Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    甘味。/konpeito

    ☆quiet follow

    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/創後/レジストできない誘惑

    「ただい、ま?」
     一日の勤務を終えてようやくリーヴスにある宿舎へたどり着いたリィンは、自室の扉をあけたまま固まってしまった。一度、扉を閉め、あける。残念ながら目の前に広がる光景に、なんら変化は訪れなかった。
     部屋のなかへ滑り込み、後ろ手に扉を閉める。それから慎重にベッドへ歩み寄った。
    「これってクロウのコート、だよな。なんでこんなところに」
     自室のベッドのうえには、襟にファーの付いたコートが無造作に投げ出されていた。手に取ってよく見てみても、やはりクロウの愛用しているコートに似ている。
     確かにクロウは、今日も突然土産を渡しに来たと分校へ顔を出していた。けれども宿舎のほうへは寄っていなかったはずだ。いつもならば土産をリィンへ渡すのもそこそこに、こちらが引き留めるのも待たずさっさと帰ってしまうほどで、てっきり今日もそうなのだろうと、書類を片付けながら残念に思っていたほどだった。
     一体なぜ。こんなところに。疑問は尽きないが、答えも出ない。
     手にしたままのコートを見ているうちに、好奇心がむくむく沸いてくる。逡巡したのち、自前のコートを脱いでクロウのものに袖を通した。当然、彼に合わせた形なので、肩の辺りはやや余り、手の甲まで覆う袖も少し長い。胴回りもリィンが着ると、心なしかゆったりしていた。
     コートの合わせを抱き寄せ、微かに香る小慣れた彼らしいフレグランスや、彼との体格差に苛立ちを募らせていた。そのときだった。
    「お、リィン帰ってたのか。いやあ、相変わらずここの宿舎の湯船は広くて最高だな」
     堂々と扉をあけて入っていたクロウは、しっとり濡れた髪をタオルで拭っている。邪魔してるぜ、なんて事後ノックも忘れない。
    「なんで……」
    「放課後お前さんの生徒に捕まって、あちこち引っ張り回されてたんだよ。んで、汗かいたついでに風呂で流していけって。さんざん振り回されたが、まあ、いいもん見れたしこれでチャラだな」
     いいもん、と称されたリィンは頬が熱く火照るのをとめられないのであった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺❤❤👏👏💕💕💕🍌❤💕💕💘❤❤❤🙏🙏🙏💖💘💞❤❤💞☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator