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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/俺が遅刻をするワケ
    一人称を練習しようキャンペーン

    リィンとの待ち合わせには、ほとんど遅刻する。
     そして今回も、待ち合わせ場所には先にリィンがいた。待ち時間を潰すため持ってきただろう文庫を片手に、日陰のあるベンチで休んでいる。
     前に俺が夏向けに選んでやった、涼しげな生成りの白いジャケットに黒のスラックスを卒なく着こなした姿は、通りすがりの視線を独占していた。
     本人はあれで目立っている自覚がない、というところが困る。
     側に植わった樹木の木漏れ日がまた、憎い演出をしていた。黒と白の対比がアイツの清廉な横顔を彩っている。
     救国の英雄、灰色の騎士。俺の好きなヤツは本人の気質も相まって、それはそれはよくモテた。
     少しずれたらしい伊達眼鏡のブリッジを、中指で律儀に直している。顔を隠す目的でかけているそれは、なんとも彼に似合っていない。
     また、リィンがページをめくっている。これ以上待たせるのも悪いだろう。俺は眺めるのもそこそこにリィンへ歩み寄った。
    「よっ、待たせたな」
     声をかけた途端、本に目を落としていたリィンが顔をあげる。
     俺を視界に入れたアイツの顔が緩んでいく。こっちが気恥ずかくなるくらい、俺のことを好きなんだと教えてくれるこの表情が好きだった。
     これを見るためなら、何度だって怒られていい。待ち合わせに遅れた埋め合わせとして、毎回コイツに飯を奢ってやるくらい、なんてことなかった。
    「クロウ。今日も遅いぞ」
     少しムッとした、年相応の顔をしている。それでも、俺には隠しきれない嬉しさが垣間見えた。
    「今日もクロウの奢りだからな」
    「おう。今日はどうすっかな」
    「たまには俺より早く来てみたらどうなんだ」
     ベンチから立ち上がった彼と並んで歩き出す。本人に言えば怒られるから教えていないが、少し下から見上げてくるのが、今日もかわいい。
    「そうだなあ」
     曖昧にはぐらかし、頭の後ろで腕を組んだ。
     今日も俺の好きなヤツはかっこよく、かわいいのだった。
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