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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/創後/レジストできない誘惑

    「ただい、ま?」
     一日の勤務を終えてようやくリーヴスにある宿舎へたどり着いたリィンは、自室の扉をあけたまま固まってしまった。一度、扉を閉め、あける。残念ながら目の前に広がる光景に、なんら変化は訪れなかった。
     部屋のなかへ滑り込み、後ろ手に扉を閉める。それから慎重にベッドへ歩み寄った。
    「これってクロウのコート、だよな。なんでこんなところに」
     自室のベッドのうえには、襟にファーの付いたコートが無造作に投げ出されていた。手に取ってよく見てみても、やはりクロウの愛用しているコートに似ている。
     確かにクロウは、今日も突然土産を渡しに来たと分校へ顔を出していた。けれども宿舎のほうへは寄っていなかったはずだ。いつもならば土産をリィンへ渡すのもそこそこに、こちらが引き留めるのも待たずさっさと帰ってしまうほどで、てっきり今日もそうなのだろうと、書類を片付けながら残念に思っていたほどだった。
     一体なぜ。こんなところに。疑問は尽きないが、答えも出ない。
     手にしたままのコートを見ているうちに、好奇心がむくむく沸いてくる。逡巡したのち、自前のコートを脱いでクロウのものに袖を通した。当然、彼に合わせた形なので、肩の辺りはやや余り、手の甲まで覆う袖も少し長い。胴回りもリィンが着ると、心なしかゆったりしていた。
     コートの合わせを抱き寄せ、微かに香る小慣れた彼らしいフレグランスや、彼との体格差に苛立ちを募らせていた。そのときだった。
    「お、リィン帰ってたのか。いやあ、相変わらずここの宿舎の湯船は広くて最高だな」
     堂々と扉をあけて入っていたクロウは、しっとり濡れた髪をタオルで拭っている。邪魔してるぜ、なんて事後ノックも忘れない。
    「なんで……」
    「放課後お前さんの生徒に捕まって、あちこち引っ張り回されてたんだよ。んで、汗かいたついでに風呂で流していけって。さんざん振り回されたが、まあ、いいもん見れたしこれでチャラだな」
     いいもん、と称されたリィンは頬が熱く火照るのをとめられないのであった。
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    甘味。/konpeito

    TRAINING両片思いアシュクル/創エピ第Ⅱ分校修学祭後自らの行いは自らでケリをつけたかった。
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     クルト・ヴァンダールに呆れたような目を向けられ、肩を窄めた。何事にもお堅いこのクラスメイトが未成年の飲酒を容認するはずもない。
     生活態度は至って真面目、剣技は教科書通り、 870

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
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    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
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