンの味だ。
     カロ、と飴玉が転がった。柑橘特有の爽やかな酸味に目を細める。じとりと汗ばんだ手でクロウに縋り、いいように貪られたファーストキスを思い出した。当時のしてやられた悔しさがむくむくわきあがってくる。
     隣りにいたクロウの胸ぐらを掴み、踵を浮かせた。届かないわずかな距離が悔しい。触れ合わせた唇の隙間から舌先を差し入れ、分厚い彼の舌を絡めとった。不意打ちのキスで硬直している彼を散々いいようにしてから最後に飴玉を押しつけてやる。
    「これ、レモン味だったのか」
     口元を手のひらで覆った彼がうめくように言った。頷いて同意を示す。
    「知らなかったのか」
    「ポケットから適当に掴んだやつだったんだよ」
     ポケットに潜り込んだ手がいくつも包みを取り出していく。
    「あー。なんかこれ、キスしたくなる味だわ。ファーストキスをレモンの味にするんじゃなかった」
     言葉の意味を理解したリィンは頬を火照らされる羽目になるのだった。
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