Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    甘味。/konpeito

    ☆quiet follow

    本日の800文字チャレンジ
    クロ+リン/Ⅰ学院祭後
    今だけは優しい夢を

    「クロウ。貴方も分かっているのでしょう。間も無く御伽噺の幕が上がろうとしていることを」
     蒼の導き手、ヴィータが歌うように言った。悲しい声だった。
     彼女の語る御伽噺も、その結末のすり替えもクロウにはなんの興味もなかった。ただ祖父の仇討ちを遂行する。それだけだ。
    「ああ。分かってる。もうすぐこんな学院生活ともオサラバだってな」
     自室で双拳銃の調整をしている手は止めず、宵闇に溶けそうな淡い光を放つ魔女を横目に頷く。蒼の騎神による試しの試練を一度は通った身だ。残された時間が少ないなんて理解していた。おそらく騎神にリィンが起動者として選ばれるだろうことも想定済みだ。
     ガタン。列車の揺れで目が覚める。隣りに座るリィンはクロウの肩に寄りかかり、眠っているようだった。
    「寝ちまってたか。トリスタは――、まだだったな」
     放課後にリィンとふたり、帝都にあるブティックへ学院祭でのライブの成功を知らせた帰り道だった。
     列車の窓から見える夕日は燃えるように赤い。
     後夜祭の夜、焚き火で赤く照らされた彼の顔がちらついた。置いていかないでと迷子のような目をしていた彼に、繋がりを許してしまった。
     なんて、未練たらしい。これから全部捨てていく身だ。借りた五〇ミラの利子なんて知らぬ存ぜぬを突き通さなければならなかった。
     彼の寄りかかった肩が温かい。閉じた目蓋にかかった髪を払ってやる。穏やかな寝顔に目を細めた。
     連日続いた学院祭の準備から並行して方々からの依頼をこなし、旧校舎での最後の試し、さらにはステージを見事やり遂げた彼はようやく一息つけたのだ。これがつかの間の休息になるとも知らず、今は静かに寝息を立てている。
     ヴィータが歌う御伽噺の幕はすでに上がった。主演のふたりは結末も知らず、今はただ身を任せるまま列車に揺られていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏💓😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    SPUR ME12月12日に出す予定の展示品を尻叩きとサンプルを兼ねて一章丸々アップ。こんな感じのクロリンの話が五感分連続していく感じです。シリアスが続きますがハピエン(にしてみせる!)

    ちなみにタイトルは全て「五感に関する部位のことわざ」を当てはめています。変わるかも。
    医者と味噌は古いほどよい リィンは《黒の工房》から救出されて以来、違和感に気付いた。《巨イナル黄昏》より前に感じ取れていた味が、分からなくなっていたのだ。一か月近く食事をしていなかったこともあり気付かなかったが、しばらく食べているうちにようやくその違和感に辿り着いた。原因は分からないが、相克に向かうこの状況で他の心配事を出来ればリィンは作りたくなかった。だから、黙っている事にした。――目に見えて減っている食事量を前に、既に全員が気が付いているだなんて思わないまま。

    「そういうワケでクロウ、よろしく」
    「いや待て、どうしてそうなる」

    セリーヌとデュバリィに足止めさせて始まる新旧Ⅶ組大会議。答えは出ているも同然だったが、それでも認識の擦り合わせが必要だと集まったのだが。驚く程分かりやすいリィンの事だ、擦り合わせる間でもなかったが。それが分かれば押し付ける先は一つしかない。フィーの直球な言葉にクロウは予想もしていなかった為狼狽えた。リィンは無自覚ではあるが彼に甘える。そしてクロウは彼が甘えてくる自覚はあれど甘えさせているという自覚はなかった。何も自分に持ってくることはないだろうに、それがクロウの言い分だがそれに呆れている様子もまた感じ取っている事もあって困っている。
    3129